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水彩色鉛筆じゃないの??ダーウェントインクテンスに感動

水彩色鉛筆は、前の記事に書いた通り、ファーバーカステル社のもので落ち着いたのですが、その決断に至るまでにどうしても無視できなかった気になる画材がありまして。

ダーウェント社の、インクテンス、という商品です。

一見水彩色鉛筆なのですが、商品説明やレビューを流し読みすると必ず目に留まるのが「乾くと耐水性になる」という特徴。

水彩色鉛筆は、固形の水彩絵の具を鉛筆の芯にして、木の軸の中に入れたというイメージですが、インクテンスの場合、固形水彩絵の具の代わりに固形耐水性インクが入っている、ということのようです。固形の状態のインクそのものは水で溶けるけど、溶かしたものを紙に定着させて乾かすともう溶けなくなります。

購入を決心した理由は単純で。この商品のケースのイラストを作成した方のYouTube動画(Lachri Fine Art)に一目ぼれしたから。細かいテクニックなども、この方の動画で紹介されており、自分でどんな作品を作れるのかだいたいのイメージがわいたところで、高価な買い物でしたが思い切って購入しました。

最初に買ったのがブロックタイプのもの。

すぐにペンシルタイプも購入

ブロックタイプは、広い場所を塗るのに便利です。更に、水を付けた筆を直接ブロックに付けて色を拾って紙に塗ると、紙の上に固形のインクが残らないので、乾いた時に確実に耐水性になります(紙に直接塗りこむと、溶けきれなかったインクが上に色をぬった際に溶け出して濁ることがあります)

ペンシルタイプは、細かい表現がしたかったので、色数を多くしました。色見本も作ってみましたが、やはり使いやすい色を混ぜて使う機会が多く、全色は使いこなせていない状況。36色でよかったかも...
困った点として、鉛筆の軸のお尻(芯の反対側)にある色見本と、芯の色、直接紙に塗った時の色、更には水で溶かした時の色が、すべて違うというのがあります。なので、狙った色を一発で正確に出そうとするよりは、塗っては乾かし、上から違う色を塗り重ね...という作業を繰り返しながら、理想の色に近づけていくのが正しい塗り方のように思います。

ピンクがかった薄紫だと思ったら、かなり濃い紫。でも水を付けたら赤っぽくなった…

そして、水彩色鉛筆と異なる一番の点は、白が別の色の上からくっきり塗れる点です。これは、直接ブロックや鉛筆で紙に塗るより、いったん水を付けた筆で芯から色を取って塗るのがおすすめです。塗ったばかりではあまり目立ちませんが、乾くとまさにホワイトをかけたようなくっきりした白が浮き出てきます。失敗したら、いったん白で塗りつぶし、その上にさらに色を塗るということもできるので、水彩絵の具の苦手な私にはありがたい特徴です。

乾いた赤紫の上に、溶かした白(左)と水色(右)をのせてみたところ。完全に乾いた状態。

今までに作成したものをいかにいくつかお見せします。ちょっと暗めの雰囲気の絵に合っている気がします。写真ではわかりにくいですが、出来上がりの色合いは、透明水彩に比べると「鈍い」感じです。色を塗り重ねているから当然かもしれませんが。

初トライ。ブロックタイプのみ。だいぶゴリゴリ描きました。
暗い色と明るい色のコントラストがよく出ます
白を後から使えるので、ガラス質のものを描くのにも向いているかも。

最後に、このインクテンスに興味を持った方、買うか買わないか迷った場合のアドバイスとして、水彩色鉛筆の代用として買うのはお勧めしません。水彩色鉛筆をすっ飛ばしてこちらを先に買うのも、リスクが高い気がします。むしろ、アクリル画や油絵のように、何層もの絵具を乾かしては塗り、乾かしては塗り…という過程を楽しむ人は、大胆な塗り方を試すことができるのでお勧めだと思います。気になったら、まず少ない色数のセットを買ってみて、ある程度慣れてから大きなセットを揃えていくといいのではないでしょうか。その際、ブロックタイプを買うか、色鉛筆タイプを買うかは好みによります(なお、固形水彩絵の具のようなパンタイプ、というのもあり、こちらは完全に筆で溶かす用途)。こちらの記事を参考に、興味を持っていただければ幸いです。質問がありましたら、気軽にコメント欄にお願いします。

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