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翻訳技術向上

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訳し方、原文の捉え方、日本語の使い方など、英日翻訳で役立つTipsをご紹介。 シリーズではないので、気になるトピックから読めます!
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#翻訳学習

【翻訳会社TPJ スキルアップセミナー】「読むための受験英語A」を公開しました! 【Udemy】

🌸以前オンラインで実施した翻訳者向けセミナー「読むための受験英語A」をUdemyで公開しました🌸 タイトル【翻訳会社TPJ スキルアップセミナー】読むための受験英語A:「かたまり」と「品詞」で英文を読み解く 概要英日翻訳において欠かせないのが、英文を正確に読む力です。この「読むための受験英語」は、翻訳者として英文を読むうえで必要不可欠な「構文解釈」(講座では「構文解析」)の技能の養成・定着・強化・再確認を目的とした講座シリーズの第一弾です。 こちらの「受験英語A」では、

【仕事術】翻訳者向け 脱マウス超入門ドリル(2)Trados Studio編【作業効率化】

■はじめに 「ニューノーマルだしね」が「煩悩丸出しね」に聞こえちゃう今日この頃、皆さん、ご機嫌いかがでしょうか。健やかにお過ごしでしょうか。こんにちは。テクノ・プロ・ジャパンでPM(プロジェクトマネージャー)を務めている「たー」と申します。絶賛在宅勤務中です。会社のオンライン会議で縦横に等分割された画面に顔がたくさん並んでいるのが全然慣れません。仮面ライダーアマゾンの十面鬼を連想してしまいます。ミステリー映画の予告編の「犯人はこの中にいる」みたいな感じにしてほしい。集中できそ

翻訳テクニック集:修飾語句が多いときの訳し方

マーケティング系の英文では、自社サービスをアピールするために1文に多数の修飾語句が盛り込まれるケースが頻出します。日本語で文章を書くときはあまりそういうことをしないからか、素直にそのまま訳してしまうと、冗長になったり、日本語として不自然になってしまったりと、文章の訴求力が下がってしまいます。 たとえば、これくらい修飾語句が多い文章はよく見かけます(文脈の情報として、ある特定のサービスのメリットを紹介する文章です)。こういう場合、訳文では修飾語句の順番を変え、表現を調整するテク

翻訳テクニック集:視点の入れ替え

翻訳のテクニックの1つに、「原文の視点を入れ替える」というものがあります。 たとえば、IT系のドキュメントでは、システムやサービスに何らかのイベントが発生したときに通知を送受信する機能・仕組みがよく取り上げられます。そんな中で頻出する単語が、「send」、「get」、「receive」などです。それぞれ素直に送信、取得、受信のように訳して問題ないケースも多いものの、送信元(送り手)と送信先(受け手)の視点を入れ替えて訳すと、ごく自然な日本語になることがあります。たとえば、「

翻訳者のための実体参照入門

こんにちは、川津です。 今回は「実体参照」について軽くご紹介しようと思います。 実務翻訳に興味のある方のうち、この言葉をあまり聞いたことがない方を対象とした内容です。 「実体参照」という言葉自体は、検索すればいくらでも解説記事が見つかります。ただ、そのほとんどが網羅的な内容です。作業中に調べものをするならともかく、事前に「実体参照ってどういうもの?」と調べたい人にとっては少し情報過多かもしれません。 そこで今回は、翻訳業務で頻出するものだけを数個選び、翻訳時の注意点と併せて

助詞「は」の不自然さを解消する(3)

こんにちは、よんのすけです。 前回は、訳文で「は」を使用する際に注意すべき点として、「は」が「動詞から遠くわかりにくい」ケースについてご説明しました。 今回は、「『は』が使用された、自然とは言い切れない微妙な文」のケースについてご説明します。 本記事で扱う改善前の例文は、間違いというには微妙な、絶対にダメとは言い切れない文章です。実は執筆後に同僚に確認してもらったところ、それほど大きな問題を抱えた文章であるとは思えない、との意見をもらいました。ただ一方で、「こういう構文

助詞「は」の不自然さを解消する(1)

こんにちは、よんのすけです。 今回のシリーズでは、「は」を使った訳文が不自然にならないようにするためのテクニックを紹介します。取り上げるのは次の3つのケースです。 ● 格関係が不明確 ● 動詞から遠くわかりにくい ●「は」が使用された、自然とは言い切れない微妙な文 翻訳者さんから納品された翻訳をチェックする際や、自分が翻訳する際に引っかかる点をピックアップしました。今回の記事でご説明するのは、「格関係が不明確」なケースです。 注:一連の記事は、日本語文法の専門家ではなく

助詞「は」の不自然さを解消する(2)

こんにちは、よんのすけです。 「は」を使った訳文が不自然にならないようにするためのテクニックの2つ目です。前回は、「は」の使用時に格関係が不明確にならないようにするという注意点についてお話ししました。 今回は、「は」を伴う名詞を動詞から離しすぎないようにするという点について述べたいと思います。 〇動詞から遠くわかりにくい 訳文のレビューをしていると、「は」を伴う名詞は文の前の方に置かれることが多いように感じます。もしかすると、訳者が英語の語順を無意識にそのまま維持している

「数値の範囲」の翻訳に関するこぼれ話

こんにちは、川津🌱です。 日本語でも英語でも、「以上」、「以下」、「およそ」など、数値の範囲に関する表現がいくつかありますよね。 素直に原文に対応する表現で訳せばいいかと思いきや、たまに悩んでしまうシチュエーションもあったり。 そこで今回は、数値の範囲の翻訳について、ちょっとしたコツや、私が普段思っていることをご紹介します。役に立つ情報があれば幸いです。 以上 vs ~を超える一般的には、たとえば数値Xがあったとして、「以上」(X or more)では数値Xが含まれ、「~

翻訳テクニック集:「品詞変換」によってスムーズな日本語にするテクニック

こんにちは。TPJのよんのすけです。 実務翻訳においては、大学受験生が行うような精読による英文和訳の手順を少なからず避けて通れませんが、単なる「英文和訳」のレベルを飛び越えて、日本語ネイティブが一から書いた文章と遜色ない自然な日本語へと訳文を仕上げなければなりません。 そこでよく使うのが、ある品詞を別の品詞に変換して表現するというテクニックです。英語の名詞を日本語では動詞で表現したり、英語の前置詞を日本語では動詞として訳出したりすることで、訳文を自然な日本語にします。