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秘密罪 #19


〇〇:ただいま。

和:〇〇、おかえりー.....大丈夫?

〇〇:なにが?

和:顔真っ青だよ。

〇〇:あぁ....ごめん。今日はカップラーメンで済ませてくれるか?

和:え?まぁ...いいけど。なんかあったの?

〇〇:...ごめん。今はちょっと話す気分じゃないんだ。部屋に篭る。


バタンッ


〇〇は真っ青な顔で部屋に入った。和が今までに見たことのない顔だった。

〜〜

〜〜

〇〇:.....くそっ....くそっ!! なんでだよ。また僕の邪魔をするのかよ....。

〇〇:.....ちょっと待てよ....あいつ文化祭楽しみにしてるって言ってたな.....来る気か...。


記憶を呼び起こす。〇〇が封じていた中学の記憶。何かを振り切るようにして、本棚の裏から一冊の日記帳を取り出した。それにはこう書かれてあった。


"僕が僕である為の日記帳"

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翌日


和:ふぁあ....〇〇起きてるかな..。


ガチャ


〇〇:あ、和。おはよー。朝ご飯できてるから食べよ。


扉の向こうにいたのはいつもの〇〇だった。

〜〜

和:いただきます。 モグッ....んっ!?

〇〇:ん?どうしたの?モグッ.....塩と砂糖間違えてるなこれ....。


今までこんな事はなかった。料理上手な〇〇にとって塩と砂糖を間違えるなんて。


和:ねぇ....やっぱりなんかあったんでしょ。話して?

〇〇:........話しても関わらないと約束できる?

和:聞いてからじゃないと約束できない。

〇〇:.....わかった。話すよ。


そう言って〇〇は昨日の帰りにあったことを話した。


和:.......その天知って人は、〇〇となんの関係があるの?

〇〇:....天知は週刊アマチの記者だ。金になる記事だったらなんでも書く。僕の父が殺人を犯した時、僕の記事を書いたんだ。U15日本代表、全国模試一位の天才 一夜にして犯罪者の息子になった少年。この記事が出たせいで僕はいじめられ、世間から非難され、転校を余儀なくされた。

和:その人がまた〇〇の記事を書こうとしてるの?一体何の記事を?

〇〇:.....わからない。今更なんの記事を書こうととしているのか...。

和:.........。

〇〇:和、よく聞いて。あいつに僕と和の関係を知られたら和にも迷惑がかかる。あいつはまだ僕の事を旧姓で呼んでいたから親が再婚したかを知っているかはわからない。だから和は今まで通り兄妹って事を隠して。わかった?

和:...うん。わかった。また何かあったらすぐ言ってね?私は〇〇の味方だから。

〇〇:....うん。ありがとう。

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禅:おはよーっす。〇〇。

遥香:おはよう。〇〇君。

〇〇:おー。おはよう。昨日はごめんな。

禅:ありゃ、意外と普通だな。

〇〇:あぁ、沈んでる場合じゃない。それより天知に何か聞かれたか?


禅と遥香は目を見合わせた。言うかどうか迷っているようだった。


〇〇:聞かれたんだな。教えてくれないか。

遥香:......とある生徒を監禁して脅したって噂があるって。それは本当かって聞かれた。

〇〇:......そうか。他には何か聞かれた?

遥香:どんな人か聞かれた。良い人で優しい人って答えたけど....。

〇〇:僕の事はなんと呼んでた?

遥香:井上〇〇って呼んでた。

〇〇:(...あいつ...どこまで...) わかった。ありがとう。

禅:....俺達に隠してること、もうないか?

〇〇:君達に隠してる事はないよ。あいつは中学の時、僕の記事を書いた。殺人犯の息子って世間に知らしめた。僕はあいつを許せない。それだけ。

遥香:また記事を書こうとしてるってこと?

〇〇:続きは学校で話そう。ほら遅刻する。

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飛鳥:じゃ、今日も一日程々に頑張ろー。

〜〜

〇〇:先生。少しお話しがあります。

飛鳥:んー?なに?

〇〇:それが・・・

〜〜

遥香:先生と何話してたの?

〇〇:ん?いやちょっとね。

遥香:...そう。 私達にも頼ってね?

〇〇:...うん。ありがとう。

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昼休み 屋上

〇〇:皆んな、昨日あったことを話すね。


〇〇は昼休みにさくら、遥香、禅、美空、和を呼んで、天知の事を話した。


美空:...またあいつが追ってきたのね...。

さくら:美空ちゃんは知ってるの?

美空:はい。中学の時、〇〇は記事を出された。実名と顔は隠されていたけど、学校に広まるのはすぐでした。その時の〇〇は見てられなくって....。

〇〇:....まぁ中学の事はいいよ。問題は僕が七華達にした事を、天知が知ってたってことだ。

禅:...俺らが聞かれた時にはもう知ってたぞ。

〇〇:....となると....七華達本人か....。

さくら:七華達が天知と繋がってるってこと!?

〇〇:そうなるね。それにあいつは文化祭に来る気だ。.....なぁ.....文化祭に僕が行かないって言ったら怒る?


皆んなは黙りこくってしまった。本当は来て欲しかった。だが、〇〇に危険が及ぶ可能性がある。その点を考慮すると、来て欲しいとは言えなかった、


さくら:〇〇君が決めれば良いと思う。文化祭に来るんだったら、私達は〇〇君を守るし。

遥香:うん。〇〇君が決めるのが良いよ。

和:うんうん。

美空:ほんとは来て欲しかったけど、〇〇の事が第一だからね!好きにしたら良いよ。

〇〇:.......ありがとう。皆んな優しいな笑

禅:...まぁ無理すんなよ。

〇〇:...あぁ...よし。この話は終わり。稼ぐ為に作成を詰めようか。

禅:ははっ笑 なんか安心したよ笑

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それから一週間が経った。着々と準備が進み、学校も活気づいていった。浮ついた空気も漂い出し、文化祭前にカップルができる人もちらほら現れた。


〇〇:ふぅ....今日はここまでにしようか。

遥香:あれ?いつもより早くない?

〇〇:うん。もう予算の6倍の12万は稼いだし。


準備期間初日から、〇〇は巧みな商法で稼ぎに稼いでいた。予算は12万。〇〇がやりたい事ができる予算になった。


遥香:今日はもう帰るの?

〇〇:いや?今から調理室借りてるんだ。一緒に来る?

遥香:え!行く!

〜〜

〜〜

〇〇:ここで、僕が一週間試作を重ねた秘伝のソースをドーン!


ジューーー ジューーー


遥香:うわぁ!よ、よだれが止まらないよ!

〇〇:良い匂いする?

遥香:うん!これだけでお腹空くよ!

〇〇:良かった。やっぱ料理楽しいな。

遥香:....〇〇君は料理が得意な人の方が好き?

〇〇:んーー....別に得意じゃなくてもいいから一緒に料理してくれる人がいいなぁ。

遥香:一緒に料理....〇〇君と一緒に料理かぁ///

〇〇:はい。できたよー。お食べなさい。

遥香:美味しそう...いただきます!パクッ

遥香:うんまぁ!!なにこれ!学生が作れるレベルじゃないよ!!

〇〇:良かったぁ!結構考えたんだよねー。 


ガラガラガラッ


男1:ここかぁ!とんでもなく良い匂いがするのは!

さくら:うわぁ....良い匂い...。

禅:焼きそば作ってんの?

女1:えー!私も食べたい!

女2:私もー!!

〇〇:おー。ちょうど良い所に来たな。これ皆んなに作れるようになってもらうから見てて。

〜〜

〜〜

さくら:うまっ!

女1:.....〇〇君ってこんな料理上手いの?

女2:自信なくすわ。

男1:おかわりをよこしなさい。〇〇。

〇〇:美味いのはわかったけど、作れるようになってくれよ?鉄板用意してお客さんの前で作ってもらうんだから。

禅:そんなん緊張するわ。

〇〇:ライブクッキングって言ってな。観客の前で作った方が注目浴びれるし、売れるんだよ。

男1:このクオリティ作れっかな...。てか〇〇が作れば良いじゃん!

〇〇:あー....まぁ...僕に何かあった時の為だよ。

遥香:...............よし!練習しよう!

さくら:だね!


遥香達は焼きそばを作る練習をした。ついでにわたあめを作る練習も。色付きのザラメも用意し、見た目が派手になるような大きなわたあめを作れる練習もした。

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文化祭まであと3日


和:ねぇ、これ恥ずかしくない?

美空:ちょっと恥ずかしいかも...。

彩:2人とも似合ってるよ!!

和:なんで彩はメイド服じゃないの!

彩:彩は和達に手を出そうとするお客さんを成敗する係だから!

1年男1:可愛すぎないか....

1年男2:それな...これは売れるぞ。

〜〜

〜〜

〇〇:和達のクラスのメイド喫茶がかなりの強敵だな...。

遥香:お客さん取られちゃう?

〇〇:かもしれない。.....ねぇ、遥香達もコスプレしてみない?

さくら:えぇ.....恥ずかしいよ//

女1:フフフ....良いことを聞いた。

女2:私達が生まれ変わらせてあげよう!こっち来なさい!かっきーとさくちゃん!

遥香、さくら:えぇ!?えぇぇええぇ!?

〇〇:行ってらっしゃーい。

〜〜

〜〜

女1:キャアアアアアアアアアア!!可愛い!!!!

女2:まじ眼福.....。一生このままでいて。

遥香:これ...恥ずかしいよ////

さくら:うぅ....あんま見ないでぇ//


ガラガラガラッ


〇〇:おー、うん// 2人とも可愛いね。

遥香:ほんと!?

さくら:可愛い!?

〇〇:可愛い、可愛いからあんま近寄らないで///

女1:照れておるなぁ〇〇君。

女2:これは面白いですなぁ。


一方その頃....


禅:久保さん....その格好は.....

久保:なんか私のクラス、コスプレ喫茶やるらしくて....似合ってるかな。

禅:久保さん....語尾が違いますよ...。

久保:もう//....禅君、史緒里って呼んでにゃ?//

禅:うわぁぁぁあああぁぁあああ!!!可愛いいぃぃぃいぃぃい!!!!!

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文化祭前日


飛鳥:よーし!明日は文化祭だね!今日は一日準備日になってるから最終確認とかしてね!

〜〜

〜〜

生徒会室


生徒会長:じゃ、委員長の皆んなにタイムスケジュールと当日の注意事項渡しとくね。

〇〇:ありがとうございます。

生徒会長:どのクラスが一番稼げるか楽しみにしてるね!

〜〜

〜〜

男1:うおっ!でっけぇ鉄板!

〇〇:レンタルだから少し高かったけど全然余裕。結構火力あるから気をつけてね。

遥香:すごーい!屋台で見るようなやつだ。

〇〇:あと、これがわたあめ機。任せたよ男2。

禅:男2にわたあめ作りの才能があるとは思わなかったな笑

男2:わたあめは俺に任せな。インスタ映えまっしぐらなわたあめを作ってやるぜ。

〇〇:装飾もできたし、あとは金額設定だな。

さくら:あんまり高いと買わないよね。

〇〇:焼きそばは、300円。わたあめ100円で行こう。

遥香:300円はちょっと高くない?

〇〇:大丈夫。匂いで釣れる。あと売れなくなってきたら200円に値下げしよう。

禅:いいなその作戦。

〇〇:よし..後は・・


ガラガラガラッ


飛鳥:〇〇ー。ちょっといい?

〇〇:あ、はい。今行きます。


ガラガラガラッ


禅:〇〇忙しそうにしてんな。

遥香:禅の為だよ。

禅:感謝しないとな。

〜〜

〜〜

飛鳥:〇〇に頼まれてた物届いたよ。

〇〇:おぉ!これなら大丈夫ですね。

飛鳥:いや....いいんだけど...ほんとにこれで出るの?

〇〇:出ますよ。

飛鳥:.....ぷっ笑.....これ笑っちゃうよ笑 まぁ何かあったら私を頼りなさい。なんとかしてあげるから。

〇〇:ありがとうございます。

飛鳥:楽しみなよー。

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飛鳥:じゃ、明日は早く来て準備とかあるだろうから帰ってよし!でも売り上げ1位じゃなかったらお仕置きだからね。

男1:お仕置き受けたいけど、明日は禅の修学旅行もかかってるからな。稼ぎまくろ。

男2:もうお仕置き一回受ければ良いじゃん。

〇〇:先生このあと印刷室貸してください。

飛鳥:いいよー。

遥香、さくら:(印刷室?)

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ウィーン ガシャ シャ シャ シャ


〇〇は1人印刷室でとあるチラシを印刷していた。


〇〇:よし。こんだけありゃ足りるかな。 


コンコンコンッ


〇〇:誰ですかー。

遥香:遥香です。

さくら:さくらです。

禅:禅でーす。

〇〇:入っちゃダメ!

遥香:え!なんで?

〇〇:これサプライズだから。最後の作戦の用意してんの。先帰ってて!

さくら:....わかった。明日....くる?

〇〇:.....まだわかんない。けど...僕がいなくても明日頑張ってね。

禅:おう。〇〇も無理すんなよ。

〇〇:うーい。じゃあなー。

遥香:....バイバイ。

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〇〇:ただいまー。

和、美空:おかえり!

〇〇:今飯作るから待っててー。

〜〜

〜〜

和:うん!今日は美味しい!

〇〇:前はごめんな笑

美空:私も料理できるようになりたいなぁ。

〇〇:明日メイド喫茶で作るんじゃないのか?

美空:私と和は配膳の係だから作らない。

〇〇:そうか。メイド服見たいなぁ。

和:....明日、来ないの?

〇〇:....うん。休もうと思ってる。

和:...そっか。じゃあ〇〇の分まで楽しんでくるね!

美空:なにか買ってきてあげる!


和と美空は〇〇が来ない事に対しての不満を隠しながら精一杯〇〇に気を遣わせないようにしていた。


〇〇:ははっ笑 ありがとう。楽しんでおいで。

〜〜

〜〜

夕食をとり、お風呂に入り寝る時間。そして当然....


和:さぁ〇〇寝るよー。

美空:一緒に寝るよー。

〇〇:もーー!!またかよ!!

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翌日


和:じゃあ〇〇行ってくるね!写真とかいっぱい送るから!

美空:お土産期待してて!行ってきます!

〇〇:うーい。行ってらっしゃーい。


バタンッ


〇〇:ふぅ....急がないと...。

〜〜

〜〜

禅:おはよー遥香。

遥香:おはよ。〇〇君見た?

禅:いや会ってないなら。先に学校行ってるんじゃないか?

遥香:そっか....そうだよね。

禅:ま、学校行こうぜ。

〜〜

遥香:さく、おはよー。

さくら:おはよー。

遥香:〇〇君見た?

さくら:見てないよ?一緒じゃないの?

遥香:通学路にはいなかった...。

さくら:そっか....。

〜〜

〜〜

飛鳥:じゃあ今から放送で開会式あるから教室で待機ね。

男1:先生、〇〇は?


さくらの隣の席に〇〇はいなかった。さくら達はすでに悟っていたが、周りには言わないようにしていた。


飛鳥:今日は〇〇は休み。風邪引いたってさ。

男2:まじか。〇〇無しで回せるかな。

飛鳥:でも〇〇から伝言を預かってるよ。

遥香、さくら、禅:!!

飛鳥:こんな日に風邪を引いて皆んなごめん。代わりに助っ人を用意したから存分にこき使って。

遥香:助っ人?

飛鳥:入って良いよー。


飛鳥先生の呼びかけに応じて、教室の扉が開いた


ガラガラガラッ


禅:は?

男1:は?

男2:は?

女1:は?

女2:は?

遥香:は?

さくら:は?

一同:はぁぁぁぁあ!?

飛鳥:うさぎのフォール君です!喋れないらしいから気をつけてね。

一同:誰ぇぇぇぇぇ!!!??

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               To be continued


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