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JHAMP〈肥薩線美術館プロジェクト〉地域連携アドバイザー派遣②

地域で活動する団体を応援する【地域連携アドバイザー派遣】。本記事では、日本肥薩線美術館プロジェクトJHAMPと、地域連携アドバイザー・市村良平さんによる、第2回目の意見交換〔オンライン〕の様子をレポートします。

▼▼第1回目の意見交換の様子、
団体やアドバイザーの紹介はこちら


意見交換の冒頭に、まずは、現在JHAMP主催のアートイベントの代表格になっている〈アート鬼火焚き〉第2回開催(2024/1/6)を振り返ります。

〈アート鬼火焚き〉は、肥薩線植村駅にある植村自治会とJHAMPによるコラボイベント。伝統行事である鬼火焚きにアートな要素を取り入れ開催しています。

▼▼第1回アート鬼火焚きの様子はこちら

2023アート鬼火焚き
2023アート鬼火焚き

◆レベルアップした第2回アート鬼火焚き

イベント当日の来場者数はおよそ250人の大盛況!

◎タイムスケジュール
16時位~マルシェ&ライブペインティング開始
18時位~鬼火焚き火付け

◎新しい動きや気づき
・ミニマルシェを同時開催
・Instagramを立ち上げ告知を開始
・自主財源確保のため、バッジと鬼火焚き用の餅〈笑門餅〉を製作販売。収益をアーティストさんへの謝金や経費に。
・アーティストによるポストカード販売
・予想以上に16時から来場する方も多く、マルシェやパフォーマンスを楽しんでいた
・今年の竹のオブジェはジャングルジム。子どもたちの遊具に。
・アーティスト〈南部式〉さんが飛び入り参加してくださり、赤鬼が出現。お祭りムードですごく良い雰囲気に。
・テレビやニュース、新聞などメディアの注目も
・来場者アンケートを実施し100名程の回答を得られた。来場者は家族連れが多め。感想として、餅を焼いて食べるとか、鬼火焚きそのものが少なくなってきているので、印象に残りましたという声も。
・鬼火焚きの来年の打ち上げは自治会の皆さんとしたい。地域といい関係性を作っていきたい。

◎改善したい点など
・寒かったため、火付けを待つ時間に、焚き火やイベント企画があればいいかも。
・鬼火焚き自体の由来や地域文化など教えてくれる何かがあればいい。

(ふりかえり内容の一部をご紹介)
竹のジャングルジム
井料明歩さん・ライブペインティング
昨年のアート作品である竹のブランコを鬼火焚きとともに燃やす

JHAMP杉川さん:「横川駅駐車場に車を停めて、そこから一駅電車で来てくださいとアナウンスしたんですけど、想像以上に利用してくれました。イベント終了後、地域の婦人部の方たちは電車を見送るために駅へ。地元は手を振って見送る・電車に乗った皆さんもこっちに手を振り返すというのがすごく良かったです」。

◆直近1年の動きを考える/運営体制

まずは中長期目標のおさらいから。

◎最終的な長期目標(10年後)
各駅に美術館のような展示室を作り、日常の中にアートに触れる場を作りたい。有名な方の作品から駆け出しのアーティストのものまで、色々なアートに触れられる場にしたい。

◎中期目標(3~5年後)
・「肥薩線沿線上ってなんだかアートのまちだよね」とイメージを持ってもらえるような、アートイベントの定着化をしていきたい。
・ギャラリー的な場を作っていきたい。まずはアート鬼火焚きの会場を植村駅展示室に。今後、こうした展示室を増やしていきたい。
・そのためにも資金面が大事になってくる。

JHAMP白水さん:「アート鬼火焚きのほかにも、イベントを増やしていきたいなと思ってます」。

杉川さん:「次のイベントの案として、写真館さんとコラボして写真撮影会を考えています。許可等を頂いて駅などで撮影できたら、アートイベントとして良いのではと思っています。撮影した写真の展示会も開催したい。その展示会場が、その後も展示室になっていくような流れが作れたらいいなと。次の展開として、リサーチ中です」。

オンライン意見交換の中で共有された企画案

市村さん:「各駅に展示室という話では〈この駅だったら地域のこの人〉みたいな人がいるとやりやすそうな感じがしますね」。

白水さん:「駅の保存団体の方たちはじめ、地域の方々ともやりとりするので、人と人をつなぐという役割はできそうです。ですが、意外と細かい手間がかかってしまう。私一人ではなく誰かが一緒に動ける体制を作らないと大変かなと思います」。

白水さん:「アート鬼火焚き2回目をやってみて、うまくいった手応えもあれば改善点もあり、あらためて気づけたのが大きな収穫でした。そして早急に整えなければと感じたのが運営体制です。情報の共有や役割など、活動を進めていくためにも、やはり体制を整えないと持続可能じゃないなと」。

杉川さん:「体制については組織図を作ってみました。応援団という形でサポーターというのもあったらいいなと思ってます。ファンでありながら、時にはスタッフの一員にもなるみたいな。イベントの時に、駅にいてくれて、来てくれた人たちを出迎えて案内するとか」。

オンライン意見交換の中で共有された組織図案

市村さん:「事例でいうと〈大地の芸術祭〉の"こへび隊"(越後妻有)というのがあります。”サポーター”とか”ボランティア”でなく、芸術祭を一緒に支えてくれる方々をそのようにネーミングして募集していて、結構人が集まっているようです。

貢献意欲を大切にするというか、ある程度自由度を持たないと、それこそ単純にボランティアになってしまうので、サポーターが能動的に関われる環境をつくることは、考えたほうがいいかなと。

そういう意味でも、組織を作るとき、目標・目的・行動指針などを、割とはっきりしたものにして、共感を持ってもらうことが大事かなと。『こういう想いで動いています』というのが、伝わることが大切かなと思います」。

◆直近1年の動きを考える/資金調達

市村さん:「組織運営体制の課題については、有償でやる方向で動いてもいいのではと個人的には思っています。メンバーが、それこそボランタリーで、手弁当でやるっていうのには、やっぱり限界があるんじゃないかなと。そうであったとして、本業にうまみが出るのであればいいですけど、まだそこまでいかないのであれば、多少なり参加することで利が発生するような形を作っておくというのは、長く続ける意味では大事かなと思います。

あとはアーティストの皆さんの作品が売れることが、ここにいることのメリットにもなると思うので、組織内部のインセンティブ設計というか、そういうところはしっかり作っておいた方がいいかなと」。

白水さん:「デザイン費やアーティストの制作費のような感じで出せるようにできたらいいですね。自主財源で回るのがベストですが、補助金等も適用範囲内で活用して、お金という形で落ちるようにしたい。事務方経費・事務方インセンティブもどこかからひねり出したいな」。

市村さん:「自主財源を得ていくことに関しては、色んな財源を持っておく、財源を分散していくというのが結構大事です。そこは着々と積み上げていくしかないかなと。

あと、協賛金なども有り得る気がしています。以前、建築系のイベントをやっていたときは、建築系の資格学校が協力してくれたり。企業から頂くというのも選択肢としてはあり得るかなと。何かしらメリットを作りながら協賛金を獲得していくっていうのも一つですね」。

杉川さん:「協賛してくれた企業名と無病息災という餅をつけて、鬼火と一緒に焚き上げるのもいいですね。昔からお寺や神社でも、寄付してくれた人の名前と金額があったりしますよね」。

市村さん:「福笹というのもありますね。そういうのをアート鬼火焚きの時に作って企業にプレゼントするとか。そこら辺のストーリーを作っていくのはありだなと思いますね」。

◆直近1年の動きを考える/関係者とのコラボ

杉川さん:「アート鬼火焚きで、〈植村盛り上げ隊〉というInstagramを運営している地元の高校生に出会いました。春に上京するのですが、ムービーカメラマンになって地元に帰ってきたいと。今後に期待したいなと嬉しくなりました」。

植村盛り上げ隊Instagram

市村さん:「そうした高校生と関わりを持てたらいいですね」。

杉川さん:「高校といえば、霧島高校の子どもたちが霧島温泉駅にイルミネーションを点灯したいという相談を受けました。子どもたちが考えていることを知るために事前授業も行いました。イルミネーションイベントも好評だったようです」。

市村さん:「最近、地域を案内する・おもてなしするとか、そういう事業に取り組まれる高校が結構あります。たとえば、アート鬼火焚きの時に、〈電車で来た人たちにどんなおもてなしをすると喜ぶだろうか〉など、自分たちで考え、実際にやってみて反応を見るようなプログラムにサポーターの位置づけがあると、能動的にできるんじゃないかなと。

案内一つにしても、いい案内役とそうではないケースもある。そういうのが来場者の『来てよかったね』につながる気もするので、今あるつながりを生かしながらやっていくのもいいですね」。

▼▼ 関わり方の参考事例として
市村さん:「事例として、【愛知のトリエンナーレのエデュケーションプログラム教育普及プログラム】。どんなおもてなしをすると来場者が喜ぶか・行きたくなるかというのを、事前にワークショップしていて、僕が行ったときには温かいおしぼりを出してくれました。サポーター自身が考えて実行するというのがいいなと。

もう一つは、【神村学園・市来農芸高校・串木野高校がコラボする食を生かしたまちづくり事業】です。高校によって得手不得手があると思うんですけど、こうした事業をするときに、専門性を持つ学校が有利ということではなく、やることは沢山あります。例えば、コンテンツをどう伝えるか・どういう発信をすればいいかを高校生目線で考えてもらうと、彼らはすごくやりがいを見出します。新たな提案が生まれてくることもあります。それは大学と高専も一緒だと思うので、学校の得意分野を生かしてくれる場として使ってもらうというのは良い気がします。最近、教育系のところって外に出る機会を伺っているような感覚はありますね。そこら辺のコラボができるといいのかなと思いますね」。

白水さん:「肥薩線沿線エリアの今後の動きとして、JHAMPが生まれたきっかけともなった【Mark!肥薩線プロジェクト】にて、来年から沿線事業者を中心に定期的に集まりつつ、生まれたアイディアを可能な範囲で実現化していこうとしています。

その中で、アート系、音楽イベント、外国の方々向けの何か、とか関心を持ってる人たちが多いので、JHAMPも一緒に何かできそうだなと感じてます」。

Mark!肥薩線プロジェクトInstagram

最後に、杉川さんより「市村さんにJHAMPにアドバイザーとして入ってほしいです!仲間になりたい。何より経験値のある方なので、アドバイスを頂けたら」という熱烈オファーを快諾されて意見交換は終了。

白水さん:「今回はこの制度を使わせて頂き、市村さんにご意見を頂き、ありがとうございました。大変参考になること・勉強になることばかりで、こうした真面目な話をする場がなかなか作れなかったので、自分たちの整理整頓においても、とても有意義な時間となりました。ありがとうございました」。

今後益々のご活躍を応援しております!!
JHAMPの皆さん、市村さん、お疲れ様でした!!

本事業は【令和5年度 鹿児島県共生・協働センター「地域資源活用・協働促進事業」の地域連携アドバイザー派遣】を活用したものでした。詳細は、共生・協働センターのHPをご覧ください。


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