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人生のサントラ

この前Netflixで「究極のペテン師:人を操る天才たちの実像」(原題はThe Puppet Master)というドキュメンタリーを観た。自分は英国のスパイだと偽り、数多くの人を騙し、誘拐し、洗脳し、金を奪い、今も同じような手口である家族を苦しめ続けている男性の犯罪の手口を追った3話完結のミニシリーズだ。この男性が犯行に手を染め始める1980年代から現在までを時系列ではなく時代を行ったり来たりしながら、その巧妙な手口が犠牲者やその家族の証言を交えて紹介されていく。

この男性の初期の犠牲者の女性の証言の中で、自分は誘拐されているという事に気付かずにある入り組んだ理由でロードトリップに出ていると思っていたという話が出てくる。車で移動している間、犯人はカーステレオでデュランデュランの「美しき獲物たち」(原題A View to a Kill)という曲を飽きる事なく繰り返しかけ続けたそうだ。

母親を誘拐され、今現在も母に戻ってきて欲しいと訴える若い女性も、その男性が彼女たち家族と同居していた頃ドライブに出かけた際にカーステレオでやはりデュランデュランばかり聴いていたと証言していた。恐らく同じ「美しき獲物たち」という曲だったに違いない。

この曲は1985年に公開された007シリーズの同名タイトル「美しき獲物」A View to a Killのテーマ曲だった。自分はスパイだと偽っていたこの男性はこの曲を自分の犯罪のサントラとし、これを聴いて役作りをし、自分の気分を盛り上げでいたのかもしれない。自分はジェームス・ボンドばりのスパイなんだと自分をその気にさせて。その部分だけ切り取ると、可愛らしいなと思ってしまう。彼の犯してきた犯罪は決して可愛らしくはないが。

ペテン師でなくてもスポーツ選手などが試合の前に自分のメンタルを盛り上げるためにいつも決まった曲を聴くようにしているという話はよく聞く。

さて、私の今の生活にサントラをつけるとしたらどんな曲が適当だろうか。思いっきりロックでカッコいい曲を選びたいところだが、今の生活はあまりにも静かで平和。曲というより鳥の鳴き声が適当かもしれない。

カラオケで年配のおじ様方がこぞって「My Way」や「昴」を歌いたがる気持ちもよくわかる。

誰しも自分の人生にカッコいいサントラをつけたい。

あなたの人生にサントラをつけるとしたらどんな曲?



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