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秘密罪 #18


〇〇:ふぁあ....ねっむ。 さてどうするかな。稼ぐったって学生の文化祭、稼げる額なんてたかが知れてるしな。まず予算だな。予算を増やして、文化祭に投資か。となると皆んなから予算にプラスで集金しないと行けないけど、負担になるなぁ。あとは集客、原価率。人件費は除外していいのか。うーーん。

禅:久しぶりに聞いたな。〇〇のブツブツ登校。

遥香:こういう時の〇〇君ってなにか考えてる時だよね。

〇〇:...ん?あぁ、おはよ。

遥香:おはよー。 何考えてたの?

〇〇:文化祭で荒稼ぎする方法。 禅から話聞いた?

遥香:うん。聞いたよ。私も協力するし、皆んなも協力すると思うよ。

禅:ほんとにいいのか?俺の分の費用と皆んなのホテル分ってかなりの額だぞ。

〇〇:僕1人じゃ無理。だから協力しろ。 ほら学校行くぞ。

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飛鳥:じゃ、今日のHRも文化祭関係の話あるから皆んな部活の前に残ってね。今日も頑張ろー。

〜〜

授業中

カタカタカタ カタカタカタ

先生:おーい、誰だ?うるさいぞ。

カタカタカタ カタカタカタ

さくら:ちょ、ちょっと〇〇君。何してるのボソッ

〇〇:もうちょっとだけ。さくら誤魔化しといて。

さくら:えぇ!?


〇〇は授業中ずっと電卓を叩いていた。ノートにおびただしい量の数式を書きながら。


先生:おい!誰だ!さっきからカタカタうるさいのは!

さくら:えーっと、うーんと、えーっと...

〇〇:.....はい。僕です。

先生:あぁ...〇〇か...もうちょっとだけ静かにしてくれるか?

〇〇:すんません。気をつけます。

さくら:(ん?先生なんか弱くない?)

〜〜

さくら:ねぇ〇〇君、先生の弱みかなんか握ってるの?

〇〇:人聞き悪いな笑 まぁ殺人犯の息子ってだけであんま関わりたくないでしょ。

さくら:そうゆう理由?

〇〇:んーまぁ、うーん。自分で言うことじゃないけど、テストの点とか学年一位だからかな。

さくら:え!?そんなに頭良いの!?

〇〇:まぁ、平均より少し。

さくら:全然平均じゃないじゃん!

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昼休み 屋上

〇〇:うーん。やっぱ集客か。一般のお客様をどう集めるか。そもそもこの学校の知名度はどんくらいなんだろう。2日でどれだけ稼げるか....。売り子も考えないとな。まぁ遥香とさくらを前面に出せば可愛いから生徒には売れるな。コスプレかなんかさせれば一般の方にも恐らく売れるな。

禅:なんか一日中ブツブツ〇〇君なんだけど。

遥香:しかもなんか恥ずかしい事言ってるし//

さくら:コスプレって無理だよ//

禅:俺の為だってわかってるけど、ちょっと休もうぜ〇〇。

〇〇:...うん?あぁごめん。いやなんかもう禅の為っていうか普通に荒稼ぎしたい。

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放課後 HR

飛鳥:じゃ模擬店何出すか決めよー。

〇〇:その前に皆んなに言わないといけない事があります。


〇〇はクラスの皆んなに禅の為に稼ぐ事を伝えた。


禅:皆んな、無理しなくても・・

女1:やるに決まってるじゃん!

男1:その話乗ったぁぁぁぁぁ!

男2:まぁ、なんか策はあるんでしょ?〇〇。

〇〇:うん。だいぶ仕上がってきた。模擬店でなにをやるかによるけど。

禅:ちょ、皆んなほんとにいいのか?

女2:いいに決まってるでしょー。今まで皆んな禅君に頼ってきたんだから。

男1:もうそんな話は終わってんの。今はどうやって稼ぐかなの!

禅:皆んな....。

〇〇:じゃ何を模擬店でやるか決めるよ。何か案はある?

〜〜

〜〜

男1:なかなか決まんないな.....。

遥香:揚げ物だと食中毒とか怖いし、フライヤーも借りるならお金かかるし....

〇〇:やっぱ予算か....。決められた予算内だときついな。

女1:買い出しとかでも使うでしょー?

女2:買い出しって言えばさ、去年もそうだけど、めっちゃ遠いんだよねー。

〇〇:遠い?近くにショッピングモールあるじゃん。

女2:うん。でもあそこ結構高いから予算足りなくなるの。だから皆んな遠くにあるショッピングモールに行くの。自転車だから遠いんだよねー。

〇〇:..........なるほど.....この学校って知名度ある?

女1:結構あると思うよ。甲子園出てるし、禅君は元々カッコよくてプロ注目で知名度あったけど、今年の甲子園で〇〇君もイケメン高校球児!って話題になってたよ。

〇〇:話題にされるのは困るな...でも......だれか大型冷蔵庫持ってる家庭あるかな。

男2:大型冷蔵庫?んー、あれお前持ってないっけ。

男1:あー、あるぞ、俺んち、精肉店だからでっかいのある。

〇〇:........フードパックとか貰えるかな。

男1:フードパックってあのプラスチックのやつか?たぶん大丈夫だけど。

〇〇:.......他のクラスで何やるか聞いた人いる?

女1:チュロスとかタピオカミルクティーとか、チョコバナナとかスイーツが多いっぽい。

女2:フランクフルトとか、ホットサンドやるってクラスもあった!

〇〇:........よし。決めた。焼きそばとわたあめで行こう。

男1:焼きそばとわたあめ?鉄板とか、わたあめ機とか結構お金かからないか?

〇〇:大丈夫。わたあめ機は僕の家にある。鉄板は予算増やすから借りれる。よし。これで行こう。

男2:まぁ〇〇が決めたんだから間違いないだろうな。

女1:賛成ー!

女2:私もー!

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下校中

〇〇:なぁ、誰か休みの日に車出せるいる?

禅:ん?あぁ俺んち出せるよ。

〇〇:業務用スーパーってあるかな。

禅:あー、隣町にあるぞ。車で30分くらいかかる。

〇〇:連れてってもらえるかな。

禅:おー、頼んでみるけど文化祭関係?

〇〇:うん。色々買うから禅と遥香とさくらも来て欲しいんだけど。

遥香:日曜なら空いてるよ。

さくら:私も。

〇〇:よし。じゃあ今週の日曜日、行こう。

禅:わかった。頼んでみる。

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それから数日が経ち、文化祭まで残り二週間を切った。今日から放課後は文化祭準備期間になる。教室で催し物をするクラスは飾り付け、模擬店をするクラスは必要な道具や物を買い出しに行く事になる。

委員長は生徒会室で文化祭について、会議していた。


生徒会長:よし!皆んなやる事は決まってるみたいだね。じゃ今から予算を渡すから上手に使ってね!

〇〇:ありがとうございます。

遥香:...............。

〜〜

〜〜

遥香:......ねぇ、ほんとに大丈夫なの?

〇〇:大丈夫。

遥香:大丈夫って言ったって......。


遥香が心配している理由。それは〇〇達のクラスの予算がもう底をついている事だった。

原因は先週行った業務用スーパー。

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一週間前

〇〇:ありがとうございます。禅のお母さん。

禅母:いいのいいの!これも禅の為にやってるんでしょ?この子、一度言ったことは曲げないから困っててね。修学旅行行くって言ってくれただけでも嬉しいの。

禅:余計な事言わなくていいって! じゃ、ちょっと買い物してくるから!


バタンッ

〇〇:素敵なお母さんじゃないか。

遥香:ねー!私も禅のお母さん好き。

禅:友達の前だと調子乗って色々言うからなぁ..。

さくら:お母さんって大体そんな感じだよね笑

〜〜

禅:で、何買うの?

〇〇:あぁ、紙に書いてあるから、これ見て買って欲しい。お金は渡すから。


〇〇は3人にそれぞれ紙を渡した。


遥香:....ん?模擬店でやるのって焼きそばとわたあめだよね。

〇〇:そうだよ。

遥香:じゃあ、なんでプラスチックコップとか紙皿とか、飾り付けの道具とか買うの?

〇〇:まぁまぁ、ほら大量に買うんだから急ぐよー。

〜〜

〇〇達が買ったのは大量の割り箸や紙皿、プラスチックコップ、飾り付けの道具や、野菜に中華麺だった。

予算の2万円は底をついた。予算を貰う前だった為、〇〇が実費で買った。その為、予算を貰ったら、そのまま〇〇の懐に入る事になった。


〇〇:禅のお母さん。このまま男1の家に行ってもらっていいですか。

禅母:いいわよー。お肉買って行こうかしら。

〜〜

〜〜

男1:おー!来たか!

〇〇:うん。この野菜と中華麺保存してもらってていいかな。

男1:うおっ!めっちゃ量多いな。まぁでも入るか。おっけー。

男1母:あ!〇〇君だね!甲子園見たよ。それにしてもカッコいいね〜。

〇〇:あはは笑 ありがとうございます。でもいいんですか?フードパックにお肉まで。

男1母:全然いいよー。いくらでも持っていって!

〇〇:本当にありがとうございます!当日また取りにきますね!

遥香:ねぇさく。〇〇君が何考えてるかわかる?ボソッ

さくら:ううん。全然わかんない。予算尽きちゃったよね。ボソッ

遥香:どうする気なんだろボソッ

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時は現在に戻り


〇〇:よし、こっから予算を2倍以上に増やすよ。

遥香:え!?どうやって?今予算0なんだよ?

〇〇:2人で長机持って行こう。昇降口に。

遥香:何のために?

〇〇:いいからいいから。

〜〜

〜〜

遥香:....何これ。


〇〇は持ってきた長机に業務用スーパーで買ってきた物を並べ、値段をつけた。業務用スーパーで買った値段より高めの金額をつけて。


遥香:これ、売るって事?

〇〇:そうだよ。そろそろ皆んな買い出しに行く頃かな。

〜〜

〜〜

他クラス男1:おい!早く買い出し行くぞ!皆んな買いに行くんだから早く行かないと売り切れる!

他クラス男2:遠いんだよなぁ。帰ってくるまでに汗だくになるっつーの。 ん?あれなんだ?

〇〇:おー君たち、買い出し?

他クラス男1:そうだけど。

〇〇:じゃあここで買っていきなよ。必要な物はたぶん取り揃えてるよ。

他クラス男2:うおっ!ほんとじゃん!てか近くのショッピングモールより安いし。

他クラス男1:学校で買えるんなら得すぎる!買うわ!

〇〇:毎度ありー。あ、ここで売ってる事、学校に広めてくれたらちょっと安くするよ。

他クラス男1:まじ!?広める広める!

〇〇:ありがとー。

〇〇:ほら、遥香手伝って!こっから人多くなるよ!

遥香:う、うん!


そこから数分経ち昇降口の出張〇〇店は人で溢れかえっていた。

〜〜

和:あ!〇〇なにしてるの?

〇〇:んー?金稼ぎ。和は買い出し?

和:うん!メイド喫茶やるからプラスチックコップとか紙皿が必要なの。

〇〇:メイド喫茶!良いじゃん。 買い出しならここでやっていきなよ。

和:これ売ってるの!?最高じゃん!

〇〇:皆んな遠くに行くのきついでしょー。学校でやれば近場で済むしねー。

〜〜

〜〜

時刻はもう下校時刻間近。人はもう少なくなっていた。


〇〇:ふぅ...。今日はこれで店じまいかな。

遥香:す、すごい。もう2万円回収しちゃった...。

〇〇:自分のクラスの分の道具は確保してるし、まだまだ余ってるから明日も明後日も売るよ。

遥香:最初からこれ思いついてたの?

〇〇:うん。皆んなの協力なかったら無理だったけどね。

遥香:....〇〇君、社長とかやったらいいんじゃない?

〇〇:あはは笑 殺人犯の息子が社長とか無理だよ。まぁやってみたい気持ちはあるけどなぁ。

〇〇:あ!やば!もう下校時刻になる!先に帰ってて!片付けしたらすぐ追いつくから!

遥香:え、あ、うん!

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下校中


禅:へー、そうゆう事だったのか。

遥香:私も全然気づかなかった。あんな作戦があったなんて。

さくら:〇〇君すごいね。予算回収しちゃった。

遥香:これ2倍どころじゃなくて、予算の何倍も稼いじゃうよたぶん。

禅:すげーなー。

??:あのー、すいません。乃木高校の生徒さんでしょうか?

禅:え?あ、はいそうですけど。

??:ちょっとお話を聞きたい事がありましてね。

遥香:どなたですか?

??:私こういうものでございます。


男は名刺を3枚渡した。


禅:週刊アマチ....ってあの週刊アマチですか。

天知:知ってくださっているとは、ありがとうございます!

遥香:有名な記者さんが、何の用ですか?

天知:ちょっと人探しをしてましてね。というよりあなた、小川禅さんですよね!

禅:あ、はい。そうですけど。

天知:甲子園拝見しました!いやーとても2年生とは思えない投球でした!

禅:あはは笑 ありがとうございます。それで用はなんですか?

天知:あぁ、すいません。同じ野球部の井上〇〇君について話を聞きたくてですね。

禅、遥香、さくら:!!


遥香達はその一瞬で気づいた。この天知という男。週刊誌を作成している。記事を書いている。そして〇〇について聞いてきた。きっとあの事だろう。


禅:.....野球の記事を書くんですか?

天知:あー...野球といいますか...ちょっと別件でね。〇〇君は学校でどんな子かな。

遥香:とても良い人です。

さくら:誰にでも優しいです。

天知:ふむふむ....なるほど....ちょっと小耳に挟んだんだけど、とある生徒を監禁して、脅したって噂を聞いたんだよ。

さくら:(七華達のことだ....)

天知:それは本当なのかな。


遠くから叫び声が聞こえた。


〇〇:何も言うな!!

禅:え?


〇〇が全速力で後ろから走ってきた。追いついたと同時に〇〇は天知の胸ぐらを掴んでいた。


〇〇:天知ぃ!お前、なにしにきやがった!

天知:やぁ、久しぶりだね。秋月君。手を離してくれるかな。

〇〇:うるせぇ。なにしにきたって聞いてんだよ。

天知:いやぁなに。近くまで来たもんだから秋月君はどうしてるかなぁと思ってね。

〇〇:......もう僕に関わらないでくれよ。

天知:関わる気はないよ。でも上が君の記事を書けってうるさくてね。

〇〇:.........。

天知:で、どうだい?学校では上手くやれているかい?

〇〇:....うるさい。

天知:隠し通せているのかい?

〇〇:.....うるせぇって言ってんだよ!


〇〇は拳を振りかざした。


さくら:〇〇君、ダメ!!


間一髪の所で〇〇の拳は止まった。


天知:....なんだ。殴ってくれれば良い記事が書けたのに。父親と違って踏みとどまれる理性はあるんだな。

〇〇:もう.....帰ってくれ。

天知:あぁ、今日は帰るよ。文化祭楽しみにしてる。

〇〇:..........。


天知は去っていった。

あたりに漂う重苦しい空気。全員その場から動く事は出来なかった。


〇〇:.....ごめん。なにも答えられる気がしない。今日は帰る。

遥香:..........。

さくら:........。


〇〇は泥人形の様な足取りで家まで帰っていった。今までは自分達でしか共有していなかった〇〇の秘密。だが今日それは社会の誰かが知っているという事実を突きつけられた。


遥香:....また〇〇君、元に戻っちゃうのかな...。

禅:..........。

さくら:......今は様子を見よう。


文化祭ムードで楽しい雰囲気は壊れ、再度現れた傷口をぐりぐりと責められている。文化祭ムードとは真逆の感情が3人には渦巻いていた。

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              To be continued






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