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砂の城

まだTwitterが日本で一般的じゃ無かった頃の話だ。

当時はmixiが今よりも物凄く賑わっていて、招待制で且つ16歳未満の利用禁止と言う制限つきだったにも関わらず、それこそ今のTwitter並の隆盛を誇っていた。

同時に、個人がブログを開設する事が非常に流行していて、斯く言うワタクシも複数のブログを管理していた記憶がある。

そんな砌にお付き合いがあったとある絵師さん(個人サイトの管理に並々為らぬ労力を割くお方だった記憶がある)が、ワタクシにこんな事を話してくれた。

「簡単に作る事の出来るモノは、壊すのも簡単。砂の城みたいなものさ。だから私は、絶対にmixiもブログもやらない」

深い言葉だと思った。
どんな世界でも手間隙かかったモノほどいとおしい。
気軽に作れるモノほど愛着が希薄になる…と言うのも判る気がする。ワタクシには彼のこの言葉がズシリと心に響いた。

あれから幾星霜。
かの絵師さんはSNSが隆盛を極める今の社会に辟易したのか、はたまた別の理由があったのか、ネットの海から姿を消した。
今頃はワタクシには手が届かない場所で、ネットの海に濫立する砂の城を睨みつけて苦虫を噛み潰したような顔をしているのかも知れない。

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