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三原色チャレンジ

最近の傾向なのか、それとも私が大人になったからなのか、様々な色鉛筆やクレヨンの製品を物色していて驚かされるのは「色数」です。

ちょっと大きな画材店に行くと数十年前あれほどあこがれていた60色くらいの色鉛筆のセットなら普通に売っていますし、各社で100色以上のちょっと高級な箱に入ったセットを展開していて、一般の通販サイトで購入可能です。値段も、数千円から数万円で、今の経済力なら買えないこともないなあ...と、日々誘惑と戦っています。

その一方で、「あんなにたくさんの色があっても、使いこなせないじゃないか。そもそも、手持ちの色を混色して無限の色を表現するのが、本当に上手い人じゃないのか??」と、またまたあまのじゃくなことを考えたりもします。(ただの買えない人のひがみです)。

そんな私が、たまに挑戦するのが、、赤、黄、青の三原色で、なるべく現実に近い色を再現する試みです。

ご存じの通り、全ての色はこの三原色で表現することができると言われています。ということは、これらの色の配合を微妙に変えて組み合わせることで、120色セットで描いたものにも負けない絵も描ける、ということになります。

では、実力さえあれば、どんな画材でも3色だけ持っていればいいのではないか??と思いますが、そこはそう甘くなく...。

以下、私がいろいろ試してきたうえで、三原色のみで描くことの面白さと制約を述べてみたいと思います。

まずは、水彩画。水を介して複数の色を完全に混ぜることができるので、三原色で描こうと思ったらまずは水彩で挑戦してみるといいと思います。

こちらは、初めて試した時のもの。子供の絵の具(学童用)を借りて描いた記憶があります。
自然な色が出せていると思いますが、やはりパンチに欠けるというか淡い仕上がりになっていますね。

濃い部分は鉛筆でごりごり色を付けて誤魔化しています

次に色鉛筆。水彩画では水で色を薄める、という手が利用できますが、色鉛筆に関しては、明暗を際立たせるためには追加で白と黒が不可欠かもしれません。特に白色がないと、絵にメリハリがないように思えます。

こちらは、プリズマカラーという色鉛筆で挑戦したもの。赤、青、黄の他に、黒と白を使いました。

なお、プリズマカラーは塗り重ねに非常に優れた色鉛筆として知られています。他のブランドだと、例えば赤の上に青を重ねても、紫にならずに青が赤を塗りつぶす形になったり、逆に青が全く紙に乗らないことがあるので、色鉛筆のチョイスも重要になってくることを心にとめておいてください。

さて、このプリズマカラーを使用して気付いたのですが、そもそも、セットの中に入っている「赤、青、黄」が、純粋な赤青黄でないのです。写真を見ても分かる様に、青は、暗めの青で、それ以外のものも、緑ががっていたり、なんだか青とは言えない微妙な青ばかり。従って、それに赤(これも見慣れている赤とはちょっと違う...)や黄を混ぜても、鮮やかな混色にならないのです。その意味では、学童用の12色入り鉛筆の赤青黄は、かなり純粋な(?)色に近い気がします。青に関しては、同量の黄色と混ぜて鮮やかな緑色ができるか、も、見極めの方法の1つかもしれません。

クレヨンに関しては、どうしても混色が難しく、色を重ねるたびに濁っていくので、「混ぜる」というより、「適所に単体の色をおいて、遠くから見た際にそれっぽい色に見えるようにする」ということを心がけるといいようです。完璧に実際の色をコピーしようとするのではなく、暗さ、明るさ、暖かさ、冷たさなどを上手くとらえる、といった感じでしょうか?

「描きにくい」クレヨラクレヨンでもここまでは描けます。

このように試してみた感想としては、どれも挑戦しがいがあって楽しい、というのが挙げられます。描けば描くほど、色の混ぜ方が分かってくるし、物の明暗を見極める力もついてくると思います。3色だけ使用することにこだわって自分の絵を制限してしまう必要はありませんが、ちょっとしたチャレンジとして時折試してみると、色使いの上達に貢献するのではと思います。

そしてやっぱり、色鉛筆や、クレヨン、絵の具の単色の中で、心惹かれる色に出会ったら、躊躇なく手に入れて楽しめばよいですよね。我慢は禁物です。

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