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インプットはアウトプット量に比例する[スマートニュース株式会社紀平さん]

スマートニュース紀平さんへのインタビュー

アウトプットがエンジニアの成長の背骨。

Techpitでは電子書籍の作成を通じて、これまでにない新しい執筆体験を目指しています。教材を作成されている方たちの多くは書籍などの執筆体験を抱負にお持ちです。その執筆体験を共有いただくのが、このインタビュー企画になります。


第1回目となる今回は、スマートニュース株式会社の紀平 拓男さんにお話を伺いました。

 Q:自己紹介からお願いします

はい、紀平と申します。私は現在、スマートニュースでエンジニアとして働いておりますが、過去に会社を3社立ち上げました。

最初は2000年頃に学生起業して、受託開発を行っていました。2社目は友人たちとFlash PlayerをHTML5で実現する製品を開発して、DeNA社に売却しました。3社目はサンフランシスコで起業しまして、Webに関する技術に関する企業でした。こちらはスマー トニュース社に買収されて、現在に至っています。

現在はそのスマートニュース社にて、SmartNewsアプリの中でWeb技術を活用した機能開発に取り組んでいます。


書籍化のきっかけになったバズり

Q:これまでの執筆経験を教えてください

最初に書籍を書いたのは大学在学中で、2000〜2001年頃だったと思います。当時Cマガジンと いう雑誌があり、そこでアルゴリズムとデータ構造というテーマで全12回の連載を行いました。

その連載を評価していただき、連載内容をまとめて書籍化したのが最初の著作であるプログラミングの宝箱 アルゴリズムとデータ構造になります。

ありがたいことに、いくつかの大学で教科書として採用していただいております。そんな中、ニコニコ動画で1時間でテトリスを作るという動画をアップロードしたらとてもバズったんです。​

これをきっかけに日経BP社の方にインタビューを受けまして、そのご縁で日経ソフトウェアで半年ほどHTML5ゲームの連載をやらせていただきました。キャリアとしてもHTML5を専門として取り組んでいたのですが、当時の日本はモバイルにおけるWeb技術が非常に高かったんです。

それもあってGoogleの知り合いから洋書でHTML5の書籍を書かないかと誘われて、共著として一章を担当させてもらいました。それがHTML5 Game Development Insights (English Edition)になります。

執筆で工夫していること

Q:洋書まで!素晴らしいですね。ちなみに教科書で採用される書籍ということで、書き方など工夫されたことはありますか?

私は中学生の頃にアルゴリズムに興味を覚えたのですが、当時アルゴリズムに関する書籍で良い本がなかったんです。内容が難しかったり、分かりづらかったりと苦労したので、自分が中学生の時にこういう本があったら良かったな、と思える本を書こうと考えていました。自分が欲しかった本は、他の人にも刺さる可能性が高いと思います。想定読者は過去の自分でした。

Q:洋書について、和書と異なる経験はありましたか?

洋書は共著として十数人で書いたのですが、他の人よりも少しだけ進捗が進んでいれば指摘が入らないというのを学びました。執筆状況を取りまとめている方がいて、遅れている方に指摘が入るんですね。

そのターゲットにならないためにも、他の人の進捗を気にしながら安全地帯で書き進めていました。後はやはり母国語ではない点が大変でした。表現が自分の意図した通りに伝わっているかどうか分からないことがあったので、編集の方との細かい調整が和書と比べて1.5倍はあったかと思います。編集の方が根気よく取り組んでくれたので助かりました。

 Q:共著で苦労した、工夫したことはありますか?

最初のプログラミングの宝箱 アルゴリズムとデータ構造も共著なのですが、一緒に書いた人が昔からの友人だったので役割分担が明確で進めやすかったです。

私が書いた文章を清書してくれたり、相方が不明瞭な点を指摘した部分について私が詳細に書くと言った役割ができていたので、大きな苦労はなかったです。

共著の場合は人数が少ない方が良いと思っています。多人数での共著の場合、どうしても一番進捗の遅い方・モチベーションの低い方に引っ張られてしまうので、全員のやる気の維持が大事になります。書いていく中で何人か脱落してしまって、その章がなくなったりしてしまうこともあります。

 Q:執筆する上でモチベーションを維持するのに工夫していることはありますか?

プログラミングの宝箱 アルゴリズムとデータ構造について言うと、元々雑誌の連載だったので毎月締め切りがありました。定期的に締め切りがあったことで、長期間に渡りテンションを保てたと思います。

ほどよい緊張感があって、自分たちが書かないと大変なことになるというプレッシャーであったり、当時は幸いにして人気のある記事だったので読者の方のフィードバックなどでモチベーションが保てました。心地よいチャレンジゾーンに自分を置き続けることが出来たのだと思います。

読者に喜ばれる「分かりやすさ」

 Q:間もなく新しい書籍を出されるとか?

はい、趣味全開なのですが、都会で撮る 星の軌跡の撮影術 〜はじめて撮る人から上級者まで 比較明合成による撮影の完全ガイドという書籍を出版します。これは都心のような明るい場所からでも綺麗な星の軌跡を撮影出来ることを紹介する本になります。この本は単著になるのですが、明確な締め切りが無かったこともあり、書き上げるのが大変でした。

 Q:こちらはIT系ではないですが、何か違った執筆体験はありますか?

雑誌での連載時に感じていたことですが、図やソースコードを増やすと読者の方に喜んでもらえるんですね。文字だけより分かりやすくなるので。

それがこの書籍の場合は星空などの写真になるので、写真を増やすためには実際に撮影にいかなければならなかったんです。それが凄く大変でした。複数の写真の比較とかあると喜ばれるので、細かく条件を変えたりして最終的に100枚以上追加で撮影したと思います。

インプットはアウトプット量に比例する

 Q:今後Techpitで作成する教材について教えてください

先ほどお話しした【プログラミング】テトリスを1時間強で作ってみた【実況解説】と通じるものがあるのですが、JavaScriptを使ってゲームを作るような教材を作りたいです。

小中学生がトライしてゲームを作って、その後自分で改造にもチャレンジできるようなサイクルができると良いと考えています。

私自身は自分のキャリアにおいて、ゲームのプラットフォームだったり、ゲームのミドルウェアの開発などは行ってきましたが、ゲーム本体の開発経験はほとんどありません。

でも私くらいの年代の人たちはマイコンBASICマガジン(通称ベーマガ)などを読んでゲーム開発を入り口にプログラミングを学んだ人たちが大勢います。ゲーム開発は良いエンジニアになる最初のステップとして非常に良いものだと思っていますので、そういった文化を今の時代でも提供出来れば良いなと 考えております。

 Q:最後に、これから執筆に取り組みたいと思っている方々にメッセージをお願いします

私はインプットの量はアウトプットの量に比例すると考えています。自分が情報を自発的に発信すればするほど、自分のところにも情報が集まってくる。その意味では執筆に限らず様々なアウトプットをするのは、エンジニアとして成長する上でもとても重要だと考えています。

私自身、ブログや書籍などの日々のアウトプットがエンジニアとしての成長の背骨になっています。アウトプットして誰かに伝え、またそのフィードバックをもらうことで、次にそれを活かしてさらに良いアウトプットに繋げていくようなサイクルができれば、執筆に関してすごくプラスになると思っています。

ありがとうございました!

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