秘密罪 #23

〇〇:えーっと....放してもらえると助かるんだけど...。

さくら:雷怖いよぉ...うぅ...。

さくらは、台所に立つ〇〇のことを後ろから抱きしめていた。

〇〇:(こんな積極的だったっけ...)

さくら:くっついてたらダメ？

〇〇:い、いや// えー、包丁使う時以外だったらいいよ//

さくら:やった//

〇〇:なんか子供に返ったみたいだな笑

さくら:さく子供みたい？

〇〇:うん笑　一人称も"さく"になってるよ笑

さくら:恥ずかしい// 嫌い？

〇〇:いや、嫌いじゃないけど// (調子狂うな)

いつもと様子が違うさくらを背中に感じながら、〇〇は一番の得意料理であるカレーを作った。

〜〜

〇〇、さくら:いただきまーす！

さくら:ﾊﾟｸｯ...モグモグ...んっ！

〇〇:美味しい？

さくら:うまっ！ほんとに美味しい！

〇〇:あはは笑　嬉しいな。

さくら:和ちゃんはいつもこれを食べてるのかぁ。羨ましいなぁ。他に誰かに作ったことあるの？

〇〇:カレーは誰かに作ったことあったかな...あ！

〇〇は遥香と泊まった時のことを思い出した。

さくら:あるの？だれだれ！

〇〇:いやぁ...えーっと.....

さくらが自分の事を好いてくれていることはわかったいた為、〇〇は遥香と泊まった事を言うべきか言い淀んでいた。

さくら:もしかして...かっきー？

〇〇:えぇ！？　い、いやー？えーっとね....

さくら:...図星だね。

〇〇:いや泊まったとかじゃなくてね！カレーを食べたってだけで！

さくら:....泊まったんだね。

〇〇:...すみません。

しばらくの沈黙が流れ、気まづい雰囲氣が漂っていたが、突然さくらが笑い始めた。

さくら:....ふふっ笑　謝らなくていいんだよ笑

さくら:まだ〇〇君は誰のものでもないし、今日はさくが泊まるんだからね！

〇〇:う、うん。

さくら:で、かっきーとなにしたか教えてもらおうかなー。

〇〇:えぇ！？

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さくら:へー。やっぱり〇〇君かっこいいね。

〇〇:恥ずかしいからやめてよ。

遥香と泊まった時のことを話した。するとさくらは、私も卒業アルバムを見たいと言い出して聞かなかった。〇〇も別に嫌ではなかった為見せる事にしたが、アルバムを見ているさくらの表情はどんどん曇って行った。

さくら:......やっぱり、後半は映ってないんだね。

〇〇:.....やっぱり？　言ったことあったっけ。

さくら:え、あぁ、違うの！何でもなくて...。

〇〇:...そう。

さくらはしばらくアルバムを見ていた。時折なにか考え込む表情と悲しい表情を浮かべながら。

〇〇:...見てて良いよ。僕お風呂沸かしてくる。

さくら:うん...ありがとう。

〜〜

〜〜

〇〇:なんか...さくら悲しそうだったな...。

ピッ　お風呂が沸くのは15分後。リビングに戻ろうとするが中々その気にはなれなかった。

〇〇:最近幸せだなー。天知のことはあるけど....僕は人に恵まれてる。申し訳ないほどに。

ブーッ　ブーッ　ブーッ　

スマホが鳴った。ポケットからスマホを取り出し、画面に表示されている名前は"母さん"だった。

〇〇:.....もしもし？どうしたの？

母:元気にしてるかなぁって思ってさ。

〇〇:あー笑　元気だよ。元気すぎるくらい。

母:そう。何も困った事はない？

〇〇:困った事かぁ。あーー、天知がまた来たよ。

母:えぇ！？あの人....また...何もされてない？

〇〇:今の所は僕に害はないよ。記事を書かれたとしても僕の業だから。何も言えないよ。

母:...また何かあったら連絡しなさいよ。

〇〇:あぁ、わかったよ。それで？用はそれだけ？

母:...伝えないといけない事があってね。

〇〇:うん。なに？

母:刑務所から手紙が来たの。正雄さんから。

〇〇:........そう。....父さんから.....。

母:〇〇と話がしたいって....都合が良い時、面会に来てくれないかって.....。

〇〇:....義父さんはなんて言ってるの？

母:〇〇君が決めるべき事だって。.....どうする？

〇〇:......少し時間を貰ってもいいかな。いつかは行こうと思っていたから。まだ....もう少しだけ...いいかな。

母:...うん。わかった。無理はしないでね。

〇〇:うん。じゃあ切るよ。

母:うん。また。

プツッ

〇〇:ふぅ.....戻ろ。

お風呂が沸くまで、あと8分程になっていた。

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〇〇:さくら、僕が先にお風呂入ってもいいかな。

さくら:うん。いいよ。

〇〇:ありがとう。着替えは.....僕の服になっちゃうんだけど....。

さくら:かっきーも着たの？

〇〇:まぁ、うん。

さくら:じゃあ、私も着る。

〇〇:嫌じゃない？

さくら:嫌なわけない。好きな人の服着れるんだし//

〇〇:恥ずかしいこと言うなよ//

オフロガ、ワキマシタ

〇〇:あ、沸いた。じゃあ、入ってくるね。好きにくつろいでて。

さくら:うん。ごゆっくり。

〇〇は一度自分の部屋に行き着替えを持って、お風呂へ向かった。

〜〜

〜〜

さくら:お風呂...行ったかな...。

さくらは〇〇が風呂に入ったことを確認し、〇〇の部屋へ向かった。

ガチャ

さくら:ふぅ...2回目かぁ// ....そんな事より早く返さないと！

鞄から取り出した物は、〇〇の日記帳だった。元の位置に返す機会を伺っていたが、今しかないと思い
忍び込んだのだった。

本棚の元の位置に戻す前に、さくらは一度日記帳を抱きしめた。

さくら:....大丈夫。〇〇君の事は絶対幸せにするからね。大丈夫、大丈夫だから。

そう言ってからさくらは、日記帳を本棚に返そうとした。だが、その時・・

ガチャ

扉が開いた。

美空:〇〇ー！雷怖いから来ちゃった......って...さくらさん！？

さくら:み、美空ちゃん！！？どうして...。

美空:どうしてって....〇〇に会いたかったからですけど.....それより、その手に持ってるのって....

さくら:あ！こ、これは....

美空:....読んだんですね。

さくら:......うん。

〜〜

〜〜

さくらと美空は、2人で〇〇のベッドの上に座り話をしていた。

美空:私も隠れて見ちゃったことあって、あの時は...泣いたなぁ笑

さくら:私も....泣いちゃった。

美空:......どう...思いました？

さくら:.....〇〇君の事、絶対に見捨てないって...幸せにしてあげたいって思ったよ。

美空:....へへ笑　一緒ですね。私も〇〇を幸せにしたいんです。〇〇は不器用で...自分の事全然考えてないから.....。

さくら:........。

美空:...悔しいけど今日は帰ります！今日はさくらさんと〇〇の時間ですから！

さくら:ありがとう。でも雷大丈夫なの？

美空:あれは嘘ですよ。この歳になって雷怖いは子供っぽいですから。

さくら:そ、そうだよね//

美空:あれー？もしかしてさくらさん雷怖いんですかー？

さくら:そんなことないもん！

美空:キャー// 可愛い//

さくら:先輩をからかわないの！

美空:すみません笑　じゃあ帰ります。

さくら:うん。またね。

美空:はい。......誰が〇〇と付き合っても恨みっこ無しですからね！

さくら:...うん！負けないよ！

美空:私も負けません！　では〇〇とごゆっくり笑

さくら:もう！//

バタンッ

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〇〇:ふぅ.....さくらー、お風呂いいよ。

さくら:う、うん。わかった//

〇〇:ん？どうかした？

さくら:な、なんでもないよ！？(美空ちゃんがあんな事いうから意識しちゃうじゃん！濡れ髪かっこいいし//)

〇〇:はい、これ着替え。入っておいでー。

さくら:う、うん。行ってくるね//

〜〜

お風呂

さくら:〇〇君が入った後のお風呂.....って何考えてるの私//

すでにさくらの顔はのぼせたかのように真っ赤だった。

さくら:明日も〇〇君と一緒に入れるのかぁ...へへ//
嬉しいな。　早く上がって〇〇君のとこ行こ//

爆速で髪、顔、体を洗い、お風呂を出た。

〜〜

さくら:お風呂ありがとう。良い湯でしたー....って〇〇君寝ちゃってる。

ソファに座りながら〇〇は眠っていた。

さくら:ふふ笑　なんか可愛い。髪濡れちゃってるし、犬みたい笑　........ちょっとだけ...

ツンッ

さくらは〇〇の頬をつついた。

さくら:えへへ// 〇〇君、好きだよﾎﾞｿｯ//

〇〇:んぅ....うん？あれ、さくらもう上がったの？

さくら:あ、起きちゃった。うん。お風呂ありがとうね。

〇〇:うん。あ、ドライヤー使うよね。今持ってくる。

〇〇は立ち上がりドライヤーを取りさくらに渡した。だが、さくらは受け取ろうとしなかった。

〇〇:ん？乾かさないの？

さくら:.....〇〇君に乾かして欲しいな//

〇〇:えぁ...まぁ、いいよ。

ブオーーー　ブオーーー

〇〇:熱くない？

さくら:うん。えへへ// 気持ちー、乾かすの上手いね。

〇〇:まぁ、和の髪、よく乾かすからなぁ。

さくら:むぅ....ずるいﾎﾞｿｯ

〇〇:ん？ごめん、聞こえなかった。

さくら:もう、なんでもないよ！

〜〜

〇〇:はい、終わり。

さくら:ありがと。〇〇君の髪もまだ濡れてるね。

〇〇:ん...寝ちゃってて乾かしてなかったな。

さくら:私が乾かしてあげる。

〇〇:え？じゃ、じゃあお言葉に甘えて。

ブオーーー　ブオーーー

さくら:良い匂いするね。熱くない？

〇〇:なんか恥ずかしいな// 熱くないよ。

さくら:えへへ// なんか子供みたい笑

〇〇:やめてよ笑　(人に乾かしてもらうのってなんか良いな)

〜〜

さくら:はい！終わり！

〇〇:ん、ありがとう。

さくら:いつの間にか、雷止んだね。

〇〇:そうだなー。寝やすくなって良かったよ。

時刻はもう23:30をまわっていた。2人の間に微妙な空気が流れた。

〇〇:も、もう寝よっか。

さくら:あ...うん。　　あの！えーっと.....

〇〇:うん？

さくら:いぃ、一緒に！ね、寝たいなぁって//

〇〇:い、いやー....一緒にかぁ。ほら！雷も鳴り止んだし1人でも・・

さくら:ダメ...？

何度見たかわからない潤んだ目での上目遣い。勝てるわけがなかった。

〇〇:もう....わかったよ。一緒に寝るよ。

さくら:やった！

2人は歯磨き等を済まし、〇〇の部屋へ向かった。

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〇〇の部屋

〇〇:どうぞー。さくらは僕の部屋に来たの初めてだっけ。

さくら:.......うん。初めて。本がいっぱいだね。

当然、〇〇の部屋に来た事があるという事は隠した。

〇〇:まぁね。好きなの貸すよ。

さくら:やった！ありがとう。

〇〇:うん。....ちょっとさ、座って話さない？

さくら:うん！まだ眠くないし。

それから2人は小説の話、学校の話、今までの話などをして、笑い合っていた。そんな話をしていると、必然と昔の話になった。

〇〇:さくらはさ、彼氏とかいたことないの？

さくら:ないよ！好きになったのも〇〇君が初めてだし//

〇〇:そ、そっか//

さくら:.......〇〇君はさ、日記とかつけてないの？

〇〇:え？なんで？

さくら:い、いや私はつけてるから、〇〇君はどうなのかなって思って。

さくらはカマをかけた。〇〇の反応を見て、あの日記帳がどれだけ、〇〇にとって重要なものなのかを知る為に。

〇〇:んー.........つけてないかな。

さくら:....そう。(隠した....ってことはやっぱりあれは〇〇君にとって見せたくない物なんだな)

〇〇:ふぁあ...眠くなってきた...

さくら:ふふっ笑　寝よっか。

〇〇:うん。

電気を消し、2人は背中合わせになり、お互い反対の方向を向いてベッドに入った。

数分が経ったがお互い眠る事はできていなかった。

さくら:...〇〇君、起きてる？

〇〇:....うん。起きてる。

さくら:こっち...向いてくれない？

〇〇:...わかった。

〇〇は体を反転すると、すでにさくらも反転し向き合った体勢になった。

さくら:へへ// 近いね//

〇〇:近くて寝れないよ//

さくら:.....〇〇君、ありがとう。

〇〇:え？

さくら:....いつだって私達の事を助けてくれて、クラスの皆んなも感謝してるんだよ。

〇〇:..........。

さくら:〇〇君が転校してきてくれて本当に良かった。.....でもね、〇〇君も甘えていいんだよ。

〇〇:....え？

さくら:いつも1人で頑張ってる。最初の頃よりは頼ってくれるようになったけど。悩んでる事とかあったら、もっと頼っていいんだよ？

さくら:お風呂沸かしてきてから、〇〇君は思い詰めた顔してるよ。

〇〇:っ！.....

さくら:何かあったの？

〇〇:......実の父親が、僕と面会を希望してるんだ。

さくら:....そっか。

〇〇:僕は....どうしたらいいか....えっ！？

さくらは〇〇を抱き寄せて、自分の胸に埋めた。

〇〇:ちょ、さくら？//

さくら:1人で悩んで辛かったよね。〇〇君は中学の頃から1人で悩んできたんだね。

〇〇:....うぅ...ｸﾞｽｯ....

さくら:もう....1人じゃないから。私もかっきーも禅君も和ちゃんも美空ちゃんも、皆んな〇〇君の味方だから。

〇〇:....ｸﾞｽｯ...ありがどう..。

さくら:大丈夫、大丈夫。1人じゃないよ。

さくらは子供をあやすように、〇〇の背中を優しく叩きながら、言葉をかけていたが、

2人はいつの間にか眠りについていた。

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　　　　　　　　　　　　　　To be continued