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秘密罪 #25


修学旅行まであと2週間切っていた。友達同士で班を組み、どこへ行くか予定を立てる班もちらほら出てきた。


〇〇:なぁ、班って禅とさくらと遥香と僕でいいよね。

禅:うん。ちょうど4人だしな。

さくら:私もそれでいいよ。

遥香:..........。

男1:おい、ずるいぞ、〇〇。美男美女で固まるな。

〇〇:僕は別に美男じゃない。

男1:それはさすがに腹立つぞ。


男子達は自分達の班に、さくらや遥香を誘おうとしていたみたいだが、禅と〇〇と組むだろうと半ば諦めのムードだった。


遥香:別に....私は班別でもいいよ

〇〇:えっ!? 誰か他に組みたい人いた?

遥香:....いや、さくの邪魔になるかなぁってボソッ

〇〇:え?なに?

遥香:ごめん、なんでもない。

〇〇:そう....。

禅:..........。

〜〜

授業中


さくら:ねぇ、〇〇君、ここわかる?

〇〇:んー、あぁここは、この公式使って...

さくら:あ!できた!ありがとう。

〇〇:いつでも聞いてー。

遥香:...........。

禅:ふっ笑

遥香:なに笑ってんの。

禅:いやー?なんでもないよー?

〜〜

下校中


さくら:じゃ、私はここで。バイバイ!

〇〇:じゃあなー。

〜〜

〇〇:最近禅と帰ってねぇなぁ。

遥香:彼女と一緒に帰るんだって。

〇〇:へぇー。楽しんでんなぁ。

遥香:.....〇〇君は.....彼女のこと、送っていかなくていいの?

〇〇:彼女?誰のこと?

遥香:.....さく。ずっとイチャイチャしてるから付き合ってるのかなーって。

〇〇:え!? 付き合ってないよ!

遥香:ふーん。

〇〇:なんか怒ってる?

遥香:別に怒ってないけど。.....さくのことどう思ってるのかなーって。

〇〇:...どうって言われても....。

遥香:はっきりしてよ!!


遥香は唐突に大きな声で〇〇を怒鳴った。


〇〇:はぁ? ちょっと待ってよ。なんで僕キレられなきゃいけないの?

遥香:だ、だって!私の前でイチャイチャするから!

〇〇:イチャイチャなんてしてないわ!てか、もし仮にしてても遥香にはなんの問題もないだろ!

遥香:.......問題あるよ!!

〇〇:はぁ!? 友達と話して何の問題があるの?

遥香:そ、それは....えっと....

〇〇:前も話したけど、僕は遥香のことが好きかもしれないって言ったよね。だから僕は遥香が他の男子と話すのを見るとちょっとモヤモヤする。

遥香:.........。

〇〇:でも、遥香は好きな人いないって言ってたじゃないか。和や美空、さくらは僕に好意を伝えてくれて、真剣に答えようと思って話しているのに...なんで怒られなきゃならないの?

遥香:..........。

〇〇:急に怒られてもわからないよ。

遥香:......もう帰る。


遥香は早足で〇〇の横を通り過ぎた。〇〇はそのまま遠くなり小さくなっていく遥香を見つめていた。


〇〇:なんなんだよ....僕なんかしたか?

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〇〇:ただいま。

和:おかえりー。

〇〇:今日はカレー作る!

〜〜

和:んー!うまっ!

〇〇:ったく...。なんなんだよもう...。パクッ...うま。

和:さっきからブツブツ言ってるけど..なんかあった?

〇〇:あ、ごめん。声に出ちゃってたか。 んー、和は友達と喧嘩したことある?

和:あるよ。 なに、〇〇喧嘩したの?

〇〇:んー、まぁそんな感じ。

和:喧嘩って大体どっちも悪いことが多いよ。話してみて?

〇〇:どっちも悪いか...。じゃあ、話すよ。


〇〇は今日の帰りに遥香との間であった出来事を和に話した。

和は時折笑いを堪えながら、真剣な目で聞いていた。


〇〇:・・ってことがあったんだけど。これなんで僕怒られたの?

和:んー、ふふっ笑 〇〇は悪くないんだけど...悪いね笑

〇〇:どゆこと?

和:えーっとね...鈍感ってこと!じゃ、お風呂入ってくるねー。

〇〇:えぇ!?ちょっと待ってよ、解決策は・・

和:〇〇はなんもしなくていいよー。遥香さんが変わるしかないからね。

〇〇:......まぁ、そういうなら...。

和:あ!でも一つだけ!ゴニョゴニョ

〇〇:えぇ!?

和:やってみて!


今まで友達と呼べる関係性が少なかった為、〇〇は喧嘩をしたことがなかった。今日初めて喧嘩をし、今まで難題を幾度となく解決してきた〇〇にとって、訳がわからない状態だった。


〇〇:....和に言われたことやってみるかぁ...。あと、今日あそこ行こ。

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賀喜宅


遥香:はぁ.......。

遥香母:帰ってきてから何回ため息ついてるのよ。幸せが逃げるわよー。

遥香:.....もう逃げてるの。

遥香母:あら、じゃあ追いかけないとねー。ほらご飯できたわよ。

遥香:.....軽いなぁ。

遥香母:......男は気づかないものよー?ちゃんと好きって言ってあげなきゃね?

遥香:な!! 何言ってるの!?

遥香母:あら、違った? 遥香にも恋が訪れたと思ったのにー。

遥香:ち、違うよ!


夕食をとっている間も母にいじられ、父にはどんなやつか連れてこいと言われ続けた。遥香は否定し続けたが、心の中ではずっと〇〇の事を考えていた。

〜〜

遥香:.......ぷはぁ! はぁはぁ。んーーー!!


風呂に潜っては出て、潜っては出てを繰り返し、何かを振り払おうと必死だった。


遥香:はぁはぁ、死ぬ....。


5回程繰り返し、余程疲れたのか、縁に頭をつけて、1人でブツブツ悩んでいた。



遥香:........絶対私が悪いよなぁ。〇〇君はなんのこっちゃわかってなかったし....。

遥香:あーーーー!!嫌われちゃったなぁ、絶対。


頭の中で母が言っていたことを思い出す。


遥香:ちゃんと言わないと気づかない....かぁ。ふぅーー....言ってみるか...。

遥香:....私は...〇〇君が......好き.....。


口に出してみた瞬間、〇〇の顔、声、匂い、仕草が頭駆け巡る。〇〇のことが好きだと気づいたのは遥香の方だった。


遥香:うわぁ!? 無理だぁ// 絶対無理ぃ//


遥香は再び風呂の中に沈んでいった。

〜〜

〜〜

遥香母:おやすみー。

遥香:...おやすみ。


バタンッ


遥香:うぁー...のぼせちゃったな...。気分悪いし、夜風でも浴びてこようかな。


幾度と渡る潜水によって、のぼせてしまった体を休ませるために、遥香はいつもの場所に出向いた。

〜〜

遥香:ふふふーん、ふふふーん、ふふ、ふふふふふーん・・


原曲がなにかもわからない乱雑な鼻歌を歌いながら歩いていた。なにか別のことをしていないと、また〇〇の事を思い出してしまうから。


遥香:ふふふーん......あっ!?


遥香は公園の近くにある木の陰に隠れた。原因は、ある意味、今一番会いたくない相手が公園のベンチに座っていたからだ。


〇〇:ん?今声がしたような.....。気のせいか...。

遥香:(なんでいるの!?)

〇〇:にしても、悩んだ時はやっぱりここだなぁー。

遥香:(悩んでる....たぶん私のことだ)

〇〇:はぁ.....まじで何で怒ったかわかんねぇ....。喧嘩とかした事ないから、よりわかんねぇ。

遥香:(.............)

〇〇:和に鈍感って言われたな......。なんか気づいてない事あるのかな....。んーー! わっかんねぇ。

遥香:(...申し訳ないなぁ..〇〇君は何も悪くないのに)

〇〇:あ! 遥香が僕のこと好きとか!?

遥香:えっ! あ、ムグッ


遥香は急いで口を覆った。


〇〇:ん?猫でもいんのかな。まぁ...いいや。

〇〇:はぁ.....でも遥香は文化祭の時に好きな人いないって言ってたしなぁ...。あーーー、なんでだ!?

遥香:(.......帰ろ)


いたたまれない感情に襲われた。自分のせいで悩んでいる〇〇を見て、そこに留まることはできなかった。

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翌日


〇〇:ふぁあ.....夜ふかししすぎた...。

禅:おっはよー! 元気ねぇなー!

〇〇:逆になんでお前は朝から元気なんだよ。

禅:なんでかって?なんでかって今聞いたよな!

〇〇:聞いてない。

禅:それはなぁ、昨日、史緒里さんとデートしたからだよ! ハッ!最高の気分!

〇〇:僕はそんな気分じゃねぇんだよ。

禅:つれねぇなぁ。

〜〜

学校


禅:おぉ!遥香おはよー!今日早いな!

遥香:あ、禅おはよ。 あ.....。

〇〇:.............。


遥香と〇〇は何も言わずに席についた。


禅:.........(こりゃなんかあったな)

〜〜

その後の授業中も......


先生:じゃ、班でこの問題の答え確認してみて。

禅:遥香、この問題わかった?

遥香:いや、ちょっと不安。

禅:〇〇ー、この問題・・うわっ!


〇〇は何も言わず、後ろも振り向かずにその問題の答えを記入したノートを見せた。


禅:お、おう....合ってた。ありがとう...。

遥香:........。

さくら:..........。


当然さくらも違和感に気づいた。いつもの〇〇ではないことも。遥香も〇〇と距離を置いてることも。たまらず、さくらは聞くことにした。


さくら:ね、ねぇ、〇〇君。

〇〇:ん?

さくら:私のノート見て。


さくらのノートの端にはこう書かれていた。


さくら:"かっきーとなんかあった?"


同じく〇〇はノートの端に返答を書いた。


〇〇:"なんもない"

さくら:............そう。

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昼休み


禅:な、なぁ、なんで屋上じゃないの?

〇〇:いいだろ。今日はここの気分。


毎日屋上で昼飯を食べていたが、今日は野球部の部室。こんなことは今まで一度もなかった。


禅:.......遥香となんかあった?

〇〇:........なんもねぇ。

禅:嘘だろ。

〇〇:嘘じゃねぇって。めんどくさいな。

禅:あ!もう行くのかよ!

〇〇:食い終わったからな。明日明後日、神宮寺達と練習すんだから準備しとけよ。じゃ。


ガラガラガラッ


禅:.....絶対なんかあっただろ。

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放課後


飛鳥:じゃ、修学旅行まであと2週間切ってるから予定とか決めといてね? 

〜〜

禅:なぁ、どこ行くか決めない?

〇〇:ごめん。今日帰るわ。

禅:え?あ、そう...。

〇〇:あぁ、あと班だけど、男1と僕入れ替えね。よろしく。

さくら:えぇ!?


ガラガラガラッ


さくら:...行っちゃった。

遥香:...........。

禅:んだよー。めんどくさいなぁ。 遥香、なんかあったんだろ?

遥香:ごめん....。なんとかするから。

禅:なんとかって....何があったんだよ。

遥香:それは....ちょっと言えない。今日は帰る!


ガラガラガラッ


さくら:.......禅君。もしかしてかっきーと〇〇君と修学旅行一緒になれなかったりするのかな。

禅:......うーん。そうかも。でも2人の問題だからなぁ。

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井上宅


〇〇:ただいま!和ー!

和:おかえりー!あ、ちょっと//


帰ってくると同時に〇〇は和に抱きついていた。


〇〇:和の言われた通り、怒ってる感じ出したけどさぁ....なんかめんどくさい奴になっちゃったよ。絶対嫌われたって!

和:大丈夫だって、〇〇はいつも優しすぎるからちょっと怒ってるの見せるくらいで遥香さんは何か仕掛けてくるから。

〇〇:仕掛けてくる?

和:んーん。こっちの話。それよりさ//


パシャパシャ


部屋に鳴り響くシャッター音に〇〇は今気づいた。


神宮寺:ははっ笑 こんな秋月初めて見たな笑

夏間:それな笑 もっと撮っとこ。

〇〇:な!? お前らなんでいんだよ!

神宮寺:前乗りで来たからな。泊まるとこないから秋月の家来たの。

夏間:前に言ってたろ。

〇〇:........そうか。ではまず、写真を消せぇ!!!!

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             To be continued







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