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3泊3日グアダラハラ小旅行(2日目)

グアダラハラでの2日目は思う存分寝坊して過ごせるほどに静かに訪れた。十分な睡眠を貪ったのち、歩いて1分ほどもしないところにある小さなマーケットで朝食用のヨーグルトやらオレンジジュースを調達し、一旦部屋に戻りその日のスケジュールについて話し合った。済ませるべき用事は1日目に片付けてしまったので、2日目以降は如何様にも過ごせる予定だった。

2泊目から滞在したエアビーのあるトラケパケはグアダラハラの中でも我々のお気に入りの場所。おしゃれでカラフルな建物が立ち並び、通りのあちこちにアート作品が点在する大きな野外ミュージアムのような街。

こんな感じで街のあちこちに銅像が展示されている

前回の訪問時に魅了され、このエリアに住むのも悪くないねと話し合ったほどだ。
中心部は観光客で賑わっているが少し外れると閑静な住宅街。

今回の二度目の訪問はただのんびりこの街の住民であるかのように過ごすことにした。まずは生鮮食料品やスパイス、日常生活に必要な様々な商品が揃う街の中央市場を物色してみた。棚に並ぶ野菜や果物はいずれも新鮮で綺麗に陳列されており、この街に住むことがあればここに買い物に来るであろうことは間違いなし。今回はまだ旅行者なので品揃えや値段をチェックするだけにとどめ特に何も買わずにその場を離れた。

しばらくウィンドーショッピングを続けた後脚の疲れと喉の渇きを癒すため中心部広場に面した屋外バーにて夫はビール、私は白ワインを傾けしばし人間ウォッチング。近くのテーブルでは男女ペアの警察官が遅めのランチを食べていた。このバーは持ち込みオッケーらしく二人ともタッパーに詰めて自宅から持ってきたらしい食事を突いていた。途中、安菓子を売り歩いている貧しい少年が通りかかった際女性の警官は少年と会話を交わし菓子を買ってあげていた。この国の経済は上向きで人々の豊かさは日に日に増していることは確かだ。だが貧しさもまだまだ根強く残っている。たとえ自分たちが今は貧しさから抜け出すことができているとしても貧しさを身近なものとして受け止め、蔑むでもなくましてや憐れむとも違った態度で接している人を多く見かける。以前あるバーでビリヤードを楽しんでいた際、件の菓子売り少年と似たような少年が我々に菓子を売りに近づいてきたことがあった。メキシコで生まれ育った女性たちはやはり少年と一言二言会話を交わし、小学校低学年程度と思われる少年は笑顔でおばちゃんたちの質問に答えながら自分の置かれている状況の割に屈託ない笑顔を見せていた(ように私に見えただけかもしれない)。少年が立ち去った後、同じくその場にいたアメリカ人女性は多少プリプリした口調で「あんな小さな子供にお金を稼がせているなんて!」と言い放った。少年と一番多く言葉を交わしていたメキシコ人女性は「でも家計を助けるため彼はああするしかないのよ。」と困ったような顔で弁解めいた説明をしていた。

貧しい者は貧しいなりの矜持を保っているのだなぁと感じる出来事もあった。前の晩街に出て軽食用に食料を調達していた時フルーツや野菜を売っている店がなかなか見つからなかった。手押し車でバナナを簡単に加工したチョコバナナみたいな菓子を売っているお兄さんに加工前の単なるバナナを売ってくれないか尋ねたところ二つ返事でバナナを差し出してくれた。「いくら?」と尋ねると「いらないよ」と言う。「いやいやそういうわけには。」「いやいや、いらないよ」と言った押し問答の末私は無理やり20ペソを屋台の上に放り投げてその場を去った。加工したバナナを食べたくはなかったが、本来であれば加工品を正規の値段で購入してから生のバナナを所望するべきだったのかもしれない。

さて、バーで昼間っからビールとワインをひっかけて街行く人々を眺めている間に繰り返し停電が発生した。まだ陽が高いうちだったので我々はさほど影響を受けず、室内にいたわけでもないのでエアコンが切れたことによる暑さを感じることもなく、むしろ大音量でどこかのスピーカーから流れていた音楽が止んだことによる静けさを心地よく感じたくらいだ。電力は回復してはまた途切れといった状況を数時間繰り返した。

暗くなる前には食事を済ませてエアビーに戻った方がいいだろうということで、停電中でも食事を出してくれるレストランに入って適当に注文した。電気はなくともガスコンロは使えるので調理をすることは可能。さすがに客は我々1組だけで、夕食のシフトに備えて出勤してきていたレストランスタッフは皆手持ち無沙汰にしていた。食べ終わってそろそろ帰ろうかというタイミングでようやく電気は復活した。それと共に店内に音楽が流れ始めた。静けさの中で食事を済ませることができたことを停電に感謝。メキシコの飲食店の多くで流れる音楽は生演奏であれスピーカーから流れてくるものであれ音量が大きすぎることがほとんどだ。

無事エアビーに戻ってテレビを見ていたら再度停電が起きた。5分ほどで電力は回復し、その後安定した。

グアダラハラでの最後の夜はそんな感じで暮れていった。


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