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秘密罪 #27


男1:なぁ!お前らの班どこ行くの?

禅:えっーと.....どこだっけ笑

〇〇:八坂神社....だろ。

禅:あぁ!そうそう。後は伏見稲荷ってところ。

男1:あの鳥居いっぱいあるとこか! 八坂神社って何があるんだ?

〇〇:....わからん。さくらがどうしても行きたいってさ。

男1:へぇー。楽しそうだな。

禅:部屋割りって男1と男2と〇〇と俺だっけか。

〇〇:そうだよ。

男1:ふっ笑 夜は寝させねーからな!恋バナで盛り上がるんだよ!

〇〇:はしゃぎすぎて怪我すんなよ。

飛鳥:はい!みんな座ってー。明日の事について話すよー。

〜〜

明日の集合時間の確認や持ち物の確認。旅のしおりの配布などが渡された。話を聞いていくうちに段々生徒のボルテージは高まっていった。


男1:うわぁ....まじ楽しみになってきた。

男2:さすがに楽しみだな。

女1:かっきーとさくちゃんと私一緒の部屋だね!

女2:私も一緒ー。寝かせないからね。

遥香:あはは笑 

さくら:楽しみで寝れそうにないよ笑

飛鳥:よし!じゃあ今日は早く帰って寝よう!旅館で寝ないために!

男1:先生も寝ないのかよ笑

〜〜

〜〜

下校中


禅:いやぁ...楽しみだな笑

〇〇:何回言うんだよ。

禅:とか言って、〇〇も楽しみなんだろ?

〇〇:...楽しみだけどさ....んー。

禅:遥香のことか?

〇〇:まぁ....うん。まだ関係戻ってないし、気を遣いながら楽しめねぇって。原因もわかんないし。

〇〇:今日だって意図的に時間ずらして帰ってるじゃん。

禅:....まぁ、〇〇にできることはないしな。遥香からのアクションを待て。

〇〇:なんだよ、アクションって! 意味わかんねぇーなー。

〜〜

さくら:かっきー、明日楽しみだね。

遥香:うん。

さくら:.....ほんとに楽しみ?

遥香:.......うん。

さくら:...〇〇君となんで最近話さないの?

遥香:えっ!?......まぁ...ちょっとした喧嘩....。

さくら:喧嘩!? 〇〇君なにかしたの?

遥香:違う違う! 全部私が悪いの...。なんか勝手に嫉妬しちゃってボソッ

さくら:(ふーん。そうゆうことか...)

さくら:まだ私に気を遣ってるんだね!かっきーは。

遥香:..........。

さくら:修学旅行中に仲直りしないと、自主研修置いて行っちゃうからね。

遥香:えぇ!? そ、それは....

さくら:じゃ、仲直りすること! 明日寝坊しないでね!ばいばーい。

遥香:あぁ.....行っちゃった。

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井上宅


〇〇:ふんふーん。今日はハンバーグ♪ しっかり焼いて腹壊さないようにしないとな。


家に帰って、明日の持ち物を整理していた途端急に楽しみが込み上がってきた。料理中も鼻歌を挟むほどご機嫌だった。


〇〇:....和、帰ってくんの遅いな。


ガチャ


和:た、ただいまー!

〇〇:お、帰ってきた。おかえりー...って、どうしたの!


玄関に立っていた和は雨に濡れてびちょびちょになっていた。


和:急に雨降ってきてさ...傘持ってなかったし。

〇〇:風呂沸かすから、早く入っておいで!

〜〜

〜〜

和:いただきまーす!

〇〇:はい、どうぞ。 ちゃんとあったまったか?

和:うん! それにしても明日から修学旅行かぁ。寂しいなぁ。

〇〇:ちゃんとお土産買ってくるって。美空と彩ちゃんと仲良くな。

和:うん! 


ピロンッ 〇〇のスマホの画面に表示されたのは母からのLINEだった。


母L:あんた、明日から修学旅行なんだって? 中学の時行けなかったんだから楽しんでおいで!

〇〇L:あぁ、楽しんでくるよ。お土産送るから。

和:誰から?

〇〇:ん、母さんから。楽しんでおいでって。

和:おー。写真いっぱい送ってね。

〜〜

〇〇:よし!僕は明日朝早いから寝る!

和:おやすみ〜。私も寝よ。

〇〇:おう.....おやすみ。(あれ、いつもだったら寂しいから一緒に寝るって言うのにな.....)

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翌日

〇〇:ふぁあ.....やべっ、準備しないと。


〇〇は2人分の朝ご飯を用意し、先に1人で食事を済ませ、身支度を済ませた。


〇〇:えーっと....よし!忘れ物はないな。 それにしても和...起きてこないな。

〇〇:和ー。僕もう行くよー。


ガチャ


和:あ、あぁ....もう行くの? い、行ってらっしゃい

〇〇:......和?顔赤くない?

和:あ、赤くないよ? 〇〇見て照れちゃってるのかな笑 ほら行きなさい!遅れるよ!

〇〇:....じゃ、じゃあ行ってきます。


バタンッ

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乃木高校 昇降口前 AM7:00


男1:楽しみすぎて寝れんかった....。

男2:バカめ。楽しむためには前日の寝溜めが重要なんだよ。

禅:ははっ笑 あれ?〇〇まだ来てない?

さくら:来てないね。寝坊かな。

遥香:(〇〇君、まだ来てないんだ....)

飛鳥:よーし。全員揃ったみたいだから出発するよー。クラス毎にバス乗ってね。

禅:え? 先生!まだ〇〇来てないっすけど!

飛鳥:あぁ.....〇〇は・・

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井上宅


和:......うぁ.....今何時だ....。


薄く目を開き時計を見る。時刻はもう11:30分。〇〇が家を出てから5時間立っている。


和:....体...重っ...。


ピピッ ピピッ


和:えーっと.....38.1....風邪かぁ。


昨日の夕ご飯の時から嫌な予感はしていたが、案の定和は風邪を引いていた。原因は十中八九、雨に濡れたせいだろう。〇〇を送り出す時は必死に耐え、元気を振る舞った。


和:はぁ.....〇〇は奈良に着いたかな....。


ガチャ その時、自分以外いないはずの家にも関わらず部屋の扉が開いた。


〇〇:和ー。あっ、起きたか。冷えピタ買ってきたから。お粥作ったけど食えるか?

和:えっ!?......〇〇.....なんでここに....。

〇〇:僕の目を誤魔化せると思うなよー?調子悪いのなんて見りゃわかる。

和:だ、だからって.....修学旅行は!?

〇〇:旅行なんていつでもいける。和は1人しかいないからな。なにかあったら取り返しがつかない。


和は今にも泣き出しそうな目で〇〇を見つめ、ついに決壊した。


和:.....うぅ.....グスッ....うわぁぁぁん...ごべんねぇ....グスッ

〇〇:あー、あー泣くなって笑 そばにいてやるから。

和:....ごべんねぇ....ほんどにごめん....グスッ



和は〇〇に抱きしめられながら、ずっと謝罪の言葉を述べていた。

〜〜

和:すーっ....すーっ....。

〇〇:....寝ちゃったか...。


泣き疲れた和は〇〇の胸の中で寝ていた。ゆっくりとベッドに寝かせ、〇〇は部屋を出た。


〇〇:ふぅ....冷えピタ貼ったし、熱下がればいいな....


ピロンッ 母からのLINEだった。


母L:奈良は楽しい?写真送ってよ。

〇〇L:いや、修学旅行には行ってないんだ。和が風邪引いちゃってね。看病してる。

母L:えぇ!?大丈夫なの? それに修学旅行行ってないって....あんたそれでいいの?

〇〇L:旅行なんていつでも行けるからね。大丈夫だよ。

母L:.....そう。


母とのLINEを終えると〇〇は壁にもたれかかり呟いた。


〇〇:あー......行きたかったなぁ...。

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新幹線内


男1:なぁ!トランプしようぜ!UNOも持ってきたぞ!

男2:バカッ!お前空気読めってボソッ


男2の目線の先は禅達の座席だった。


禅、遥香、さくら:................。

女1:そ、そんな暗い顔してから、修学旅行楽しめないよ?

さくら:....そうだよね。....一回切りだもんね。あぁ....でも〇〇君にとっても一回切りだったのに...。

女1:あぁ!そんな考えないで!

禅:....うしっ!考えててもしょうがないな!〇〇の分まで楽しもう!

遥香:(......〇〇君が.....〇〇君が来ない?....仲直りは?私も一緒に...八坂神社行きたかったのに...)


禅はもう切り替えていたが、さくらと遥香はまだ切り替えられないでいた。

〜〜

飛鳥:もう少しで奈良駅着くから、荷物の準備しておいてねー。


ピロンッ ピロンッ ピロンッ


3人のスマホにLINEが入った。〇〇からだった。


〇〇L:ごめん、修学旅行行けなくなった。お土産頼んだ。

禅L:任せろ。 後でまた行こう。


〇〇L:さくら、ごめん。急に修学旅行行けなくなっちゃって。僕の分まで楽しんできて!!

さくらL:ちょっと悲しいけど....わかった! いつか絶対一緒に行こうね!


〇〇L:ごめん、修学旅行行けなくなった。楽しんできて。 後で感想待ってる。

遥香L:........うん。

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飛鳥:到着! まずはお昼ご飯食べて、その後バスで奈良公園行くよー。

一同:はーい!

〜〜

奈良公園


男1:昼も豪華だったなぁ。

男2:美味すぎて飛んだ。

禅:ん?あれ鹿じゃね!?

さくら:あ!ほんとだ!

飛鳥:鹿せんべい買ってきたら寄ってくるよー。

さくら:かっきー! 鹿せんべい買いに行こ。

遥香:.......え?あぁ....うん。

さくら:かっきー......〇〇君も楽しんでって言ってたでしょ! ほら行くよ!


さくらは遥香の手を引っ張り、鹿せんべいを買いに行った。

〜〜

禅:うわっ!手舐められた!

男1:あはは笑 うわっ!そんな寄ってこられても持ってねぇって!

さくら:あはは笑 可愛いね鹿さん。

遥香:...うん。いっぱい食べてる。

さくら:.....もうかっきー元気だしなよ。

遥香:.....だって...。

さくら:....そんなに好きなら、もう好きって言っちゃえば良いのに...。

遥香:ふぇ!? 

飛鳥:じゃあ、皆んな、次は東大寺行くよー。

〜〜

東大寺


男1:だ、大仏でっけぇー....。

男2:絶対言うと思った笑 でも...でっけぇー。

禅:あはは笑 確かに。なんか浄化された気分になるな.....。

飛鳥: 盧舎那仏って言ってね。この大仏は動物も植物も生きとし生けるものすべての幸福を願ってるんだよ。

さくら:へぇ....生きとし生けるものかぁ....。

遥香:....なんか、皆んなの幸福を願ってるって〇〇君みたいだね。

さくら:ふふっ笑 そうだね笑


それから奈良国立博物館を見学し、移動の時間になった。

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飛鳥:ここからは、クラス毎に別々に移動だね。泊まるホテルが違うから。

他クラス男:ちぇー。どうせ1組は良いところ泊まるんだろうなー。

男1:ハッ笑 これが1組の実力よ。文化祭で稼いだ1組の実力なんだよぉ!

男2:〇〇の作戦のおかげな。お前は特に貢献してない。

男1:なっ....あんなに焼きそば作ったのに....。

飛鳥:馬鹿な事言ってないで、ほら行くよー。バスで京都に移動するから。

一同:はーい。

〜〜

〜〜

飛鳥:もうそろそろ着くから準備してねー。

男1:そろそろ座ってるのも疲れてきたな....。

男2:そうだなー。ん?なんだあのでっかい旅館。

禅:すげぇな。高級旅館かな。


そんな事を話していると、バスはその旅館の前に止まった。


飛鳥:はい。着いたよー。

男1:えぇ!? こ、ここ!?

飛鳥:うん。

禅:.....まじか。....ここに泊まるのか笑

飛鳥:皆んな帰ったら〇〇に感謝するんだよー。じゃ、行くよ。

〜〜

〜〜

男1:中も....広いな笑

男2:さすがに...すごいな。修学旅行で泊まるところじゃないな笑

飛鳥:じゃあ部屋番号確認して荷物置いてきて。その後は夕ご飯だから。

一同:はーい。


ピロンッ 飛鳥に一本のメールが入った。


飛鳥:ん? .......おー笑 良かった良かった。

〜〜

禅達の部屋


男1:うわぁ!めっちゃ良い部屋!

男2:すげ

禅:ここ3人で泊まるには広いなぁ。

男1:〇〇残念だなぁ。

〜〜

遥香達の部屋


女1:ひっろーい!

女2:キャー!ここ泊まるのー!最高!

さくら:すごい....。

遥香:....〇〇にお土産買って行かなきゃね。

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その後生徒達は旅館の豪華な料理に舌鼓を打った。いずれも修学旅行で食べるようなレベルのものではなく、皆んな興奮しながら食べていた。

夕ご飯の後は、修学旅行で一番楽しいと言っても過言ではない部屋移動の時間。温泉へは混雑を避けるため、人を分けて入ることになっていた。禅達の部屋と、遥香達の部屋は、順番が最後だったため、暇をしていた。

〜〜

禅達の部屋


男1:.......突撃....しませんか。

男2:....ほう。詳しく述べよ。

男1:せっかくの修学旅行.....女子の部屋に突撃は醍醐味ではないだろうか。

禅:....俺は彼女がいるから別に.....だが・・

男2:俺も彼女いるか別に......だが・・

禅、男2:お前が行きたいと言うのなら、良いだろう。

男1:お前ら......心の友だな...。ではゆくぞ!女子部屋に突撃じゃ・・


ガラガラガラッ


女1:なぁにしてんのぉーー!!

女2:トランプでもしよー。

男1:なぬ!?

さくら:お邪魔しまーす......。

遥香:禅?入って良い?2人が行くって聞かなくて...。

禅:おー、いいぞ。

男1:そちらからやってきたぁぁぁぁあああ!!!

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男2:ほい、男1の負けー。

男1:うぇー。皆んな強くね?

遥香:だって顔に出過ぎだもん笑 

男1:くっそー....もっとヒリヒリした勝負が必要だ....そうだ! 次から大富豪で最下位は好きな人を言う!どうだ!

遥香:えぇ!?

さくら:そ、それは....。

女1:いいね!乗った!

女2:修学旅行らしくなってきたじゃん!

遥香:え、えぇ......。

〜〜

男1:よっしゃあ!最下位は禅だ!

禅:俺かぁ....。

女1:えー、でも好きな人知ってるしー、

女2:じゃあ久保さんとどこまでしたか教えてー?

禅:えぇ!?......まぁキス....とか?//

男1:うぉぉおおお!!許せねぇーー!!

女1:キャーーー!!! 

〜〜

禅:お、次は女1が最下位だね。

女1:えー、私かー。私はねー、いないんだけど、強いて言えば〇〇君かなー。

女2:あ、私も〜。言っちゃった笑

遥香:え!? そ、そうなの!?

女1:うん。かっこよすぎるし、まぁでもさくちゃんよりは本気じゃないけどねー笑

さくら:えぇ!?

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女1:次は〜...さくちゃんが最下位!

女2:さぁ....口に出して言っちゃいなよー?

さくら:えぇ....むぅ.....わ、私の好きな人は......ま、〇〇君....ですぅ///

女1:キャー// 可愛い//

男1:ぐぉお.....〇〇、許せん....。

遥香:(さく....すごいな...言えるんだ...)

禅:もうすぐ風呂の時間だから、次が最後かな。

〜〜

最後の大富豪。順位は随時決まっていき、残ったのは、男2と遥香だった。


遥香:ぐぬぬぬぬ....。

男2:えーっと...8切りして..10出すよ。

遥香:じゃあ、1だ!


この時点で両者残り1枚ずつ。


遥香:出せないよね!

男2:いや...2持ってます。


パサッ 無情にも遥香の最下位が決まった。


女1:はい!かっきーの負けー!好きな人発表!

女2:かっきーの好きな人は誰かなー??

男2:気になるな....いるの?

遥香:....い、い、....いないよ..。

女1:えー!?いないのー!?

さくら:.....嘘はダメだよかっきー。いるでしょ?好きな人。

遥香:えっ!?

禅:うん。いるな。早く言っちゃおう。

女2:いるんじゃん!

遥香:え、えーっと...(あー、どうしよう...言葉にできないよぉ)


その時神宮寺の言葉が脳裏によぎった。「好きと伝えておけば良かった」 遥香は思った。ここで口にできなければきっと、〇〇の前でも口にできないだろうと。


遥香:じゃ、じゃあ言うよ。

女1:うんうん!

遥香:わ、私の好きな人は...


遥香はギュッと目を瞑り、口を開いた。だが、その時。


ガラガラガラッ


〇〇:ごめん。急に来れることになって・・

遥香:〇〇君です!〇〇君が好きです!

〇〇:......ん?

さくら:え?

男1:あ....。

女2:か、かっきー、目開けて!

遥香:え?


遥香は皆んなが指を指していた方向を見ると、そこには大きなキャリーケースを持った〇〇がいた。


〇〇:や、やぁ.....遅くなってごめん。

遥香:.....う、うわぁぁぁああああぁあ//////

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              To be continued

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