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自分のものは『過大評価』してしまう?

自分のものは優れていると勘違いする

大切にしていたものを売るときに、思ったほどの値段がつかず頭にきたことはありませんか?
私はあります。
大切にしていた楽器を泣く泣く売ったときに、安すぎると頭にきました。

この現象のことを『保有効果』と呼びます。
売ろうと考えた瞬間に、大切な思い出とともに価値が上がってしまう。
つまり、自分だけの特別なものになってしまう。
頭の中で、勘違いが発生しているんです。

びっくりですよね。
でも、安心してください。
知っているだけで勘違いしていることに気づけるようになるんです。


勘違いが発生する『3つの心の癖』

では、なぜ頭の中で勘違いが発生してしまうのでしょうか。
行動経済学者のダン・アリエリーは著書にて、勘違いが発生する原因として『3つの心の癖』があると述べています。


  • すでに手に入れたものに惚れ込んでしまう

  • 失うかもしれないものに注目してしまう

  • 自分と相手が同じ視点と思い込んでしまう


ひとつずつ解説してみます。

すでに手に入れたものに惚れ込んでしまう

1つめは、自分がすでに持っているものに惚れ込んでしまうこと。

たとえば、あなたが2万円で購入したG-SHOCKの腕時計を売ることに決めたとします。
すると、G-SHOCKをつけて出かけた様々な思い出が蘇ってきます。
初めてのデートでつけて行ったこと。
あの日のディズニーランドは天気も良くて最高だったなと。
温かい思い出で包まれていくのです。


失うかもしれないものに注目してしまう

2つめは、手に入るかもしれないものではなく、失うかもしれないものに注目してしまうこと。

大事なG-SHOCKに値段をつけるときに、売った値段で買えるものよりも、失ってしまうG-SHOCKのほうに注目してしまいます。
失うことに対する、強い拒否反応が起こるのです。
心は大切なものを手放そうと考えたとたんに、失うことを悲しみはじめているのですね。


自分と相手が同じ視点と思い込んでしまう

3つめは、ほかの人が取引を見る視点も、自分と同じだと思うこと。

G-SHOCKを買ってくれる相手が、あなたと感情や思い出を共有していると思ってしまうんですね。
「いやいや、そんなわけないじゃん」と思うでしょう。
でも、思ってしまうんです。

あなたがG-SHOCKと出かけた、たくさんの思い出と同じように。
買ってくれる相手も、G-SHOCKとたくさんの思い出をつくって行くのだろうと。

しかし、残念ながら相手は違います。
大きなキズはないか?
ボタンは壊れていないか?
液晶画面は汚れてない?
このように、悪い点がないか探して見つけようとします。
要するに、損な買い物はしたくないと。

まとめ

このように、人の心は自分のものに対して『過大評価』してしまいます。
でも、相手は決してそんなことを考えていないことも、分かっていただけたはずです。
買い手・売り手に関係なく、取引の相手が同じように『取引対象』を見ていないことを想像するのは難しい。

はじめに、自分と売ろうとするものとの間の距離が近すぎないか、俯瞰して見てください。
これは「相手にとっての特別なものではない」と。
どんな取引でも、あえて距離をおいて考えるが良いでしょう。

おわりに

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
自分のものを『過大評価』してしまうことは防げません。
これは人間の本能です。

しかし心の勘違いは、知っているだけで対策することができます。
「あれ?」と思ったとき、落ち着いて考え直す。
「もしかしてこれって『保有効果』なのでは?」と。
これができたら、周りに大きく差がつくこと間違いないです。
もちろん私はできていません。笑

心のコントローンは難しい。

今回参考にした書籍を紹介します。
ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』
人間の不合理な行動を解き明かすために、ユーモアな検証を数々行っています。
とても面白くおすすめです。


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