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【OO-ct.】雑記.20220406

・シャニマスのシナリオ「ノー・カラット」を読んだ。前々から友人に勧められていたのに読んでいなかった(ごめん)が、今回オモコロブロスのPRで取り上げられるということで読むことにした。他人の感想に自分の感想が塗りつぶされるのは避けたいので、その動画を観る前にこの記事を書いている。

・シーズのことはそれなりに知っていた。W.I.N.G.編は実装当時に二人ともクリアしたし、『OH MY GOD』と『Fly and fly』はよく聴いていた。

・以下感想。

・プロフェッショナルとしての緋田美琴と、まだ未熟な七草にちかとの対比が中心になっていることは言及するまでもないことだけど、その「差」に対する着目の仕方やそのための表現が非常に特殊で、引き込まれるものがあった。

・全体として、複数の場面が交互に切り替わる場面が多いな、というのがまず感じた点だ。それこそ二人の対比を強調する目的なのだろうと思うが、美琴の過去回想や社長とはづきさんの会話、Pとスタッフの会話なども混ざり込み、ソシャゲのシナリオとは思えないほど重厚なものになっていると感じた。こういうのばっかり読んでると疲れるという面もあるが、こういったシナリオでないと得られない良さみがあるのもまた事実だ。

・あと、アイドルの映らない天井や床のカットがすごく多いのも印象的だった。

・どちらかといえばにちかが主人公的な描かれ方をしているのだが、その「普通さ」の表現の繊細さに驚いた。至らないもの(道端で練習するお笑いコンビや、テレビに出ている仲が良いだけのアイドル)に対して最悪だと言っておきながら、自分を美琴やバックダンサーと比べては「自分は足手まといになっている」と自己嫌悪に陥る。かと思えば、SHHisの七草にちかだ!と持ち上げられると気を良くして大はしゃぎしている。そんな人間としての歪さが強く印象に残った。

・同様に、美琴の弱いところも描かれる。ピアノ発表会にて、いつも良くできているからという理由でとりわけ褒められることがなかった幼少時代や、突如挿入されるコマのドキュメンタリーの話(惜しみない努力よりも、青春のような一瞬の輝きが人の心を打つこともある)は、ダンスも歌も完璧にこなす美琴の弱みを表しているように思える。

・スタジオで美琴がにちかにかける言葉は、決して優しいものではないと思った。平たく言えば「本気でやらないなら組まない」ともとれる。でもそれはにちかが望んでいた言葉だったのだろうと思う。

・エンディングが、何もかもが綺麗に収まったとは言い難い内容なのも印象的だった。
物語の序盤から登場していたショッピングモールに設置されていた自動演奏のピアノ(ピアノの発表会の内容から、機械のように完璧な美琴と重ねられていると思われる)をにちかと美琴が連弾するカットがいわゆる物語の終着点になっていると思うのだが、この演奏が自動演奏よりも特段優れているという描写はなされない。てっきり周りに聴衆が集まって拍手が送られたりするのかな……と思っていたので、そのあっさりさに少しびっくりした。客の反応などは関係なく、二人の間で起こった心の動きの方が大事だった、ということだろうか。
また、結果としてにちか一人だけにトーク系の仕事が来始めるというところも、少し微妙な味わいを感じさせられた。このシナリオ全体で、にちかの「ダンスや歌で美琴さんについていけるようになる」という意識が描かれているのにそれは本当に良いことなのかと少しモヤっとしてしまう。プロデューサーは、にちかが幸せになることを尊重していたが、トークの仕事が増えることがにちかの幸せとはあまり思えなかったからだ。

・「にちかの幸せ」に関しては、エンディングの上画像の部分も記憶に残った。にちかはライブの成功と美琴との親交の深まりを経て、自分が「家族の中のアイドル」だった頃のようになれるかもしれないと思った。でも「その時は、一瞬」でしかないのだ。ここに、にちかさんの現実主義なところ、というか、アイドルは決して楽ではないという実感が現れていると思った。

・一番最後の、ステージに上がる際のセリフが被っていないのも、美琴とにちかの精神に少なからず隔絶があることを表しているように思えた。







・まったく関係ないが、この記事にある「ファンが離れる結果になったとしても自分がやりたいことをするべきだし、その結果としてファンの純度も高くなる」という考え方、大事だな〜と思った。

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