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よりぬきついなちゃん

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pixivにて公開中の【鬼っ子ハンターついなちゃん】の二次創作小説より選り抜きの作品を掲載します
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2024年5月の記事一覧

【小説】烏骨鶏【ついなちゃん二次創作】

【小説】烏骨鶏【ついなちゃん二次創作】

神奈川県・厚柿市のスーパーマーケットで、渡部ついなはとある商品を見て声も無く驚愕した。

【烏骨鶏の卵 6個入り3,500円(税別)】

「普通の卵とどう違うのやろ…」

所謂レグホーン種等の卵の6個入りならば、恐らく200円もあればお釣りが来るだろう。ついなは、驚愕を隠せないまま、買い物を終えて帰宅した。

「ただいま」
「おかえり。…どうしたんだい、顔色が悪いよ」
ついなを出迎えたのは、ついな

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【小説】牛鍋【ついなちゃん二次創作】

【小説】牛鍋【ついなちゃん二次創作】

神奈川県・厚柿市。
一見何の変哲も無い雑居ビル様の建物の玄関を潜る、凡庸な服装の乙女の姿がある。

その乙女はビルの中に入ると、左手の手首に巻いていたデバイスのスイッチを押した。
途端に、凡庸な服装から一転、その装束が独特なそれに変わる。

頭にはピンク色のヘルメット。耳を思わせる飾りと大きなゴーグルがついている為、ぱっと見だと豚の顔のようにも見える。
膕迄に届く長髪は黒とピンクのツートンカラー。

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【小説】晩酌【ついなちゃん二次創作】

【小説】晩酌【ついなちゃん二次創作】

遥か空の彼方、雲の上。

瓦葺き、朱塗りの柱、まるで神社のような造りの大きな屋敷の一角。呉座を敷いた上に座布団を乗せ、きちんと正座して食事をしている四人の影がある。

ひとりは白髪交じりのざんばら髮に灰色の着物と言う姿の壮年男性。平安時代の異能者にして剣豪、今は神格のひとりとして破邪遍歴に勤しむ漢…【鞍馬天狗】こと鬼一法眼。

いまひとりは、真珠色の長髪と琥珀色の瞳、赤と黒と橙色の和洋折衷な戦装束

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【小説】逆幽霊部員【ついなちゃん二次創作】

【小説】逆幽霊部員【ついなちゃん二次創作】

「くぁあ」

小林小太郎は、欠伸をしながら新聞部の部室に向かって歩いていた。

近頃はスクープに繋がるような大きな事件も起きておらず、校内新聞に掲載する記事も当たり障りの無い内容のものばかりだ。平和な事は決して悪い兆候では無いが、小太郎は少しばかり退屈さを覚えていた。

(コーヒーでも飲むかな)

小太郎は、校舎の出入り口付近にあるフリースペースに歩みを進める。昼休みともなると、このフリースペース

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