君はMeat Loafを知っているか

 世界で最も売れたラーメンはカップヌードル。世界で最も売れた本は聖書。では世界で最も売れたアルバムとはなんだろうか。様々な団体やホームページでランキングが発表されているので、参照してみると、当たり前だが圧倒的知名度を誇る名盤の嵐。

Michel JacksonのThriller……
Eaglesの初期ベスト……
Pink Floydの狂気……
The Bodyguardのサントラ(エンダァァァァァァァァイ)……

 集計方法などによって多少の変動はあるが、上位陣の顔ぶれは概ね変わらない。そんなアルバム界の頂点に君臨する十刃(エスパーダ)の中に、一際異彩を放つ名前がある。

Meat Loaf - Bat out of Hell (地獄のロックライダー)

 MichaelやEaglesやPink Floydに比べて圧倒的知名度の低さ(日本調べ)。試しに検索してみると……

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 そらそうよ。ミートローフだもん。
 ロック史において、あんまり他アーティストと絡んだり、影響を受けたと公言する人がいなかったりするのが知名度の低い要因なのかと思ったりするが、最も大きいの要因は以下に挙げる3つであろう。

 ①名前
 ②ルックス
 ③ジャケットデザイン

 例えその存在に気がついたとしても、この3つの関門を潜り抜けなければ聴いてみようとは思わない。カイジの3段クルーンかよ。

1)名前

 前述の通り。名前がミートローフだよ?ハンバーグ師匠とやってること一緒。全然かっこよくない。洋楽に興味を持ち始めるような多感な(ちょっと背伸びしてみたくなるような)時期にハンバーグ師匠のアルバム聴きたいと思うか?ラトルズ聴いた方がマシだな!

2)ルックス

 「人は見た目が9割」なんて話もあったので、もこみちみたいに名前ではなくルックスで勝負できればまだワンチャンある。こんな人です。

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 ミートローフだった。もしくは長州力。プロレスファンしか喜ばない。パワーホール聴いてた方がマシだな!

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3)ジャケットデザイン

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 完全にPainkiller。パワフルな高速バスドラにハイトーンボーカルに激しく絡むツインリードみたいな音楽性だと思うでしょ。メタルお断りの人たちはもうここで完全シャットアウト。待って!全然メタルじゃ無いの!いや、このジャケットでそんなこと言われてもMegadethの元ギタリストが松浦亜弥の大ファンなんだよって言うくらい全然説得力ないと思うけど、違うの!

 まずね、Meat Loafっていうのは元々俳優をやっていたロック歌手です。完全に専業歌手で、作曲はしない。この地獄のロックライダーっていうアルバムは全曲Jim Steinmanという作曲家が作ってます。まぁバンドなんかでもボーカルとメインソングライターが別ってのは珍しい話じゃないし(眉毛兄弟とか顔にヒビ入ってる人とか)、日本歌謡史でも昔は完全分業性が当たり前でしたね。

 で、歌手なので当然別にバックバンドがいるわけで、これが凄い。ギターにTodd Rungren、サックスにEdger Winter、鍵盤がRoy BittanにドラムがMax Weinberg(Bruce Springsteenのバックバンド)……全然メタル畑の人たちではない。

 肝心の音楽性はミュージカル調で、アルバムを通したストーリーがある。The WhoのTommy、Green DayのAmerican Idiot、My Chemical RomanceのThe Black Paradeみたいないわゆるロックオペラというやつ。アレンジは大仰だけれどもメロディは異常にキャッチー。Queenが馬鹿売れした日本では売れる可能性十分あったと思うのに、ダメだった。やっぱりルックスか。

 というわけで百聞に一見にしかずなので一度聞いてみて欲しい。ロンドンパンク全盛の77年リリースで1曲10分もあるので完全に時代に逆行してるんだけど、全然長さを感じさせない。お願い!聴いて!そしてMeat Loafを周りの人に薦めまくって「お肉が好きな人なのかな?」と思われよう!


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