【感想】苦役列車

エッセイを書く上で、著名な作品を読むのが良いと思い手を出した。

作者の人生と比較すると私はかなり恵まれた生活を送ってこれた。両親に感謝している。しかし私は犯罪を犯していないが、だらしない人間で、そのために苦しい出来事を経験した。この特性が将来の子供に受け継がれたら、私は非常に不快に感じるだろう。子供が私の特性を受け継いだばかりに苦しい経験をするのだとしたら、私は子供を作らない方が良いと心の底で考えている。遺伝は恐ろしいものだ。

小説に出てくる貫多は、父親の犯罪行為によって未来を奪われ普通のサラリーマンになる人生はなくなった。このような生活をしている人は意外と多いかもしれない。市役所で生活保護を担当している友人と話した時、多くの受給者が支給されたお金で競馬予想をしていたと聞いた。受給者の家に赴くと、ベッドの下にスポーツ新聞やゲーム機を隠していたらしい。あとがきで石原慎太郎も書いているが、多くの人はこのような生活に落ちないよう努力を続けているのかもしれない。逆に、そのような生活でも問題ないと思う人は、それで大丈夫だろう。

AIによる仕事の代替が進む中、AIを駆使してさらにお金を稼ぐ人たちと、そうでない人たちが出るだろう。そうなった時、この本を思い出し、落ちたくないと思いながら、今日を自分のできる範囲で乗り切りたい。

それにしても作者の自身を性格もステータスも底辺と自覚した客観的で冷徹な筆跡はエッセイを書く上で大いに参考になる。


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