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【イベントレポート】福山市の課題をカードゲームで解決!? 多数の企業様にご参加いただいた「課題解決ワークショップ」の模様をレポート!

 去る2023年3月16日(木)、TEGO-LAB(テゴラボ)主催の「課題解決ワークショップ」が福山商工会議所にて開催されました。

 本イベントは、異業種メンバーが集まり、ゲーム感覚で”課題解決”の流れを体験できるワークショップとなっており、自社のビジネス課題のヒントや、枠にとら割れないリソース活躍が学べる場として、多くの企業・団体様にご参加いただきました。

 本記事では、当日の会場の模様を詳しくお届けしていきます。


人口減少など様々な課題と、福山市による取り組み

 今回のワークショップは2部制での開催。第1部では、福山市企画財政局 企画政策部 企画政策課の主事・横山絢子さんにご登壇いただき、福山市の課題や、重点的に取り組んでいる施策についてまとめた「福山みらい創造ビジョン」のご説明をいただきました。

▲第1部の模様。登壇されているのは、福山市企画財政局 企画政策部 企画政策課 主事・横山絢子さん

 福山市が掲げている課題のひとつが、「人口減少」にまつわるもの。福山市の人口は2020年をピークに減少に転じており、2060年には 40万人を下回りると予測されています。あわせて、高齢化率の増加による医療費の増大、合計特殊出生率の減少といった課題にも直面しているそうです。

 ほかにも、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、大規模地震に備えた防災・減災対策、低炭素社会の実現に向けた取り組み、世代間でのデジタル格差など、ほかにも様々な課題も顕在化しているとのこと。

 地域や企業にSDGsの理念をより浸透させていき、多様な主体との創意工夫の下、新たな価値が創造される持続可能なまちづくりを進めていくことが重要であるとしています。

 福山市では、”新たな分散型社会の下で市民一人一人の安心な暮らしと希望が実現する都市”を実現するべく、「①新型コロナウイルス感染症対策の強化」「②都市魅力の創造」「③人口減少対策の強化」を3つの柱として、戦略的にデジタル化を推進しているとのこと。

 さらに2021年度からの5年間で、めざす姿を実現するために”5つの挑戦”を掲げ、各施策を総合的に推進しています。

 参加された企業・団体の皆さまからは、「生産人口減少が心配される中、会社としてできることをやって貢献していきたい」「民間がもっと力担って関わっていくことも必要だと感じた」などの意見も。

 普段なんとなく感じていたような事柄が、具体的な課題としてデータで示されたことにより、「決して他人事ではない、この街で現実に起きていること」であると自覚された参加者も多く見受けられました。

他に与える影響は?「ルービックキューブ型」の考え方

 続く第2部では、2022年6月に開催したワークショップと同じく、株式会社ココピアの取締役を務める、SDGsビジネスマスター・藤原真由美さんを講師にお迎えしました。
 藤原さんは、テゴラボが放送しているラジオ番組「ひも解くト~ク」のパーソナリティーとしてもおなじみの人物です。

▲第2部の様子。株式会社ココピアの取締役を務める、SDGsビジネスマスター・藤原真由美さんが講師として登壇

 まず最初は、対話型コミュニケーションカードツール「SDGsトーク」を使用したシンプルなワークが実施されました。
 「SDGsトーク」は、対話を通じて自分の中にある”SDGsの種”に気づくためのもので、40枚の「問いカード」と、5枚の「リアクションカード」から構成されています。

▲対話型コミュニケーションカードツール「SDGsトーク」

 使用された質問カードは「子どもの頃に自分が熱中していた遊びは?」というもので、参加者の方々は、”否定しない&時間は平等に”というルールの下、1人1分の持ち時間でトークを繰り広げました。

 会場の雰囲気も温まってきたところで、講師の藤原さんからは、「働く人と企業が、ともに人的資本を育む時代になってきている」とのお話が。誰ひとり取り逃さないためのSDGs経営を目指していくには、売り手 良し・買い手 良し・作り手 良し・世間 良し・地球 良し・未来 良しの“六方よし”を実現することを目指すべきとことです。

 「商売において売り手、買い手が満足するのは当然。働く社員の満足度が高く、世間に必要とされながら、環境改善や未来を考えながらできてこそ、はじめて良い商売であるといえます」と、藤原さんは語ります。

 具体的な例として、藤原さんはとある「安価な洋服を大量生産して扱っている大企業」の話を挙げました。
 同企業は、取引先の工場で児童労働、奴隷労働が発覚したため、すぐさま取引を中止したとのこと。ところが実際には、働いていた子どもたちが失業し、人身売買の被害に遭ってしまうこととなり、結果として状況はもっと悪化してしまったそうです。

 このような例から、SDGsの問題は、ただ一方的な側面から課題を解決しようとする”パズル型”ではなく、課題解決によってほかにどのような影響を与えることになるかを考慮する”ルービックキューブ型”の解決こそが重要であると説明しました。

カードゲームX(クロス)を参加者同士でプレイ

 続いて実施されたのは、「THE SDGs アクションカードゲームX(クロス)」(以下、カードゲームX)を使用したワークです。
 こちらは、SDGs の17 個の目標に沿った課題を解消することを目指すカードゲームで、金沢工業大学の学生が考案し、現在では様々な企業で活用されています。

 カードゲームXは、34枚の「トレードオフカード」と、同じく34枚の「リソースカード」で構成。最初に各プレイヤーには3枚ずつリソースカードが配布されます。

 ファシリテーターが読み上げたトレードオフカードに対し、プレイヤーは手持ちのリソースカードを使ってどのように課題を解決できるか、アイディアをまとめてプレゼンテーションしていく…というのが、基本的な流れとなります。

 会場では参加者が合計7チームに分かれてゲームに参加。まず、あらかじめ用意されたトレードオフ・リソースカードを用いたゲームに挑戦し、次に「自社の資源や資産」に基づいたオリジナルのリソースカードを作るワークも実施されました。

福山市の“実際の課題”をカードゲームXで解決!?

 続けて、会場には福山市 企画財政局 企画政策部 企画政策課の主事・河野良輔さんが登壇。第1部でも話のあった、福山市の抱えている課題と現状について、あらためて説明を行いました。

 第2部ではさらに踏み込み、カードゲームXのフォーマットを用いて、「自社のリソースで福山市の課題を解決するには?」というテーマに添ったワークが実施される事となりました。

▲福山市 企画財政局 企画政策部 企画政策課の主事・河野良輔さんより、改めて福山市の課題に関する説明が

 テーマとして使用された課題は、地元就職率の低さなど、実際に福山市が抱えている課題のうち中から抽出された3つ。それに加えて、「すみ続けられる街づくりにするには?」という自由課題も与えられました。

【課題】
現状①:市内大学卒業生の地元就職率が20%台にとどまっている
現状②:中小企業における、生産年齢人口の減少や雇用のミスマッチなどによる人材不足
現状③:環境問題に対する市民関心度の低下
自由課題:住み続けられる街づくりにするには?

 参加者は再び各チームに分かれて課題に取り組むことに。チームごとに取り上げるテーマを決めて、自社のリソースを用いた課題解決方法についてディスカッションを重ねました。

 話し合いの後、各チームによりコンテスト形式で発表会を行う流れに。

 例えばとあるチームの場合、「人口減少と、労働生産性人口の減少」を課題に設定し、「人口を増やすのではなく、生産量をアップさせる」という考え方の下、「廃校や工業団地を活用して、子ども支援&女性の働く場の増加を一括で行う」という解決策を提案しました。

 各チームが思い思いのアイディア出しを行いながら、地域課題の解決に向けて真剣に取り組む様子が印象的でした。

 参加者の方々は、「自社の持つ魅力をもっと探し出して、地域に貢献していきたいと思う」「(今回のワークショップは)会社内や採用関連でも活用できそう」などの意見を述べられていました。

【まとめ】同じ価値観を持ったパートナーシップが重要

 すべてのチームの発表を終え、講師の藤原さんは、「必要とされていることに、自社の強みを生かして手を打つことが大事。自分たちだけでやろうとせず、共通の価値観を持ったパートナーシップを組むことが大事です」とコメント。

 最後は、「1人では独り言、10人では声となり、100人で力となる」という言葉で、他者と手を取り合いながら課題解決を目指していくことの大切さをあらためて強調しつつ、今回のワークショップを締めくくりました。

(記事初出:2023年4月21日)

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