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「わからないこと=面白くないこと」ではない。 『夜を乗り越える』

久しぶりに唖然となった本である。。

「あんま調子乗んなよ!」

人を笑わす快感と表現することの恐ろしさを知った。笑いを取りたいけど、ライン越えたら怒られて恥をかく。

自分はすごく無理して明るくしている。もう1人の僕がいつもそれを見ていました。

先生が謝ってきた。大人が子供に対して真正面から向き合ってくれた。

小説はあの頃の僕を思い出させてくれた。あの頃の自分の気持ちを具体的に整理してくれた。

いつも保護者や先生は決めつけてきた。僕はどうしても大人が好きにはなれませんでした。常に正しいわけではない。

「めっちゃ頭の中で喋ってる!!」

芥川の『トロッコ』。俺と一緒ぐらい喋っている。こんなに考えている奴が他にもいるんだ。人間失格は一番頭の中で喋っている小説でした。ずっと考えている人たちがいると知れたことが僕は本当に嬉しかった。僕だけではなかった。みんな1人で考え、悩み行動している。

芥川の『羅生門』も読んだ。初めて1人の作家を読むことに興味がわく。

子供の葛藤

芥川の『トロッコ』。自分と同じ子供の葛藤をなんて克明に書くのだろうか。何この怖い話。主人公の少年がいろんなこと考えて、大人に認められたいと思う。でもそんな大人に突き放された時、自分が子供で弱い存在だと言うことを自覚しながらでも弱音が吐けないから、1人家帰る。大人の適当さも描かれている。

大人との出来事で少年の中で大きな変化が生まれる。それは初めての共感だった。

難波という友達に羅生門を読んでやっぱ芥川面白いと言ったら、「ちょっとベタだと思ったけどなあ。予定調和な感じがした。」ことを思い出した。

「これ、人間不信になんで」

『人間失格』。主人公とその友達とのやりとりがやばかった。難波や原に喋ってない自分と全く同じ感覚が描かれていた。主人公はなぜそれを言ってしまうのか。最初から最後まで掴まれっぱなしでした。これはウケる。これは自分もやったことある。の繰り返し。「太宰はなぜ僕のことがわかるのだろう」と不思議に思い特別な一冊。

そんな奴がいることを知れた。

1人考え続け悩み続けていた小学校時代。近代文学はお笑いや音楽、ファッションと同じ刺激的で僕をドキドキさせてくれるものでした。

本は生活に直接反映される。本は本当に必要なものでした。

自分を不安にさせる、自分の中で異常と思われる部分や、欠陥と思われる部分が小説として言語化されていることが嬉しかった。知れた。

「自分は変ではない。あるいは、人なんてみんなどこか変な場面があるのだ。」と。

今までは大人に対して反感しかなかった。騙されるものかと疑っていた。しかし、自分の態度にも原因があったのだと気づきました。

人間失格をよんで、大人が嫌いなのではなく、大人が、人間が怖かったのだと。笑っている顔を大人に見せたくありませんでした。何かを期待することができませんでした。ゼリーを素直に喜んで集れなかった。

ようやく他人と、そして自分との付き合い方

自分のことがわからなかった。整理できていない。明るい、暗い。強い、弱い。どちらにも振り切れない。そして、そんな話ができる相手がいなかった。

でも本に出会い、近代文学に出会い、そんな奴がいることを知れた。本当に大きなことだった。ようやく他人と、そして自分との付き合い方を知っていったような気がします。

誰かの回答or「解なし」の変化の体験

当時、自分が求めていたのは、自身の葛藤や、内面のどうしようもない感情をどう消化していくかということでした。僕が抱えていた悩みや疑問に対して過去にも同じように誰かがぶつかっていて、その小説の中で誰かが回答を出してたり、答えに辿りつかないなくとも、その悩みの変化を体験することができた。視点を増やすことができた。

小説を初めて書く。

あれ全然書けない。構造、文体、構成、方法どんなだっけ。初めてその視点で読めるように。面白い。一行目から楽しめるように。内容そのままで圧縮することをよくやった。テトリスの気分。

「バッドエンドじゃなくて途中なのだ。」

誰にでも青春の中だダメな時期はある。僕の場合は、中2から大2まで全部ボロボロで恥ずかしい思い出ばかりである。失敗しかしてないし、得られたことといえば何もしなかったという空白の後悔である。

やりたいことが2つある時

結論、両方やってみる。それでどっちも無理だって実際なったら、どちらかを選択すれば良い。意外とできるという最高の可能性を確かめるべきだ。そして、可能性を潰すべきではないということ。言い訳なしで両方やる。

なぜ本を読むのか?

感覚の確認と発見

「うわ、これだ!これだったんだ!」自分の中で曖昧だった感情が文章で明確に表現されていること。自分の感覚の確認、つまり共感。自分の頭の中で散らかっていた部屋が整理される。お笑いでいう「あるある」である。

次に、発見。例えば、中高生が不倫の本を読んで、主人公の気持ちになるとか。主人公が自分とは違う選択をすることを体験できたり、自分が信じてたことが批判否定覆ったり。要は、なかった視点が自分の中で増える。

自分に当てはまる部分があるかもしれないし、ないかもしれない。殺人も、そういうこともあるのかなって。過ちまでの過程を知らなきゃ考えは深まらない。他人の人生の選択・判断を見れること。

「わからないこと=面白くないこと」ではない。

読んでみると、やってみると、意外と面白いなんてことはめちゃ多いよね。未知を怖がるな。未知を面白がれ!!!誰より面白く読みたい。

答えがないことを学べる。

視点が増えると、立体的に見えてくる。社会は答えがないことがほとんど。答えがないから、争いがある。背理法でもし答えがあったら、答えを言ってる人が正解だから不正解が屈して争いは秒で片付くはずだろ?

答えがない、生きることは実にめんどくさいことを教えてくれる。「暴力はいけない。」しかし条件つけたら??大切な人が馬鹿にされた。殺されかけた。

自分の視点は世界の一つだという感覚。

とても自戒を込めて言いたい。世界には無数の視点がある。僕の発言はその一つ。その中から「自分の答え」を見つければいい。そもそも答えはそんな簡単に出ない。そして、全然変わりうるということを教えてくれる。

夜を乗り越える。

死にたくなるほど苦しい夜には、これは次に楽しいことがあるときまでのフリなのだと信じるようにしている。

喉が渇いている時の方が、ミスはうまい。
忙しい時の方が、休日が嬉しい。
苦しい人生の方が、例え一瞬でも、誰よりも重みある幸福を享受できる。

その瞬間が来るのは明日かもしれないし、死ぬ間際かもしれない。その瞬間を逃さないために生きようと思う。得体の知れない化け物に殺されてたまるか。反対に、その化け物の背後からこちょこちょしてやるのだ。

[参考]音楽、本

ブルーハーツ。ザ・ブーム。グリーン・デイ。ニルヴァーナ。ミッシェル・ガン・エレファント。ブランキー・ジェット・シティ。ザ・イエロー・モンキー。

又吉(東京百景)。あっちゃんの芸人前夜。夏目漱石(それから、坊ちゃん、吾輩、こころ)。谷崎。太宰。芥川。町田康。村上春樹。三島。武者小路。古井由吉、中村文則(教団X)、西加奈子(サラバ!)。平野(空白を満たしなさい)。

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