「終わり」の季節のカフェラテは


それは夜明けにうっすらと見える日の出のようで

沈む草木は枯れていき
新たな芽が顔を出す

巡りめぐって新しい出逢い

悲しみと期待が半分ずつのカフェラテのようで
慣れない苦味はそれでも悪くないな

砂糖をパラパラと入れて
ゆっくりとスプーンでかき混ぜる

まだ苦い、でも心地良い

いつかはこの苦味にも終わりがくる

でも、だから良いんだ
だからこそ苦味の奥の香りを感じることができるのだから

眠れなくなったっていい
疲れてしまったっていい

この苦味は二度とない、
かけがえのないものだから

水で誤魔化しても消えることはない
からだの奥のほうに染み込んだ香りは

ああ、なんて心地良いんだ
なんて幸せなんだ

苦くて、渋くて、それなのに

カフェラテの底が見えてきた
あのときの苦味も甘くなってきた

そろそろ店を出る準備をしよう
新しい店で次は何を飲もうかな

もっと苦くたって大丈夫
その奥には必ず心地良い香りがあるはずだから

一気に飲み干したカップは
カランと音を立てて机に座った

さあ、いこう。


(解説)

狩猟採集時代の人類なら、間違いなく飲みたがらないであろうカフェラテ。

苦いし、渋いし、子どもの頃は何が良いのかさっぱり分からない飲み物をすするのは、

まるで甘いばかりではない人生を楽しむこと、そのものみたいだ。

あなたが今の苦みを飲み干した先には、どんなものが待っているんだろう。




お金いらないんで、ハートを押すと1万円もらった時くらいの脳汁が出ます