2023ジャパンカップ(GⅠ)

先週のマイルCSはドタバタの末に急遽乗り替わりとなったナミュールが制し、人気二頭が共倒れの結果でしたね。

大外枠に加えて、休養明けよりポテンシャルが落ちる叩き2戦目、さすがの鞍上ムーアでも勝ち切るまでは……と思っていたらまさかの落馬負傷で、急遽藤岡康太に乗り替わり。
それまで単勝4人気とはいえ一桁オッズだったのが、乗り替わりになるや否や一気に二桁オッズ、最終的には17.3倍ですよ。
ムーアが乗るか否かだけでここまで大きく差が出るとは、競馬ファンの意識は怖いものです。
レースは後方二番手のナミュールが直線だけで一気に追い込んで大混戦を制しましたが、それにしても代打一発で大仕事を遂げた藤岡康には魂消ました。
これで一気に評価が上昇し、これまたジャパンカップで武豊が主戦だったドゥデュースに乗れないとわかると、代打として名前が浮上したほどですからね(結局ドウデュースは秋天から戸崎の継続となりましたが)。
一方、人気2頭は揃って馬券外に沈む波乱の結末で、本命にしたセリフォスは好位から直線外に持ち出すとそのまま伸びるかと思われたら案外だったように、見えないところで休み明けの分の余裕残しがあったようですね。
当初の予定だった富士Sからの始動が体調整わないという理由で使えなかった影響は大きかったようです。
一方、シュネルマイスターも毎日王冠でしでかしたゲート内駐立不良をまたしてもやらかし、挙句の果ては出遅れて最後方からのスタート。
これでリズム崩してしまい、セリフォスともども掲示板を外す凡走、結果的にはこれが引退の引き金になったわけですね。
これで秋GⅠの本命馬がエリ女まで複勝率10割だったのが今回で途切れてしまいましたが、今回のジャパンカップは確勝級の二頭が登場、連敗まではいかないでしょう。

【ジャパンカップ】

今秋GⅠのハイライトといえる一戦、イクイノックスリバティアイランドの激突が注目のジャパンカップ。
当初は参戦表明しているのが9頭のみで、少頭数のレースになるのではと思われたのですが、最終的にフルゲート18頭立てに。
胴元JRAとしては少頭数だと馬券売り上げに支障が出るということなのでしょう、”特別出走奨励金”という名の札束攻勢でなりふり構わず出走要請かけた結果がフルゲート18頭立て。
出走メンバー見ても、明らかにここでは出番がないだろうという馬が半数を占めているわけで、指定交流重賞みたく力差が大きい馬がそのまま着差となって表れるレースになりそうです。
そして、チャンピオンズCと両にらみだったパンサラッサが正式参戦したのも、今回の展開に大きくかかわりそう。
当初はタイトルホルダーが大逃げ宣言してレースを引っ張ると思われたところへ、パンサラッサの参戦ですからね。
これまでタイトルホルダーとパンサラッサが同一レースに出たのは2回、一昨年の有馬記念と昨年の宝塚記念でしたが、いずれもパンサラッサがハナでタイトルホルダーが番手に控える展開、今回も恐らく同様に展開になりそうです。
因みに、過去2回の結果はいずれもタイトルホルダーが先着、有馬記念5着で宝塚記念が優勝でした。
パンサラッサのベストディスタンスは2000mですから明らかに距離が長く、長距離GⅠ実績が豊富でスタミナに長けるタイトルホルダーに有利なのは間違いないところでしょう。
そして、2回ともスローの流れにならなかったように、今回もスローにならないのは確実で、道中緩みのない流れから直線の持久力勝負になり、そこから末脚が確実な人気二頭が浮上するという展開が予想されます。
そうなれば、後はイクイノックスリバティアイランド、どちらを重視するかだけ。
今回のジャパンカップは少点数での勝負になりそうです。

◎①リバティアイランド

そんな二強対決でどちらを本命にするか迷うと思われそうですが、今年のJC、この馬の参戦が決定した時点で本命が決まりました。
ズバリその馬はリバティアイランド、ジェンティルドンナ、アーモンドアイに続く三冠牝馬の戴冠に期待します。
JC創設以来、その年の三冠牝馬が参戦した前述の2頭とデアリングタクトの3頭で、その成績は[2‐0‐1‐0]と複勝率100%
唯一3着に敗れたデアリングタクトにしても、先着した2頭がGⅠ8勝馬アーモンドアイとその年の三冠馬コントレイルですからね。
古馬牡馬58㎏に対して3歳牝馬は4㎏軽い54㎏で、GⅠ4勝の同馬にとっても大きなアドバンテージ。
秋華賞から中5週の臨戦過程も当初の予定通り、2回も経験しているローテーションで、中でも桜花賞から同じ中5週で距離延長だったオークスでは大幅にパフォーマンスを挙げての圧勝、2着以下を6馬身千切った上に余力たっぷりでしたから、前走の京都内回り2000mからオークスと同じ大箱の府中2400mに替わるのはもちろん大きな好転材料。

一方のイクイノックスはもはや説明不要の世界レベルホース、前走の秋天のレコード勝ちも相まって前日は1.4倍の断然人気ですからね。
勿論ケチをつけるつもりは毛頭ないですが、とはいえ2000mを1分55秒2で走破してからの中3週は常識的にどうなのか、という問題があります。
何しろ従来の秋天レコードを1秒も更新する”お化け”が付くほどの怪時計。
当の陣営もその反動については否定もしていなかったように、目に見えない何かが潜んでいることも否定できないでしょう。
それに加えて芝2400mへの延長ですから、今回に関しては付け入る隙は十分あると見ています。

その点リバティアイランドの前走秋華賞は稍重ながら2分1秒1と、歴代の勝ち時計と比べれば平凡に見えるタイムですが、裏を返せば寧ろその分余力を残しての臨戦と捉えることも可能。
秋華賞で2着に下したマスクトディーヴァは前走ローズSをレコード勝ちした馬で、その2着馬がエリザベス女王杯を制したブレイディヴェーグ、一方オークス2着馬のハーパーは秋華賞とエリ女を続けて3着に入っているように、この年の3歳牝馬の上位レベルは例年以上で、その頂点ですからね。
今回が初の古馬牡馬相手の一戦ですが、実績と臨戦過程を踏まえれば相手にとって不足なしと見ています。

対抗は勿論イクイノックスで、前述の理由で本命から一つ印を落としたわけですが、いずれも秋の大目標が1着賞金5億円+ボーナス200万ドルの当レースですからね。
過去に好走馬が居並ぶ絶好枠の白帽子を2頭とも引き当てたのは大きく、二頭のマッチレース濃厚の一戦とみます。
あとは馬券内の残る一つの席にどの馬が食い込むか。
冒頭でも触れたようにパンサラッサの参戦で展開的に俄然優位になったタイトルホルダーが単穴。
逃げるパンサラッサを番手で追走する形で、その2頭に絡む馬がいないとなれば、マイペースの競馬に徹することは可能で、パンサラッサを交わしてセーフティリードを取る競馬で、後ろから差し込んでくる人気2頭を封じ込めるかでしょう。
あとは瞬発力勝負になりやすい府中適性だけです。
イクイノックスと同世代の4歳牡馬2頭、ドウデュースダノンベルーガは府中の舞台適性が高く侮れなさそうですが、ドウデュースは長期休養明けとはいえ前走が案外で、ダービーを制した舞台とはいえ馬体が立派になった現状では距離延長は疑問で、逆にマイラーよりにシフトした感が大きく、前走に引き続いて主戦が乗れないのもマイナスでしょう。
戸崎も前走から引き続きの騎乗なので今回は癖もわかってるとは思いますが。
寧ろ警戒したいのが前走秋天4着のダノンベルーガで、これでイクイノックスらと勝負付けが済んだと舐められがちですが、鞍上が札幌記念から引き続いて継続騎乗しているモレイラですからね。
勝算がなければ乗せないでしょうし、ダービーで4着に敗れているように距離延長がカギですが、鞍上込みで2~3着争いに食い込む余地はあり得ます。

あとは3着候補、というか三連系のヒモ候補。
前年覇者ヴェラアズールはそのあとの戦績がパッとしませんが、いろいろと舞台が合わなかったのが大きかったでしょう。
JCを制した有馬が大勝負後の惰性の一戦でしたし、ドバイWCは海外でしかもダート、宝塚も海外帰りでしたし、凡走は仕方ないところで、前走の京都大賞典7着も休み明けの重馬場で勝ち馬からコンマ4差なら及第点で、[2‐0‐1‐0]の府中の舞台替わりで見限れないでしょう。
その京都大賞典で3着だったディープボンドも、パンサラッサとタイトルホルダーが前を引っ張る展開になれば、春天で2着2回というスタミナの持ち主だけに持久力勝負で浮上する余地はありそうです。
一方、昨年の牝馬二冠馬スターズオンアースは、予定していた秋天を一頓挫で回避した上に8枠17番に入ったのは不利な材料で、前2頭3着候補の一頭にとどめたい。

唯一の外国馬イレジンは底を見せていない戦績ながら、いずれも力が要る欧州の舞台でのもので、軽い馬場の府中の舞台での適性では時計勝負で見劣ることは否めず、今年も苦戦は余儀なくされそうです。

以上を踏まえて、印は以下の通りとします。

【結論】
◎①リバティアイランド
〇②イクイノックス
▲③タイトルホルダー
△⑤ドウデュース
△⑩ダノンベルーガ
注⑨ヴェラアズール
注⑭ディープボンド
注⑰スターズオンアース


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