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”正解"を覆す | Passions Worth Spreading vol.12

こんにちは!TEDxUTokyo2023実行委員会Off-Stageチームの笠原志保です。私は去年の12月くらいから本格的に活動をスタートしました。ここでは、私がTEDxにどういった魅力を感じているのか、自身の経験から得た学びを振り返りながらお伝えできたらと思っています。

貧困問題への関心


私は南北格差の是正、に自身のキャリアを通じて貢献したいと考えています。幼い頃から漠然と途上国の貧困問題に関心があり、将来はそこに住む人々が貧困から脱せるような、”何か”をしたいと考えてきました。何か明確な原体験があって、貧困問題に興味を持ったわけではなく、ただ、植民地時代に遡るglobal northとglobal southのパワーバランスが、今もなお続き、自分たちが先進国で当たり前のように享受しているものが、多くの人にとって当たり前でないという現実を考えた時、この状況はなんとかしなくちゃならないだろう、と強く思ったのです。大学で開発経済学を学ぶ中で、民間企業によるビジネスが途上国にもたらす持続的な経済効果を認識し、将来は途上国ビジネスに携わり、彼らの生活を改善したいと思うようになりました。しかし、大学二年次の留学経験やその後の海外経験を経て、迷いが生じ、自分がどういった形で貧困問題に向き合うか、迷いを抱えるようになりました。

“エゴ”


留学前、私は「民間企業こそ、途上国の貧困是正に貢献するんだ!」と信じてやまなかったわけですが、米国留学を通じてその考えが揺らいだのです。アフリカ出身の学生が、「自分たちは今の生活でいいのに、先進国が勝手に道路を整備し始めた」この言葉が印象的でした。当の本人たちは、現状の生活で満足しているのに、それを未発展だなんだと言って先進国の型にはめようとすることは、もはや先進国のエゴなんじゃないか、と思うようになりました。自分が勝手に途上国のあるべき姿を想定して、その姿に近づけるために、その国のためと正当化しているだけなんじゃないか、そう思うと自分が今まで信じてきたことが覆された気持ちがしました。また、一部の多国籍企業による資源や労働搾取の現実を認識し、資本主義下で民間企業が純粋に貧困問題に対処することが現実的なのかと疑問にを持つようになりました。民間企業が「貧困解決したい」というモチベーションで事業を起こすことはほぼなく、初っ端にくるモチベーションは「ビジネスになるから」だと思います。ビジネスとして成立しないと見なされれば、民間企業が介入する余地はないのではないか。そもそも途上国に住む彼らは”発展”することを望んでいないのかもしれない、そんな思いを抱え、とにかく途上国の現状を認識すべく、米国留学を終えた後カンボジアに渡航しました。

途上国の現状を目の当たりに


カンボジア現地NPOの方々に聞いてみました、「ここに住む人たちは、自分たちが途上国に住んでいる、先進国より貧しい生活をしている、という比較意識はあるのか、もしあるならば、彼らは裕福になりたいと本当に思っているのか」と。当時の私は「現地の人たちは現状の生活に満足していて、別に変化を望んでいない」という答えを期待してこの問いを投げかけていました。その答えが得られれば、ああやっぱり開発だ開発だなんていうのは先進国のエゴなんだ、とある程度自身を納得させられるから。でも、実際の回答は、「彼らは車を買いたいと思っているし、家も欲しいと思っている。贅沢な暮らしに憧れがある。」というものでした。ここでまたもや私の考えが揺らいでしまったんです。
「君たちは途上国でも十分幸せだから、発展する必要なんてない」なんてこっちが判断するのも違うじゃん、ってなったんです。でも、「君たちは未開発だから先進国を真似て発展しようね」っていうのもエゴなのかもしれない。じゃあ自分はどういうアプローチでこの南北格差に向き合えばいいのか、”正解”って何なんだ、と途方に暮れました。私はこれに対する最適解をまだ明確には見つけられていませんし、先進国の中でずっと生きてきて、温室でぬくぬく育った私が、実際何ができるのか、失望感に襲われることもあります。しかし机上だけでぐるぐる考えていても何も変わりませんし、まずは行動することで見えてくることもあるかと思うので、現在は民間企業としていかに社会課題に向き合うか、ということを考えながら、就職活動に勤しんでいる次第です。

多様性ーTEDxがもたらす価値とは


現在の自身の悩みは、アフリカの学生とディスカッションしたからこそ芽生えた悩みであって、彼女たちと話さなければ、先進国は途上国が発展するのを助けるべきだ!と、盲目的に考えていたでしょう。自分が”正解”だと思う行動が、ある人にとっては単なるありがた迷惑になりうる可能性を、考えられていなかったと思います。同じような考えを持つ人とずっと一緒にいると、さもその考えがこの世の全てのような、当たり前の道理のような気がしてしまいがちですが、違う考えを持つ人たちが交わるからこそ、自分の考えをより俯瞰的に見ることができるようになると思うのです。その意味で多様性のあるコミュニティに属することの尊さを改めて感じています。自身が所属するTEDxUTokyo2023は、メンバー一人一人が多様なバックグラウンドや価値観を持ち、活動する中で多くの気づきを得ています。留学から帰ってきた後、就活への焦りがあったものの、自分の直感を信じてこのコミュニティに飛び込んで良かったと心底思っています。TEDxは言うまでもなく、「多様性」を具現化したようなイベントです。ありとあらゆるバックグラウンドを持つ人々が、自分のアイディアを共有し、お互いに新たな気づきを得る、そんなイベントだと思っています。


私が所属するOffStageは、参加者が潜在的に持つアイディアに焦点を当て、当日の参加者が何かしら新たな”気づき”が得られるようなイベントを設計しています。スピーカーの話から得られる気づきだけでなく、参加者同士の交流やワークショップを通じてさらなる発見を促すにはどうしたらいいか、を日々考えて活動しています。


ブース展示の様子。


毎週のチームミーティングの様子。

このイベントに参加しなかったら、このトークを聞かなかったら、考えることはなかったであろう事柄に気づくきっかけになると思っています。自分の”正解”が覆される、そんな体験にある種の恐怖を感じながらも、胸の高まりを感じるのはきっと私だけではないはずです。

2023年 3月16日 笠原志保

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