見出し画像

ハムストリングス・股関節の伸展を使わない現代剣道の左足裁きの非合理性

まずはハムストリングスの各筋肉の位置をチェックしましょう

ハムストリングスは、大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋の総称で前屈みの姿勢を保つ時に働き、股関節伸展のトルクを出している。ただし、ハムストリングスの収縮力は同時に膝関節屈曲のトルクも出すので、膝が曲がってしまう。前屈みの姿勢を保つ場合は、それを打ち消してさらに膝伸展のトルクを維持するため、大腿四頭筋(太もも)が強く収縮する。

ハムストリングスはすべて骨盤下部から始まっているが、大腿二頭筋(ハムストリングスで、長頭と短頭がある)は脛骨の外側(と腓骨)に付着して、外旋、半腱様筋と半膜様筋は脛骨の内側に付着して内旋する機能を持つ

膝を伸ばすと筋肉に力を入れずに立てる利点があるが、膝関節が限度まで伸展した状態であるため、筋肉を使った捻りの機能が使えない。

捻りの機能とは回転運動のことで、回転運動をしなければ、関節間力のみを伝えることになり、パワーを伝えることはできない。

ハムストリングスは身体の向きを変える動作も担っている。急に振り向くときなど膝の回旋が必要な時、ほとんどの人が無意識に腰を落として膝を曲げる。もちろん、その方が回旋のトルクを出しやすいからだが、これにはハムストリングスが骨に付着する位置と関係がある。

大腿二頭筋に注目すると、膝が伸びた直立姿勢の場合、収縮力が脛骨の長さの方向にほぼ平行なので、長軸まわりの回転(ひねり)に役立つ力の成分は小さく、回転トルクはほとんど発生しない。しかし、腰を落とし、股関節と膝関節を曲げると、脛骨に対する収縮力の向きが変わって、大きな外旋トルクが発生する。

大腿二頭筋のうち大腿骨から始まる短頭は、純粋に膝関節だけの屈曲・外旋機能を持つ。しかし、股関節を飛び越えて骨盤から始まり、股関節屈曲をも受け持つ長頭は、膝関節と股関節を同時に外旋するトルクも出している。

半腱様筋・半膜様筋についても、同じ理由で腰を落とした方が膝関節内旋のトルクが大きくなる。

剣道でのハムストリングスの働きと矛盾

ハムストリングスは「アクセル筋」であるので、収縮すると身体を前に出す力を発揮するが、ハムストリングスを働かせる=収縮させると膝関節も曲がるようになっていうる。ハムストリングスは骨盤下部から足首の外側脛骨までつながっており、股関節と膝関節を跨ぐためだ。更に、大腿二頭筋を働かせると膝関節・足関節は連動して外旋するようになっている。

剣道においては、「ひかがみを伸ばせ・ひかがみを常に緊張させろ」と言われるがこれは、左足による回転トルクを出すことによって「起こり」が発生するためである。しかし、この状態であるとハムストリングスは機能しないし、人体の最も強力な股関節の伸展も使うことができない

だが、この起こりを起こさないためであるのならば「かかとを高く挙げて」つま先に位置エネルギーを全身が前方へ動く運動エネルギーに変える動作も「起こり」がみえるため、後ろ足の踵をすとんと落とし、設置した床の反力が瞬間的に全身に伝わるよう、後ろの足関節間力、つまり、骨組みを伝わる力を意識し、筋肉の収縮力を意識しない方が良い。こうすると自然に全身が前へ急加速する。

剣道での起こりをみせたくないのであれば踵は接地させるべきであり、現代剣道の動きはその辺に矛盾が生じる

まとめ

剣道の動きとしては正しい動作も、身体操作的にそれが合理的なのかで考えると疑問であり、本当に身体合理性のある動きとは何なのか調べなおす必要がある。

特にこの「左足の使い方」というのが、非常に難しい所であり、

実のところをいうと、剣道は身体の姿勢が悪くなる動きという点であると考えると、武道の中ではあんまりおすすめしないものなのかもしれない