剣道の構え⑤ 足 剣道の教えに反する左足の構え
構えの「足」に入りますが、「足」は、剣道の師範や剣道家によって意見はバラバラな表現をしている場合が多く、何が正解なのかちょっとわかりにくいところがあります。で、この記事は剣道の基礎常識に関してはやや反対の立場をとっているため、非常に戸惑うかと思います。しかし、この部分に関しては確固たる信念で、持論を展開していきたいのでよろしくお願いします。
支持脚の左足と運動脚の右足
サッカーのトップ選手も大半が右足を蹴り脚としています。王貞治は「1本足打法」で左足を支持脚とした打法で打っていますが、右打ちの打者に王選手のような打法で打つ選手はいなかったりします。剣道でも「左足」に状態が「乗る」ことの重要性を説いた指導が多くみられます。
陸上トラックは左回りですし、野球のベースも左回りです。人は自然と左に身体を寄せるように出来ているのかもしれません。
人は右半身に最大級の臓器である「肝臓」が内蔵されているため、実際のところ右半身の方が重たくなっています。右に重たいものがあれば自然と左側を重たくして身体のバランスを保とうとする人体の構造があるからとも考えられます。
このブログでは、支持脚が左足で運動脚が右足であることを仮説に立てて足の基礎を構成していきますのでよろしくお願いします。
①では、まず、自分のフィットした構えの足を作っていきます。
自然体より右足をやや前に出しましょう。構え足の作りは、体格年齢に応じて変わるので一つ、林邦夫先生の構え足の作り方を参照にします。なんか、構えの足がしっくりこなかったりしたらまた、繰り返してやって作り直したりするのに覚えてください。
1普通に歩いて右足を前にして、左足と右足の位置を決める
2垂直とびで決める、左足と右足の位置を決める
3足を交互に踏みかえて、左足と右足の位置を決める
ポイントはかかとをつけて足を並行にして行うこと。
このようにして足の構えを作っていく。自分に違和感のない構え足のポジションを作っていきます。
②左膝について・ハムストリングスの機能
・左のひかがみの伸ばすは不採用
左のひかがみ(ひざ)は、曲げてはいけないということです。まぁ、伸ばしすぎてもいけないとはいわれているんですけれども。足の伸筋であるハムストリングスに力が入るようにします。初心者が陥るのは、右足で身体を前に引っ張ろうとするので、左足を使えないんですよね。右足(太もも)は「屈筋」ですし、太もも(大腿四頭筋)は「ブレーキ筋」といいまして、身体を止める筋肉ですので、身体を前に押し出す筋肉というのはハムストリングスになるわけです。ハムストリングスの拮抗筋が大腰筋であり、大腰筋って、骨盤と背骨を支える超重要な筋肉です。ハムストリングスを縮めているときに、それと拮抗して、大腰筋が張る状態を構えとして作る。
しかも、ハムストリングスは、3つの大きな筋肉から構成されていて、筋肉量も屈曲部門(大腿四頭筋)よりもかなり大きいのでここちゃんと使いこなせるかは大きな影響を出ます。伸展部門、伸筋であるハムストリングスを使った動きの方が元々の筋力量が大きいためスピードも出ます。
ハムストリングスは、膝の屈曲と股関節の伸展・外旋の働きがあります。大腰筋が股関節の屈曲による足を前に挙げるももあげの筋肉です、太もも(大腿四頭筋)じゃない。つまり、膝を伸ばし切ると逆にハムストリングスの収縮と股関節の伸展・外旋の動作が使えなくなるので、微妙な所「緊張させる」という表現が使われております
③左足の向きの正解とは!?
また「もくみあし」に関して、左足は45℃以上開くと力が外側に逃げてしまいます、外旋は30℃までなら股関節の伸展動作を補助する動作になりますので大丈夫です。実は人の足と言うのは、外旋しているほうがニュートラルな状態です。高段者も左足が若干外に向いている構えをしている人がよく目撃されていると思いますが、ちょこっと外旋している状態は、実はその方が適正です。
解剖の本によれば、通常の人は最大外旋角度が60度くらい、最大内旋角度が30度くらいになります。したがって、その中間角度は、10~15度外を向いた角度、これがニュートラルな股関節の位置となる。
剣道は右足を前に出すのでやや右斜めの状態の構えとなりますので、左足の方が外旋角度が上昇するのかなと思います。
・「じゃあ、もくみ足はいいのか??」
もくみ足は外旋45度以上いっているので、これは「やりすぎ」です。「股関節の外旋」する力と、足を元に戻そうとする「股関節の内旋」の力と両方余分に入ってしまうでおすすめはしません。
おすすめは、右足は相手の方向から5度くらい外旋、左足はやや外旋15~30度
一番やってはいけないのは、両脚を内側に締めること、特に女性剣士
そんなバカなって思うじゃないですか。一番わかりやすい例としてはスキーですね。滑っている時に「ハノ字」で滑ると、動き止めることができるわけです。逆に外側に向けると足拡がって前に進みますよね。同様に、階段を降りる時というのも、前に進むことよりも安定性を求めブレーキをかけるために、内側に腰を使うんですね。逆に階段を登る時、普通に歩くときなんかは、身体を前に推進させるために、外側の腰を使うわけです。そう考えて頂きたいのですが、ニュートラルな足のポジションが外旋15~30℃と考えると、膝を相手の方に向ける角度でさえ「内股」なんですよね。足先・膝を相手の方に向けて構える、踏むこむことでさえ、足にブレーキがかかった状態で踏み込んでいるというわけです。
膝を中に入れた姿勢で、膝の伸展力を使った打突をすると、太ももの筋肉が収縮され、身体にブレーキ作用が働く上に、すぐに試合中疲労困憊になります。
つま先を外に向けたとしても、膝を内側にしてしまうと膝下からの外旋では、蹴る動きになってしまいます。これは女性選手に多い傾向です。そのため、膝頭がつま先と同じ外側に向いているか確認してください
④足の重心位置「つま先?かかと?前?後?右?左?」
剣道では明治時代以降の定められた構え重心位置を採用します。
剣道では、
・構えの足の重さの比重はイメージ的には左:右=6:4
この部分を中心に置くことがベースとなっております。私は、左:右=7:3くらいでいいと思っております。
いづれにしろ、「ヒトの歩行原則」では「左骨盤を前に押し出すことで右足が自然と前に出る」「右骨盤を前に押し出すことで左足が自然と前に出る」という歩行の原則がありますので、右足が前に出ている限り、左骨盤を始動とした構えを作る必要があるわけです。右足が左足を超えるなら別なんですけど、すり足をして前に出るときでも、右足より左足が前に出ない限りは左重心を維持していくというが重要なことです。逆にいえば、右重心になった途端、左足を右足より前に出さなければ身体は前に進まないわけです。「いつでも打てる姿勢」を作るならば、尚更左足重心は必須です。この動作というのが、ほとんどの剣道家が苦しむところだと思います。
しかし、剣道の重心については画一的ではありません。「剣道の科学的上達法」から引用すると、高段位になればなるほど重心が前側になり、8段になれば重心が前側に移ります。これは、高齢によって、打突の距離を小さくする代わりにより素早く反応するために行っておりますが、実は左の重心を残したまま前に出ているのでぱっと見で真似しないように。
詳しくは別記事で語りますが、剣道の左重心は絶対に守らなければならないルールです。また、現代剣道では「左かかとを少し浮かせる」となっております。
しかし、宮本武蔵は五輪の書で「踵重心」と唱えており、実は剣道の基礎と反しておりますが、実は、踵を床につけた踏み込みの方が身体合理性は高いです。
人体というのは、踵に床を押し込むと、作用・反作用の運動法則(壁を押すと力が跳ね返ってくる法則)で「地面反力」を斜め前の方向にもらうことができるので、その方が身体が前に出ます。つま先を床に押し込むと身体は逆に後ろの方行きます。「そんなわけあるか!踵に重心かけたら身体が後ろに傾くだろ!」と思うかもしれませんが、それは身体の重心を後ろに置いてから踵に体重かけているからで「身体を後ろに傾けることによって踵重心でも立っていられる」わけです。踵に重心をかけると前に身体が倒れるはずです。
だから、構えている時は身体を安定させるために、左踵を少し浮かせているというのが本当の理由なんです。で、すり足や身体を前に送る時は実は左踵を床に踏み込んで揚げる方が効率よく身体が前にでることになります。
左踵を床につける
剣道における母指球神話
・湧泉(検索してください)から親指手前の母指球辺り
剣道の基礎的な重心の置き方はこのように説明されていますが、実際のところ高段者の剣道家でさえも、重心の位置というのはバラバラであり、この基礎に関しては信ぴょう性が低い動作となっております。
日本のスポーツ選手と言うのは、基本的に、つま先と膝頭をまっすぐ前かやや内側に向けて、母指球に意識を置いて、母指球で地面を蹴って走っていました。剣道でもその影響が残っています。ただ、スポーツの身体合理性を考えてもこれは、矛盾しております
アウトエッジ感覚に重心を置く
バスや電車に乗った時に、股関節を外旋させて膝をやや抜いて外旋立ちで立つと揺れてもバランスよく立っていることができます。母指球に体重をかけてしまうのが癖になっている人は足裏の外縁にも体重を乗せて、足裏のアウトエッジで体重を捉える感覚になってみましょう。
バランスボートがあるともっとわかりやすくなりますが、膝と足先をまっすぐ、やや内側に向けて母指球に体重を乗せ達と、力が入るようには感じるのですが意外と安定しないことが分かります。
逆にどのように重心をかけるかというと、外旋立ちで立った場合、母指球だけでなく、小指球にも重心を乗せることが可能で、前後の揺れに対しても足指部、踵部の両方も使えます。地面反力のことも考えると、外旋立ちした状態での小指球重心の踏み込みは、身体を前に推進させる力となることでしょう。
・小指球(足小指の手前)重心で構える。前後の揺れに対しては踵、足指を使う
④肛門を締める
骨盤の後ろに「仙骨(背骨の腰椎の下に位置し、かつ、骨盤の中央にある逆三角形の骨)」というのがあり、この骨は骨格的に上半身を下半身に繋げる唯一の骨であり、骨盤の中心で下半身をコントロールしている重要な骨格になります。それを締める動作として「肛門」を軽く締めます。これにより、股関節が外旋され、上体を骨盤の上に乗せることができ、お尻の筋肉が強く締まります。また、「股関節の外旋」という動作は、使っている筋肉の箇所も類似することから「股関節の伸展」と「ハムストリングスの収縮」とも連動します。腰椎の反り方は浅くなり、背骨のS字の下半分の曲がり具合が適性の範囲に収まり、正しい姿勢を作っていきます。
股関節とはhip jointと呼ばれる通り左右のお尻の中にある関節にあたります。「股をしめなさい」と指導すると、内またになり股関節が内旋した足を作ってしまう。これだと、太ももの筋肉(ブレーキ筋)が収縮され、身体もスムーズに運ばないためにすぐに疲労して体力消耗が激しいんですね。
「股関節を外旋する」→「肛門を締める」という動作は、股関節の外旋による身体の前身は勿論、疲労も抑えることができます。
逆に仙骨を締めないと「反り腰」になり、すぐに身体がぶれるようになります
⑤右足:足首は背屈・足趾は底屈
右足に関しては、足首だけチェック。足関節を伸ばして打突する時に、足が床の方に向いてしまうと身体に後方の推進力が働きます。ここは、剣道の基本通りに足は、「背屈」した状態で、すり足、打突の際にも足関節を固定するようにしましょう。床を低浮上しながら踏み込む感じです。そして、背屈を意識しすぎて、「外反」という形になってはいけないので、それを抑えるために足指・足趾は底屈させます。底屈には前脛骨筋を意識して緊張させます。
床をつまむイメージです。サンダルを履くときのような感じです。
※前脛骨筋について箇所はチェックしておきましょう
というわけで、非常にボリューミーでかつ、初めて記載する内容満載になりました。
まとめると7点ありました。
1.剣道:左のひかがみを緊張させる
→ひかがみ(ひざ辺り)は、少し曲げる
2・構えの足の重さの比重はイメージ的には左:右=6:4
→ずっと左足重心
3.足の向き、膝は相手の方を向く
→右足は真っすぐ、左膝・左つま先は相手にむけるより15~30℃ほど外旋する
4.湧泉(検索してください)から親指手前の母指球辺り
→小指球(足小指の手前)重心で構える。足裏は全体的に使えるようにする。前後の揺れに対しては踵、足指を使う
5. 左かかとを床から少し浮かせる程度
→左踵を床につける方が良いが、感覚が分からなければ、少し浮かせる程度にしてもよい。
6. 肛門を締める
7.右足:足首は背屈・足趾は底屈した状態で固定
とりあえず、足の項目はこれで。
特に太字「左重心」「肛門の締め」が最重要必須項目となります