フィリピンの危険地帯へ行った話②
■日本人のオジさんに案内して貰う
フィリピンのミンダナオ島の南東で農業をしているという日本人男性に頼んで、どんな生活をしているか見に行ける事になりました。
ただし、男性は日本に帰国して用事があるため、現地へは僕1人で向かいました。
ミンダナオ島にはジェネラルサントス空港まで飛ばなければ行けませんが、日本からの直行便は当時なかったため、まず首都のマニラへ降り立ちました。
僕はその頃、オンラインの英会話でフィリピンの先生に教わっていたので、ついでに先生に会いつつ、次の場所を目指しました。
目的地のジェネラルサントス空港。
そこに日本人のオジさんが待機して、車で移動してくれる手筈になっていました。
でも、空港の入口を見回しても、日本人は1人もいない…。
1時間ほど待ったところ、ヒゲを生やした白髪のオジさんが現れ、無事合流する事ができました。
良かった…。
そのまま、農園へ行くと思っていたのですが、このオジさんはショッピングモールやココナッツのアイスクリーム屋さんなど、親切にあちこち案内してくれました。
僕は、移動だけの予定だと思っていたので、何としたものか困っていました。
「日本人と話す事がなかなかないもんだからね。」
洒落たココナッツの殻にあしらったアイスクリーム屋さんなど、どう見てもカップルで行くような場所でしたが、いつもは1人で食べていると言っていました。
誰かに話を聴いて貰いたかったのかもしれませんね。
オジさんは、以前病気で倒れて以来、フィリピンの暖かい環境で過ごす事にしたそうです。
一方で、フィリピン人の奥さんは、現在日本で働いていると言ってました。
オジさんは、若い時に日本で結婚した1人目の奥さんとの間に娘さんがいました。
そして、2人目の奥さんはちょうど娘さんと同じくらいの歳なので、日本で会ってみると仲も良く、色々と相談に乗って貰っているとか。
人生に何度も結婚する選択肢もあるんだな…、と独り身の僕はビックリして、ちょっと羨ましかったです。
オジさんは、フィリピン人で信用出来ると思った1人を雇って、農園を2人で運営しているものの、その時は赤字なのだと話していました。
そして、辺りが暗くなって来た時に、ボソッと言ったひと言が忘れられません。
「暗くなって来たし、今晩は僕の家で休む事にしよう。実は、目があまり良くないんだよ。」
車の外はすでに闇夜でした。
そう言う大事な事は、早く言って下さい!と思いましたが、車に乗せて貰ってる手前、何も言えません。
オジさんの家には、まだ3歳くらいの娘さんと、フィリピン人の義母さんがいて、一緒に暮らしていました。
オジさんは、その義母さんと非常に仲が悪いみたいでした。
このオジさんには、もう1度泊めていただく機会があって、お礼にお金を渡そうとしたのですが、友人に信用されて世話をしているのだと言って、受け取って貰えませんでした。
紹介して貰った農場に行くのは、明日。
一体、どんなところなんだろう?
不安と期待の入り混じった気持ちで、その夜は過ごしました。
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