散髪とオートメーションについて

髪が伸びてきたので、散髪に行った。2022年も12月を迎え、本格的な寒さを、今か今かと待ち構えているようなどんよりした天気。髪を短くしたら寒いかもしれないと思いつつも、切りたくてウズウズしている。

髪の毛に関してはこだわりはまったくない。行きつけの美容室もないし、信頼している美容師さんもいない。お風呂上がりにドライヤーで髪を乾かすこともめったにしない。

そんなに無頓着なら坊主でいいじゃん、って思うかもしれないが、残念ながら坊主は似合わない。頭の形が悪い。絶壁。

おそらく、子供の頃、母親は忙しくて赤子の頭の形が将来どうなるかまで気が回らなかったのだろう。恨みはないが、できたら次に生を受けるときは、坊主の似合う人間になりたい。

散髪は、切りたいと思ったときに切りたいので、予約が必要な美容室や床屋へは滅多に行かない。最寄りの駅の1,000円カット的なノリのところで切ってしまう。

こういうスタイルの、散髪屋さんがでてきたときは"1000円"というのが売り文句だったと思うが、今では"1000円"ジャストというのはなくなった気がする。自分が行くところは、シャンプもつけて1800円。

ただここのシャンプはただのシャンプではない、オートシャンプだ。

カットとシャンプ合わせても30分くらいで終わるし、近所のおばちゃんたちが引っ切り無しに来るからカットしてくれるおばちゃんの腕も日々研鑽されていることだろう。あとおばちゃんって、こっちから色々リクエストしなくても、適当にいい感じにやってくれるのが自分にとっては楽なんです。如何せん、こだわりがないので。嫌な人は嫌なんでしょうけどね。

はじめての美容室とかいくと、今日はどんな感じでとか、雑誌とか持ってきて、いまはこういうのが流行ってますとか言ってくるんですけど、興味ないんですよ。「わたしという素材を使って、好きに料理してください」というのがわたしの本音です。

とはいえ、そんなことは言えませんから、そんなこだわりないんで、バッサリスッキリしてくださいみたいにオーダーします。

で、オートシャンプされながら色々考えていたわけです。
これが巷で話題の「オートメーション」かって。AIとか人工知能とか、そんな大層な話ではないけれど、地方のローカル駅に入っている、カット専門の散髪屋さんまで、自動化の流れが来ているということを考えると感慨深い。こうやって人はどんどん排除されて、髪も機械で洗われる時代になったんだなって。

でもね、このオートシャンプ。結構ツッコミどころがある。まず、オートシャンプする前に、おばちゃん軽く手でシャンプしてくれる。で、それが終わったら、耳に綿いれて、なんか頭にセットしてオートシャンプが始まる。自分は目に布を置かれて視界が遮られているから、頭皮の感覚と雰囲気だけで何が起きているか想像するしかない。

オートシャンプを頭にセットされて、いよいよってときに「なんか異常があったら手を挙げてください」って言われる。

手を挙げるってことは、常に近くに人がいるのかな?
それとも、オートシャンプしているときは、さっきカットしてくれた床に散漫した髪とかを掃除しにいったりするのかな?って思ったけど、そんことしてたらこちらが手を挙げても意味ないよなとか考えてたわけです。

つまり、自動化によって不要になった人間は、有意義な時間の使い方ができるかみたいなことが気になったんですね。

そして、これはあくまで気配なんですが、どうやらオートシャンプしている直ぐそばに、ずっとおばちゃん立っているっぽいんです。

オートシャンプは、体感 5分~7分くらいの間隔…その間ひとときもぼくのそばを離れた素振りがない…なんのためのオートシャンプなんだろう。

効果・効能に関して言及するとですね、そこそこに気持ちいいんですがやはり人の手には敵いません。美容室のシャンプってかなり気持ちいですよね。あれ、結構好きなんです。シャンプっていうより、頭皮マッサージみたいな感じで。

なので、オートシャンプ中、ずっとそばに立っていて、様子を伺っているんであれば、最初から手で洗ってくれよと思わないわけでもないんです。

話が横道にそれまくっちゃってますが、髪を切るっていうのはどういうことか。皆さん考えたことありますか。

これは自分にとってはただの習慣でしかないなーと思ったんです。2~3ヶ月にやらないといけないことただ、それだけ。

自分の髪型が、アイデンティティの一部を形成しているなんてこともないし、こだわりの髪型とかもないんです。長くてもいいけど、長いの面倒くさいし、短いのがかっこいいというより、楽だから短くするだけで、髪の長さにもこだわりはありません。

でも、人によっては、髪を切るという行為、もしくは髪型がその人のライフスタイルだったり、アイデンティティそのものだったりします。海外のラッパーとか、お相撲さんとかは、まさしくですよね。

もっと身近な存在で言えば、ぼくのパートナーも、長い時間をかけて髪を乾かし、ちょっとお洒落してお出かけするときはアイロンで髪を巻いたりしています。

同じ行為でも、それがただの習慣なのか、もしくはその人のアイデンティティなのかは、性格やらその人の価値観やらが色々関係してそうです。

それだけでなく、美容室や、こういうカット専門店の散髪屋さんがあったり、理髪店があったり、おなじ散髪という行為をとってもいろいろなビジネス形態があるということが面白いなと思います。

そんなことを考えながら、オートシャンプを楽しんでました。

終わり。

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