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与格を意識した日

昼と夜が等分なめでたい本日、つまり私の誕生日なんですが、そんな日に私の一つの夢が叶いました。

森ノオトが月刊の紙媒体になります。地元の人にはおなじみ、廣田新聞店の発刊する『ひろたりあん通信』とコラボして、毎月第4土曜日に、青葉区、都筑区の8万世帯に配布されます。

https://morinooto.jp/infomation/hirotarian2309/

記念すべき創刊号を飾る特集は「マルシェ」です。マルシェといえばこの人!コマデリの小池一美さん!!10年にわたり森ノオトで毎月マルシェ情報を発信し続けてきた小池さんに、この10年の地域の変化、進化を深掘りして聞きました。
小池さんとの1時間程度の取材は、お互いがこの地域で積み重ねてきたことの確かな手応えを感じ、最後には涙が出てくるほど。地域を盛り上げたい!という思いで始めたマルシェが、実はセーフティーネットにもなっていて、20年後、30年後の私たちが孤独でない老後をつくる土台でもあるんだなあ、と感じました。

題字横のミニコーナーにご登場いただいたのは、サマンサこと谷幸子さん。彼女を言い表すならば「光を身にまとっている人」。まちの楽しいところにいれば、いつもキラキラとチャーミングな笑顔を振りまいていて、その場がパッと明るくなります。サマンサの元気の秘訣を探りました。サマンサは私の憧れの人でもあります。こんなふうに年を重ねたい、自由でありたい、と思います。

季節のレシピを提供してくれたのは、ハマちゃんです。森ノオトでも話題になった柚子胡椒のレシピ、簡単に作れるのでお試しあれ!今、ハマちゃんは私が最も頼りにしている人の一人で、彼女のお陰で越えられなかった壁を一つひとつ乗り越えている感じ。私以上のブルドーザー。なのに穏やか。見習いたい〜。

https://morinooto.jp/2022/10/28/yuzukoshou/

森ノオトからの情報コーナーのデザインは、松園智美さんです。智美さんがどんなに素敵なデザインを作っても、完全にひろたりあん色になる紙面のオーラ!ゲラを見ながら大爆笑して、この強いブランドを作り上げた廣田新聞店さんをあらためてリスペクトしたのでした。智美さんといえばもう、いちばんの親友ですよね、盟友か。お互い駆け出しの編集者時代から、切磋琢磨してきて、子育てを経て今またこうして一緒に仕事をしている不思議。でも必然なんだろうなあと思います。編集者として外から見る「地域」ではなく、生活者として「地域」を編集視点で見ていく仲間として。編集観の変化もまたおもしろいです。

もちろん編集責任はあゆみ編集長です!半年先まで見据えて計画的に企画やスケジュールを組み、やれ「講座が…象の鼻が…認定が…」と言い訳する人のお尻をしっかり叩き、校了するや否や次号が始まるスピード感の手綱をしっかり握り、安心して仕事を託せる頼れる編集長!!本当に彼女の仕事には信頼感があり、初めて出会った時の「この子のこともっと知りたい、一緒に働けたらいいな」という直感は間違っていなかったな、と思います。

もともと、タウン紙記者から雑誌編集者というキャリアを歩んできた私にとって、紙媒体には強い思い入れがあって、森ノオトでは紙媒体で培ってきた編集術をウェブメディアに応用してきたにすぎず、すきあれば「月刊森ノオト作りたいなー」「季刊森ノオトで雑誌化したいなー」と妄想を膨らませてきました。はからずも「他力」でそれが叶う不思議。廣田新聞店さんが今年3月にお声がけくださって、何度か話し合いを進め、実働が始まり、今日9/23に創刊と相成りました。

最近はこの「他力」というものに関心があります。自力で全部なんでもやることに何の意味があるのか、むしろ委ねて任せることで広がる世界の豊かさを知ってしまうと、自然も「じねん」、自ずとしからしむる成り行きみたいなところでちょうどよい着地になるのだな、と。

ここのところ、私の読む雑誌や生協の機関紙でよく登場する、政治学者の中島岳志さんの発信に、とても関心があり、この1カ月でむさぼるように読んだのがこちらの2冊。

特に中島先生の語るヒンドゥー語でいう「与格」という話に、最近なるほどと合点することが増えてきていて。自分としてはただ在るなかで、「英語が私のところにやってくる」とか、「幸せな気持ちが向こうからくる」みたいな状態のことを指すのですが、まさに「こうありたいと思えるものが向こうからやってくる」と感じたのが、今回の月刊紙の創刊なのですね。
私はこれまで「自力」でなんでもなんとかしようとしていたけれど、その限界を感じて、まだ完璧にはできないけれど、自力を手放してくるほどに、逆に「こうありたい」が叶ってくることが増えてきている実感があります。

逆に、「招かざる客」というのも正直あって、やってきてほしくない困難に見舞われることもないわけじゃないけれど、それは乗り越えたあとに見える世界が変わってくるから、避けて通るだけじゃもったいないこともあったりする。つまり、きちゃったものは、しかたない。どうやって受け入れ、受け流すか、それも自力でたたかうんじゃなくて、その状態をただ見つめることで、自ずと、道がひらけていくんだろうなあ、いや、むしろ自然に流れていくんだろうなあ、と。

まだまだ自我とたたかっている未熟者ですが、40代後半に足を踏み入れた今、肩の力を抜いて、成り行き任せに、好きなことやりたいことを楽しんでいく心境で日々を歩んでいきたいと思います。

うん、40代、楽しいぞ。

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