秘密罪 美空の未来編
僕が美空の手を取った日から一年。僕は大学一年生。美空は高校3年生になっていた。
僕は近所の大学に行った為、美空と自分の家を行ったりきたりしていた。
〜〜
和:ここ教えて?
〇〇:ん?どれどれ.....ここはね、この公式使って解いてみ。
和:わかった!
〇〇:偉いぞー。
ピロンッ
〇〇:....はぁ...。
和:美空から?
〇〇:うん。ちょっと行ってくるね。
〜〜
〇〇:美空ー、来たよー。
美空:〇〇!ここの問題教えて?
〇〇:.....和と一緒の問題...ここはこの公式使って💢
美空:ありがとー!......なんで怒ってるの?
〇〇:もう5往復目だよ! いくら隣だからってめんどくさい! 和と美空一緒に勉強してよ!
美空:えー....だって〇〇と2人きりになれないじゃん....
〇〇:.....そんな理由? だったら僕と和が2人でいる方が不安じゃないの?
美空:〇〇は浮気しないのわかってるし、和がそんな事しないのもわかってるしー。
美空:そんな事より!〇〇と同じ大学行くんだから早く教えて!
〇〇:......はぁ....わかったよ...。
美空:ありがと! 〇〇大好き!ギュッ
〇〇:うわっ!....もう...早く勉強しなよ//
美空:あれ?照れてる? 可愛いなぁ〇〇は笑
〇〇:....うっせ...早よやれ!
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入試
美空:(大丈夫...〇〇から教わったことちゃんとやれば!)
美空は〇〇から教えてもらった事を思い出しながら、順調に問題を解き進めていった。
〜〜
美空:和!どうだった!
和:できてたと思う!美空は!?
美空:私もたぶん大丈夫!後は...待つだけだね...。
和:そうだね!早く帰ろ!
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井上宅
和:ただいまー!!
美空:〇〇!ただいま!
遥香、さくら:おかえりー!!
和:あれ、なんで遥香さん達が?
遥香:お疲れ様会しに来たの。ご飯用意してるよ!
美空:え!ほんとですか! ありがとうございます!
〜〜
〇〇:んで?どうだったテストは。
美空:バッチリだよ!これで〇〇と大学でイチャイチャできるよ!
〇〇:大学の中でイチャイチャするな。まぁ....でもよく頑張ったな。
美空:えへへ//
和:むぅ...〇〇、私の事も褒めて!
〇〇:ん、和もよく頑張ったな。ナデナデ
美空:あ、ずるい!彼女以外の女を撫でるなんて!
〇〇:だって和は妹だもん。
和:えへへ// 撫でられるの嬉しい//
美空:.....むむむぅぅ。
遥香:目の前でいちゃつかれると腹立つー。
さくら:ねー笑
〜〜
夜は更け、もうお開きになる時間だった。
遥香:じゃ、私達帰るねー。
和:ありがとうございました!
さくら:また来るね!
〇〇:じゃあなー。
バタンッ
〇〇:ふぅ.....風呂入って寝るか。
美空:............。
〇〇:美空?まだ怒ってんの?
美空:知らない!
バタンッ
〇〇:......こりゃ長くなるぞ....。
和:〇〇のせいだね。なんで美空の事撫でなかったの?
〇〇:いや、いつもやられてバカにされるから仕返ししてやろうと思って...。
和:んー....今日は美空の家に泊まって来なさい!
〇〇:え!?
和:ほら!仲直りしておいで!
〇〇:うわ!ちょ、押すなって!
バタンッ
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ガチャ
〇〇:美空ー?入るよー?
リビングにはいつもいるはずの美空はいなかった。喧嘩するといつもこうなので、〇〇は迷わず寝室へ向かった。
〇〇:美空ー、入るからね。
〇〇は寝室へ入った。寝室に入ると美空はベッドでうつむせになり枕に顔を埋めていた。
美空:....なにふぃにふぃふぁの
〇〇:何て言ってるかわかんないよ。
美空は顔を少し上げた。
美空:.....何しに来たの。
〇〇:...怒らせちゃったかなーって思って。
美空:.......早く撫でて。
〇〇:はいはい笑
〇〇は枕元まで行き、美空の頭を撫でた。
美空:...へへ// 初めからこうしてよ//
〇〇:ちょっとからかっただけだよ。ごめんね。
美空:.....許す。
いつもはこれで仲直り。だが今回はそういう訳にはいなかった。
美空:.....うぅ....グスッ...
〇〇:美空?
美空は泣いていた。
〇〇:ごめんごめん! ほんとにちょっとからかっただけだったんだよ。
美空:....ううん...違うの...その事じゃなくて..グスッ
〇〇:.....なんかあったの?
美空:........うん。
〇〇は美空をベッドに座らせて2人横並びになった。
〇〇:.....話しせる?
美空:....うん。....さっき...お父さんから連絡が来てね..
そこまで聞いた時点で色々察した。いずれこうなるだろうと予感していた。
美空:.....大学には行かなくていいって...お見合いの予定を立ててるから帰ってこいって.....
美空:今の時代でお見合いだよ? なんで好きな人と一緒になれないの?
予想の斜め上だった。てっきりそろそろ東京に帰ってこいという連絡だと思っていた。
〇〇:........美空。一緒に東京に行こう。
美空:え?
〇〇:お父さんに話をつけに行こう。まぁ....僕が美空の隣にいれるように頑張らないといけないんだけどね。
美空:......ひどいこと言われるかも知れないよ?
〇〇:わかってる。でも僕はずっと美空の隣にいたいから。
美空:〇〇.....。
〇〇は決意を固めていた。美空が自分の事をずっと想い続けてくれたのに、応えようと。今度は自分の番だと、そう決意していた。
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数日後 東京
〇〇:..ふぅ....4ヶ月ぶりくらいか?
美空:そうだね。
年に一回、咲月の命日に皆んなで東京に来ていた。
〇〇:じゃあ、行こうか。タクシーでも・・
美空:あ、大丈夫。爺や呼んでるから。
〇〇:あ、爺や...。
駅から出ると黒い、いかにと金持ちそうな車が止まっていた。
〜〜
美空:久しぶり。
爺や:お久しぶりでございます。お嬢様。それと・・
〇〇:井上〇〇です。初めまして。
爺や:お初にお目にかかります。存じておりますよ。どうぞお乗りください。
〜〜
車内
爺や:いやぁ、秘密罪。私も読みましたよ。素晴らしい本でした。
〇〇:あぁ...ありがとうございます。僕の体験を書いただけなんですが....。
爺や:だからこそですよ。リアルに人生が伝わって来ました。それに主人様も・・
美空:ん?
爺や:......これはまだ言ってはいけませんでした笑 さぁ、着きましたよ。
〇〇:うはぁ.....でけぇ....
目の前にはとてつもない大きさの家があった。
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ガチャ
美空:....ただいまー...。
美空母:おかえり!久しぶりねぇ....って....そちらは?
〇〇:....井上〇〇と申します。秋月〇〇と言った方が馴染みはあるでしょうか。何回かお会いしたことがあります。
美空母:えぇ!? 秋月君!? ずいぶん雰囲気かわったわねぇ...。今日はどうしたの?
〇〇:....お父様と少しお話しに来させて貰いました。
美空母:なるほど....ふふっ笑 そういうことね、わかったわ! さ、美空こっちいらっしゃい。
美空:え?
美空母:こういうのは男同士2人で話すものよ! ほら行くわよ! 秋月君、主人はここ真っ直ぐ行った奥の部屋にいるからね!
美空:ちょ!お母さん!
美空は母親にどこかへ連れて行かれてしまった。
〜〜
コンコンコンッ
美空父:誰だ?
何と言えば良いかわからなかった。沈黙を決め込んでしまった。
美空父:まぁいい入れ。
〇〇:......失礼します。
ガチャ
美空父:君は......
〇〇:お久しぶりです。あの時以来でしょうか。秋月〇〇です。今は秋月ではありませんが..。
美空父の顔は一瞬険しくなったが、すぐさま普通に戻った。
美空父:まぁ.....そこに座れ。せっかく来たんだ。茶でも出す。
美空父は飲み物を入れ、〇〇の前に置く。〇〇と美空父は対面になるように座った。緊迫した空気が部屋には充満していた。
美空父:それで...何しに来た。私は美空に帰って来いと言ったはずだったんだが....。
〇〇:......僕は...現在、美空さんとお付き合いをさせて頂いております。
美空父:.....私はあの時別れろと言ったはずだが?君も了承したと記憶している。
〇〇:.....あの時は...了承しました。でも!....美空はずっと僕を想い続けてくれて...僕もそれに応えたいんです...。
美空父:君のせいなんだな?美空が急にあんな田舎の高校に通いたいと言い出したのは。
〇〇:.....はい。そうです。
美空父:はぁ.....なんだ? 金目当てか?
〇〇:え...
美空父:逆玉の輿ってやつでも狙ってるんだろう?
〇〇:違います!僕は美空を本気で愛しています。金目当てなんかじゃありません!
美空父:犯罪者の息子の言葉をどうやって信じろと?いいか、この世の中はリスクを回避する能力がある者だけが生き残る。君はそのリスクなんだよ。
美空父:君に反感を持つ者が現れた時、君は美空を守れるか?
〇〇:それは........守ります。
美空父:なぜそう言い切れる。
〇〇は一呼吸置いて話し始めた。
〇〇:.....僕は色んな物を失いました。自分と父が招いた結果です。償う為に生きています。1人でも償いながら生きると決めていました。
〇〇:でも....美空だけは僕から離れませんでした。僕に何が起きても美空だけはずっと僕を想い続けてくれました。
〇〇:そんな健気な女の子1人も守れなかったら、僕は生きている意味がありませんから。
美空父:..........本気なんだな。
〇〇:はい。
美空父:.....私が手塩にかけて育てた愛娘を、犯罪者の息子の君が奪うと言うんだな。
〇〇:......必ず幸せにします。命に代えても。将来的には結婚も考えています。
〇〇:だから....だからどうか...お許しいただけないでしょうか....。
美空父:........はぁ......ここまで言われたら折れるしかないのだろうな....。
〇〇:.....ってことは...
美空父:....あぁ...良いだろう。 美空を幸せにしてやってくれ。
〇〇:あ、ありがとうございます!!
美空父:はぁ.....なんで直接来たかな....。
〇〇:え?
美空父:予想はしていた。美空が急に田舎の高校に通いたいと言い出したもんだから。
美空父:そして嫁と話して決めていた。直接ここに来るならその時点で許そうと。それ以外は全て却下だったがね。
〇〇:.....そうだったんですか.....。
美空父:お見合いの件は無しにしておこう。だが....
美空父:.....一つ頼みを聞いてもらっていいか。
〇〇:あ、はい。なんでも。
〇〇がそう言ったのを聞くと、美空父は本棚から一冊の本を取り出して〇〇の前に置いた。
〇〇:これは.....
前に置かれたのは、〇〇が書いた秘密罪だった。
美空父:よ、嫁が買ってきたんだ。サインしてやってくれないか。
〇〇:そんなんでよければいくらでもしますよ。
〇〇は、「井上〇〇」と書き本を閉じた。
美空父:....ありがとう。....ほらもう帰れ。爺に車を出すように言っておくから。
〜〜
美空母:じゃ、たまには帰ってくるのよ?いい?
美空:わかったって!お父さんは?
美空母:さぁ?部屋にいるんじゃない? ほら早くしないと新幹線来ちゃうわよ!
〇〇:美空、行こう。 お母様、今日はありがとうございました。
美空母:美空をよろしくね? ほらもう行きなさい。
美空:うん!また来るね!
〜〜
車内
爺や:上手く行きましたか?
〇〇:....はい。おかげさまで。
爺や:そうですか!それは良かったです。まぁ始めからわかっていたんですけどね。
〇〇:どう言う事ですか?
爺や:実は....主人様は秘密罪のファンなんですよ。いつも読んでおられます。
〇〇:えぇ!?
爺や:だから成功すると思っていたんです。書いて良かったですね。
〇〇:....そうだったんですか...。
爺や:そら、着きましたぞ。もう新幹線が来ます。少しお急ぎを。
〇〇:わかりました。ほら!行くよ美空!
美空:.........うん。
〜〜
新幹線
家を出てから美空はほとんど喋っていなかった。
〇〇:美空?なんか元気ない?
美空は新幹線の窓際の席で、風景を見ながら呟いた。
美空:......もう....なんの心配もせずに〇〇の隣にいれるの?
恐らく、今までずっと隠して来たが、心の内に秘めていた事だったんだろう。
〇〇:....そうだよ。もう僕はずっと美空の隣にいるよ。
美空は風景から、〇〇に目をやり、目を潤ませながら言った。
美空:...ほんと?....ほんとなの?グスッ
〇〇:うん。今まで不安にさせてごめんね。...もう大丈夫だから。
そう言って〇〇は優しく美空の頭を撫でた。
美空:....嬉しい。ほんとに嬉しい。
〇〇:ごめんなぁナデナデ
美空:....ちょっと...撫ですぎだよ//
〇〇:嫌?
美空:....嫌じゃないけど// .......もう!チュッ
〇〇:へっ!?
美空は〇〇の唇にキスをした。
美空:あ!照れてるー!
〇〇:だ、だって初めてだし!
美空:可愛いぃ笑
これからもこうやって美空に揶揄われていくのだろう。少し嫌な気もするが、なんとなく楽しい気もする。これが僕と美空の最適な形なのだ。
新幹線は再び動き出す。徐々にスピードに乗って、また減速して、そしてまたスピードに乗る。これはずっと変わらない事。
まるで、今日からの〇〇と美空のように。
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Finish
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