拝啓コテンラジオ、勇気をありがとう

息子が一歳を過ぎたいま。一緒に公園に行くときや、昼寝中に家事している間、ラジオがぴったりなメディアだということに気づいた。視覚を占領されずにインプットできるのが素晴らしい。骨伝導のBluetoothイヤホンを買ったことも大きくて、耳を塞がないので、息子の様子をシャットダウンしないまま気軽に聞ける。

ついでにコロナときたものだから、この春以降外出時にはマスク必須で、ちょっとラジオが面白くてニヤッとしても怪しまれない。骨伝導イヤホンとマスクでいつでもどこでも、素敵なラジオライフを歩める環境が揃ってしまった。そういうことで、初めてポッドキャストなるものをダウンロードしてみた。

見つけたのがコテンラジオ。

なんとなく聞いてみたヘレン・ケラー回(108回)で泣いた。なんならスーパーで買い物しながら、泣いた。目から汁が出てたらマスクがあっても意味ないじゃんね。
この回は内容が感動的なわけじゃないんだけど、ヘレン・ケラーの乗り越えてきたこと、感じてきたことを知ることで、わたしの人生の点と点だったものが、線になるのを感じた。彼女みたいな三重苦があるわけじゃないし、生まれにも育ちにもなんの共通点もないけれど、うっすら「こうなのかも」「こうだったかも」って思うことに解釈の余地を与えられたような気がして、衝撃を受けた。

歴史を知るって、こういうことなんかな。

誰かの生き様を知ることで「こういうふうに生きてもいいんだ」と思えたり、「なにが正解か間違いかなんて、いま知ったことではないんだ」ということを知れた。それは勇気になるね。わたしの情動や衝動や情熱をわたしのちっぽけな価値観でいま無理に判断しなくて良いし、同じように誰かの価値観で判断されなくて良いんだ、と思うと安心した。安心して、取ろうか悩んでた資格の教科書を買った。拝啓コテンラジオ、勇気をありがとう。

聞いていて心地良いのは内容だけじゃなくて、深井さんが誰かの意見に対して最初に必ず「そうだね」と相槌をいれてくれることだったり、深井さんとヤンヤンさんがそれぞれに調べてきたものを語りの中でカバーしつつ統合していくところだったり、樋口さんがコテンのお二人を持ち上げるでもなくリスナー目線で聞きつつも理解を深めるのを手助けする質問をしてくれたりするところなどなど…。Twitterにも書いたけど、このお三方は面白いと思ったことをそのままの熱量で共有できるスキルが高すぎることも魅力のひとつで、「ヘレン・ケラーってよく知らんし…」と思っていたところから、彼女の残した名言(114回)を聞いてまた泣いた。目にもマスクいるんちゃうか。

明日は日曜日。
骨伝導イヤホンとポッドキャストとマスクを持って、息子と公園に行こう。君はすべり台で遊んでおいで。わたしはここで聴きながら、見ているよ。お互いの衝動を抱えたお互いの人生をお互いに楽しもうね。

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