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秘密罪 #17
禅:おはよーっす。
〇〇:おう。おはよ。
禅:また寝てねぇな? 機嫌悪そうな顔してるな。
〇〇:練習試合の相手のデータとか、個人のデータ調べて最適な練習表作ってたんだよ。
体育祭から2週間程経った。特になにも進展はなく、いつも通りの日々を送っていた。
禅:お疲れ。 そういやさ来月さ文化祭あるじゃん。
〇〇:あ、そうなの?結構すぐだな。
禅:誰とまわるか決めた?
〇〇:はやくね。てかいつものメンバーじゃないの?
禅:いや俺は久保さんとまわる。
〇〇:あぁ、そっか。
禅:早く決めろよ? 大変な事になるぞ。
〇〇:大変なこと?
禅:ははっ笑 まぁ楽しみにしとけって。
〇〇:??
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飛鳥:よし!皆んな今日も一日程々に頑張ろー。あ、この後委員長は私のとこ来てね。
〜〜
〇〇:なんですか?
飛鳥:文化祭が来月の頭にあるから、今日の放課後生徒会室で会議があるの。文化祭の事色々話されると思うから2人で言ってね。
〇〇:了解です。
遥香:文化祭.....わっ、わかりました//
飛鳥:ん?賀喜、なんか顔赤いけど、風邪でも引いた?
遥香:な、な、なんでもありません!では!
ガラガラガラッ
遥香は逃げるように教室を出て行った。
飛鳥:〇〇、なんかあった?
〇〇:いや、全然わかんないっす。
〜〜
〜〜
遥香:はぁぁ// どうしよう、いつ誘おうかな//
さくら:かっきー?どうしたの?
遥香:あ、さく。い、いやなんでもないの。
さくら:えー?なんかすごい顔赤いけどなんかあった?
遥香:嘘っ!まだ顔赤い?
さくら:嘘だよ笑 それよりさ文化祭誰と回るか決めた?
遥香:え? いや、ま、まだだけど//
さくら:ふーん。そっかぁ。
遥香:さくは?誰を誘うの?
さくら:え、えっと〇〇君かな//
遥香:.....まぁそうだよね。
さくら:.....かっきーも〇〇君の事、好き?
遥香:え!? な、なんで!?
さくら:あれ?違った?なんかかっきーの事見てたら〇〇君の事好きなんだなぁって思ったんだけど。
遥香:.........。
さくら:私に気を使うことないんだよ!じゃ私行くね!
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遥香:さく.....。
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昼休み
〇〇:よし。昼だ。屋上へ行こう。
さくら:私も行く!
〇〇:おー。じゃ一緒に行こ・・
ガラガラッ
教室の外には女子生徒が大量に蔓延っていた。
他女1:〇〇君!文化祭一緒に回ろうね!
他女2:あ!ずるい!〇〇君私と一緒に回るよね!
他女3:何言ってるの!?私と回るよね!
〇〇:いやちょっと待っ・・人多いって・・
〜〜
〜〜
屋上
さくら:.......ってことがあってさ。
禅:あーだから〇〇屋上いないのか。
和:むぅ....心配。禅先輩、文化祭で何かあるの?
彩:私も気になるー。
禅:そっか。1年生は知らないのか。じゃよく聞きな!文化祭にはな、男女2人で回ると・・
遥香:その2人は付き合えるって噂があるの。
禅:俺が言いたかったのに!
美空:そんな噂信じてる人いるんですか?
禅:いやーそれがほんとっぽいんだよ。
文化祭を男女2人で回ると、その2人は結ばれる。いつからかそんな噂が出回るようになり、文化祭は盛り上がるようになった。実際に毎年何組ものカップルが誕生している。
遥香:禅も去年お誘いが凄まじかったよね。
禅:うん。まぁ、でも俺は久保さんと回ったからね。
さくら:ほんとに付き合えてるじゃん!
禅:あながち噂は間違いじゃないかもね。
和:禅先輩に彼女ができたから注目の的が〇〇に全て行ったって訳ですか....。
彩:えー私気になる人もいないし、美空一緒に回ろー。
美空:はぁぁ// 可愛いねぇ彩は// でも...うぅーん...〇〇と回りたいかなぁ....。
彩:えーーーー。
禅:〇〇の事、誘えたか?ボソッ
遥香:いや、まだ誘えてないボソッ
禅:早くしないと取られるぞボソッ
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放課後 生徒会室
生徒会長:はい!皆んな集まってくれてありがとー!
〇〇:(テンションたけぇな)
生徒会長:皆んな楽しみ文化祭がやってくるよ!今から概要とか説明するからねー。
文化祭は1年生はクラス単位での教室での催し物。2年生は外に模擬店を出店。3年生は基本的に自由だった。これは毎年変わらず、この形式で行われていた。
生徒会長:.....って感じかな!文化祭準備期間前にもう一回会議あるけど、今日は終わり! 2年生はもうちょっと残っててね。
〜〜
〜〜
生徒会長:残ってくれてありがとう!2年生にはちょっと伝えないといけない事があってね。
遥香:なんですか?
生徒会長:2年生の模擬店なんだけどね。売上金の用途が今回少し特殊でね。
〇〇:特殊?
生徒会長:うん。売上金はね、修学旅行の費用になるの。費用といっても家庭からお金を出さなくていいって訳じゃなくてね。家庭からのお金+売上金ってこと。
〇〇:なるほど。
生徒会長:つ・ま・り!稼げば稼ぐほどより良いホテルに泊まれたり、より良い食事ができるって事だよ!用途は自由だから個人に自由に使えるお金として割り当ててもいいし!
遥香:なんか皆んな頑張りそうですね。
生徒会長:それが目的らしいからね。今言った事を、クラスで共有して模擬店なにやりたいか話し合ってね。じゃ、今日は解散!
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遥香と〇〇は2人で帰りながら、文化祭の事について話し合っていた。
遥香:模擬店なにやりたいとかある?
〇〇:んー、できるだけ稼げるやつかな。
遥香:がめついなぁ笑 楽しい方を優先しない?
〇〇:楽しいのも大事だよなぁ。でも、僕実は修学旅行に行った事なくてさ。
遥香:え!?ほんとに!?中学の頃は?
〇〇:父親に行く必要はない。無駄だって言われて行ってないんだ。
遥香:.....そっか。
〇〇:だから実はめっちゃ楽しみでさ、良い思い出にしたいんだよね笑
〇〇は見るからにウズウズしていた。楽しみにしているオーラが手に取るように感じられた。
遥香:ふふっ笑 じゃ、頑張らなきゃね! 私も〇〇君と修学旅行楽しみたいし//
〇〇:遥香達と行けたら楽しいだろうなぁ。 あーー楽しみになってきた!
遥香:あ、あのさ、文化祭誰と回るか決めた?
〇〇:んー、まだ決めてないけど、4人の誰かと回れたらいいなって思ってる。
遥香:噂聞いたの?
〇〇:うん。聞いた。噂かもしれないけど、ちゃんと決めたいなぁって思って。
遥香:うん。〇〇君が決めて。まず私が第一立候補です!
〇〇:え?遥香はいいの?
遥香:え?なんで?
〇〇:だって、僕が遥香を好きかもしれないっていって事は言ったけど....遥香は別に好きな人がいるんだと思ってた。
遥香:(そ、そっか。私は〇〇君に好きとか言ってないんだ!) えーっと、好きな人とかはいないけど、仲良い男子〇〇君くらいだし、回れたらいいなぁって。
〇〇:あ、そうなの。じゃ気兼ねなく誘えるね。
遥香:う、うん//
〇〇:あ、家着いた。じゃまた明日!
遥香:うん!バイバイ!(〇〇君任せにしちゃった)
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〇〇:ただいまー。
和、美空:おかえり!
〇〇:なんか美空最近毎日いない?
美空:ちゃんと夕ご飯の時には帰ってるでしょ!
〇〇:んーまぁそうだけど、ちゃんと飯食ってる?
美空:あんま食べてないかも。
〇〇:....今日は食べてって良いよ。
美空:やったぁ!
〜〜
和:やっぱり〇〇のカレーおいひい!
美空:パクッ....モグモグ...美味しい!
〇〇:そりゃ良かった。
和:ねー〇〇。文化祭誰と回るの?
美空:私と回ろー。
〇〇:ん。まだ決めてない。噂聞いちゃったらなかなか決めらんない。
和:誰と迷ってるの?
〇〇:遥香とさくらと和と美空。
和:私入ってるの!?
〇〇:え、いや、まぁ//
和:嬉しぃ///
美空:私も入ってる//
〇〇:急に恥ずかしがんのやめろ。こっちも恥ずかしくなるだろ。
和:無理矢理決めなくていいからね。無理矢理決めてその人と回って結ばれるとか嫌だから。
美空:うんうん。それだったら誰とも回らないとかの方がいい。
〇〇:....まぁしばらく考えるよ。
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天知:ごめんごめん、お待たせ。
修也:遅いっすよ天知さん。で?聞きたい事ってなんすか?
天知:あぁ、この写真の彼のことについて聞きにきたんだ。
天知が胸ポケットから出したのは、甲子園でバッターボックスに立って構えている〇〇の写真だった。
天知:彼、乃木高校で甲子園出てるんだけど知らない?
将人:こ、こいつ!優太じゃん!
修也:そ、そうだな。優太だ。嫌なこと思い出すな。
天知:優太?彼は井上〇〇って名前で甲子園に出てるけど。
修也:〇〇?俺達には優太って名前で近づいてきたはず...。
将人:騙してたってことか....。
天知:彼に何かされたのかい?
将人:あ、あぁ実はですね。
修也と将人は〇〇にされたことを天知に話した。当然自分達がしたことは隠してさも〇〇だけが悪者のように話した。
天知:....そうか。聞かせてくれてありがとう!また何かあったら連絡するね!
修也:あ、はい。
天知は黒塗りの車に乗って、またどこかへ行ってしまった。
将人:なぁ、修也。これワンチャン仕返しできる?
修也:証拠残されてるからな...。でも仕返ししてぇな。
将人:俺らも証拠残さなきゃいいんだよ。良い方法思いついた。
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翌日 HR
飛鳥:えーっとね、この時間は文化祭について委員長から話があるので、ちゃんと聞いてね。じゃ委員長後はよろしく。
〇〇:はい。
遥香:じゃ、今から昨日の会議で言われた事話すね。
〇〇と遥香は昨日の会議のことをクラスに話した。段々クラスが湧き立っていった。
男1:おぉ!じゃあ稼げば稼ぐほど良いホテル泊まれるってことか!
男2:良い飯も食えるし、お土産もたくさん買える。色んなところ行けるかもな。
禅:1人分浮くし、2年1組は結構良いホテル泊まれるかもな。
〇〇:ん?1人分浮くって?どういうことだ?
禅:あぁ、俺、修学旅行行かないから。
女1:え?
女2:何言ってるの?禅君。
禅:俺行かないの修学旅行。再婚する前に母さん1人に負担かけたし、野球の遠征にもお金いっぱいかかってるから、修学旅行には行かないってことにしたんだ。
クラスは静まり返った。当然のように重めの話をする禅を全員が黙って聞いていた。
飛鳥:...禅が修学旅行に行かないってのは前々から聞いててね。親御さんの了承も得てる。
禅:ま、そゆこと。俺の分まで楽しんできてよ。
〇〇:.......皆んな、何を模擬店やるかは後で決めよう。今日はこれで終わり。
重苦しい空気の中、皆んな部活などに向かった。
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思えば、禅は野球により打ち込むようになっていた。いつでも素振りして、投げ込んでいる様子が〇〇の家からも見えた。
〇〇:おい、禅、マメ潰れてるぞ。
禅:あ、ほんとだ。
〇〇:救急キット取ってくる。待ってろ。
〇〇は救急キットを取りに校内に戻った。
〜〜
〇〇:救急キット〜。ってどこにあるっけ。
トントンッ 〇〇は後ろから肩を叩かれた。
〇〇:ん?あ、彩ちゃん。
彩:なにしてるんですか?
〇〇:あぁ救急キット探しててね。
彩:じゃ一緒に保健室行きましょ。
〇〇と彩は2人で保健室へ向かった。
〇〇:.....あのさ、彩ちゃん。ちょっと聞きたいことあるんだけど。
彩:なんですか?
〇〇:......こんなこと聞くのもあれなんだけど、家計ってあんまよくない感じなのかな。
彩:.......禅兄が修学旅行行かないって言ってるからですか?
〇〇:....ま、まぁそうだね。
彩:....私は苦労してないです。お小遣いとかも貰えてるけど、禅兄は頑なに貰おうとしなくて。
彩:お父さんもお義母さんも修学旅行に行けって、高校で一番の思い出なんだぞ!って言ってたんですけど、禅兄はどうしても行かないって。
〇〇:.......理由はわかる?
彩:禅兄はたぶん、本当に苦労をかけたくないんだと思います。野球の遠征や道具でお金もかけてるしって言ってました。後、妹との約束があるって....。
〇〇:約束?
彩:はい。禅兄の本当の妹さんは事故で亡くなってしまったんですけど、その前に甲子園優勝するって約束をしたらしいです。妹さんが亡くなって、お義母さんも精神的にきつくて、禅兄も野球辞めて就職して支えようとしたらしいんですけど
彩:お義母さんが野球は続けなさいって。約束を守りなさいって言って野球を続けさせてくれたらしいです。だからもう苦労はかけられないって。
〇〇:.....なるほど。........彩ちゃんは禅に修学旅行行って欲しい?
彩:はい!行って欲しいです。〇〇さん達といる時が一番楽しそうだから、高校での思い出たくさん作って欲しいです!
〇〇:...そっか。よし。じゃ僕に任せて!
彩:え?
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〇〇:保健室着いた。僕は先に救急キット取っていくね。じゃまた!
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禅:ふいー。部活疲れたぁ。
〇〇:体力ねぇなぁ。もっと走れ。
禅:〇〇がありすぎるんだよ。ほらもう帰ろうぜ。
〇〇:あぁ、ちょい待ち。帰る前に職員室行こうぜ。
禅:え?俺も?
〇〇:うん。
〜〜
〜〜
コンコンコンッ
〇〇:失礼します。飛鳥先生いますか。
飛鳥:ん?おぉー、〇〇に禅、どうしたの?
禅:いや俺は言われるがまま着いてきただけで...。
〇〇:質問があってきました。
飛鳥:なんでしょう。
〇〇:文化祭の模擬店の売り上げって個人の修学旅行の費用に充てれるんですか?
飛鳥:ん?まぁ用途は修学旅行に関することになら自由だからな。充てれると思うよ。
〇〇:つまり禅の家庭から出す分のお金を稼げば、禅は修学旅行に行けるんですね。
禅:は?何言って・・
〇〇:お前を修学旅行に行かせる。その分稼げば良い。
禅:い、いやいや皆んな良いホテルとか泊まれなくなっちゃうだろ。
〇〇:安心しろ。皆んなの分も稼ぐ。僕に任せろ。先生いいですよね。
飛鳥:うん。禅のご両親も本当は行って欲しいって言ってたし。負担もかけないし良いんじゃない?
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〇〇:じゃ、決定で。よし禅帰るぞ。
禅:いや、ちょっと待っ・・
ガラガラガラッ
〇〇:失礼しましたー。
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下校中
禅:おい、ちょっと待てって!
〇〇:なんだよ。
禅:行くなんて言ってないだろ!誰にも負担かけたくないんだよ!
〇〇:それほんとに言ってんのか?
禅:え?
〇〇:前の僕みたいだな笑 で、ほんとはどう思ってんの?
禅:、、、、、
〇〇:負担とか抜きに。お前は修学旅行行きたくないの?
禅:......行きたいよ。行きたいけど。
〇〇:じゃあ、行かせてやる。禅には恩があるしな。皆んな分も稼ぐし、負担にはならない。
禅:.........本当にいいのか?
〇〇:しつこいなぁ。行かせてやるって言ってんの。友達だろ。
禅:友達......グスッ....ありがどうグスッ....
〇〇:おい!泣くなよ!
夕日に当てられた2人の影は交錯し、いつもの通学路をかたどっていた。禅の道筋には数滴の涙が落ちていた。
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To be continued
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