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空きっ腹に飲酒

24時間ファスティングの翌日、反動なのか夫婦で飲み過ぎた。マンションの屋上で隣人達との会話に花が咲き、ビール、ワイン、テキーラとそれぞれが持ち寄り、気がつけば酔っ払いの集団。弾んでいた会話も終盤には雲行きが怪しくなり、誰かの発言に腹を立て一人去り、更に別の口論が勃発しもう一人去り、場がシラけて陽気に始まったはずの宴はお開きとなった。

二人で部屋に戻ってからも直前の不穏な空気の余韻が立ち込め、夫との会話は何かに引き攣り込まれるようにどんどん悪い方向へと進み、一触即発というところでありがたいことに二人とも寝落ち。

翌朝は頭痛とムカつきで目が覚めた。夫が充血した眼で「喧嘩の途中だったっけ?」と掠れた声で問いかけるので、私は「いいや」と同じく掠れ声で即否定し、とりあえず平和条約は結ばれた。

数時間後夫が既に仕事に出かけてしまってから、ドアにノックの音がした。開けてみると昨夜の屋上の宴会に参加していた一人の女性が所在なげに立っていた。
「昨夜は飲みすぎてしまって失礼なことを口にしたかもしれないのでお詫びに来たの。正直言ってあまり覚えていないんだけど、主人に散々注意されて、いても立ってもいられなくなって謝りに来たの。ごめんなさい!」と涙ながらに訴えてきた。
「いやいや、昨夜は皆んな飲みすぎて貴方だけではなく皆んな度が過ぎていたのよ。」と思わず彼女を抱きしめた。
私はあまり自ら人をハグするタイプではないが、彼女がまるで6歳の女の子のように全身で反省している姿を目の前にしてそうせずにはいられなかった。

さて、その女性の件を仕事から帰ってきた夫に伝えたところ、
「え?彼女はそんな失礼なことを言っていたっけか?」と意外そうにしている。

実は、私はそれほど酒に強くなく、記憶が飛んでしまうほど飲むことはできない。昨夜の酒宴での会話もその後の夫婦二人の会話も大方内容は覚えている。

酒に酔うのは楽しいけれど、酒に呑まれないよう気をつけるべし。


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