芝を買いに茨城まで
昨年10月に入居した我が家の庭には人工芝がびっしり貼ってあった。
人工芝は手入れが必要なく常に見た目が均一で楽なのだが、なにせ人工的である事が欠点でもある。夫は入居当初からいずれは本物の芝に入れ替えようと言っていた。
本物の芝に入れ替えようと思っているんだと夫が人に話すと、皆口を揃えて本物は芝刈りや草むしりなど手入れが大変だとか、猫が来てやたらと用を足していくだとかネガティブな意見ばかり返ってきた。
夫はゴルフ関係の仕事を何十年も続けてきているので芝生とは無縁ではない。もちろんゴルフ場でグリーンキーパー(ゴルフ場の芝生を管理する人)をやっていたわけではないが、長年様々なゴルフ場との付き合いの中で色々な状態や種類の芝生を見てきている。子供の頃住んでいた家にも芝生があって草刈りをした経験もある。そんなに大変なはずはない。
それでも、みんなが「本物の芝生は大変だよー」と言うからには何か日本特有の問題があるのかもしれないと夫も慎重になっていた。実際に本物の芝生を植えてある家の前を通ればその家の人に話を聞き、どの程度の頻度で刈っているのか、水やりはどの程度か、猫は来るか、等々確認していった。一軒一軒確認していくと人が言うほど大変な事は無さそうだとわかった。
この芝生の一件は日本人特有の「良かれと思ってのペシミズム」の現れかもしれない。大変なことや面倒な事を未然に防ぐための注意喚起。
そうこうしている内に季節が進み、午前中に最も日差しを強く受ける我が家の庭は照り返しがキツくなってきた。人工芝はプラスチックなのでもろ陽の光を反射して庭の気温を上昇させる。庭に素足で出るのを好む夫は熱くて足の裏を火傷しそうだと言い出し、いよいよ本物の芝生に替えるのは今しかないとなった。
夫はホームセンターで売られている芝は茶色くて不健康そうだからあれは買いたくないと言い、芝の原産地まで買いに行こうと言い出した。ネットで調べてみると茨城県の業者で個人にも少量売ってくれるところを見つけた。問題は送料が芝生自体の金額より高くなってしまうこと。
そこで、我々は軽トラックを借りて自分たちで引き取りに行く事にした。往復4時間かけて茨城県下妻市まで芝生を取りに。現地は青々とした芝生畑が多く、気持ちの良いドライブだった。
購入した芝生はできるだけ早く土の上に敷いた方が良いので帰宅後急いで庭に敷き詰めた。本物の芝にしただけで庭の気温が少し下がったような気がする。このまま上手く根を張ってくれますように。
庭の広さを誤って計測したらしく、かなり芝が余ってしまった。どなたか本物の芝生いりませんか?
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