知らなくていいこともある。けど、知らないとこうやって向き合えなかった 『余命3000文字』

余命3000文字 (小学館文庫)

私は漢字が書けない

お姉ちゃんが養子の話。漢字が書けない=何も知らない。

「何も知らなかったら、ずっと仲良くできたかもだけど、こうして向かい合ってお互いの目を見て、考えてること感じたことを伝え合うことができなかったと思うよ。」

小学校は1000字。漢和辞典は50000字もある。知らないことだらけ。これから知らなきゃ良かったと思うこともあるかもしれない。知らなくてもいいことを知るのは怖い。だけど、お姉ちゃんは、それでも何かを知ることは楽しいことだと言っていた。まだお姉ちゃんの言うことはわからないことだらけ。だから、これからもっと考えたことたくさん話して、自分なりの答えを見つけていこうと思う。

理解できない相手と、好きな人と、よく話すことの大切さを教えてくれた。知らないことだらけで、知らなくていいこともある。けど、知らないと、こうやって向き合えなかった。そんなことを教えてくれた。

終末のそれから

「今まで、この人と一緒じゃないと生きていけないって思ってた人と、離れ離れになったことはある？」

唐突な質問に、顔色ひとつ変えずに。
「あるよ。数え切れないほどに。でもさ。案外生きていけるもんだよ。それがいいことが悪いことかは別としてさ。」

前を向いて再び歩き出す。何度目かはわからない。新しい出会いを求めて。

きっとこれから辛い別れが必ず訪れる。その時にこれを思い出そう。必ずまたそんな奇跡的な出会いがあると信じて。みんな誰しもぶつかる壁だ。

不倫と花火

「ダメだとわかってても、好きになっちゃうんだよね。損得感情じゃどうしようもできないのが恋愛だと思うよ。」

「不倫相手だから嫌なやつでいて欲しかった？」罵倒できるような女だったら100であなたを否定できるのに、普通の人でいい人すぎて仕方なく見えてしまって、仲良くない夫婦に比べたら、あなたが妻の方が幸せなのかもなんて。。私が知らない寡黙なお父さんの好きなところを言っている。わかってくれている。

「どうして上手くいかないのかなー父親いないから男に幻想抱きがちなの自覚してんだけど、自分なりに反省して幸せになろうと頑張ってきたはずなのになあ。」

そして、母親。

「あいつ(父親)も悪いけど、もっと悪いのは、そんなしょうもない男を好きななる方よね。」

母親は嗚咽して泣く。それを見て私は、あの人が母になってくれたらと思ってしまう自分を恨んで嫌になって、電話番号を消した。このやるせない思いがいい経験を味わえた。感覚の発見てやつか。

衝撃的だった短編

出産拒否

輝いた世界だと信じてほとんどの赤ちゃんが十月十日で生まれてくる。しかし、賢いが故に、残酷な世界を理解してお腹の中で守られることを選んだ赤ちゃん。最後、絶望して自ら首を絞める。

幼馴染証明書

恋人証明書に変わるすっげえ可愛い青い話。かっわいいすぎる。相手に想いを伝えるピュアな気持ちを思い出した。

なんだかんだ銀座

中学校の頃ハチミツでお金持ちを飼うwwwそして、家族のお金がなくなってきて、手放すことになる。悲しい。そして、数年後。やばすぎる最後内定先の社長はウケる。

大誤算

遺産をもらうために結婚するが、なかなか死なない。いつしかそれに対する欲もなくなる。ただ、死ぬ間際に夫に興味を持つ。