いざこざの後、地固まる2_珀煉

次の日、葵が起きると、凪は既に家を出た後で、テーブルの上には、凪が作ったであろう朝食が置いてあった。
「あいつ、先に行ったのかよ、いつもならギリギリまで寝てるくせに」
そんなことを言いつつ、葵は凪の作った朝食を温めなおして食べるのだった。朝食を食べ終え、葵は学校に向かった。その最中も考えている事はボイスドラマの内容と、凪をどうやって説得するかの二つだった。
「どーしよっかなぁ、俺もそうだけど、あいつ頑固だからな、うーん」
むむむと、葵は頭を悩ませた。そんなこんなしているうちに学校に着いた。
「あ、やべ、なんも思いつかないうちに学校ついちまった。なぁ?凪、って……今日は一人だった」
この日は葵も凪も一限から授業があるため、いつもは作品の話などをしながら学校来るので完全に癖のようになっていた。この日の一限の講義中、葵はどこか上の空で、授業に身が入っていないようだった。時を同じくして、凪もどこか上の空で授業に身が入っていなかったそうだ。
「あ~完全にぼーっとしてる。どうしたんだ俺」
葵が休憩室の机でうなだれていると近くの自販機のところから声がして、葵はそちらを向いた。
「どうしたんだ今日、なんも集中できない」
凪が水を飲みながらこちらにきたので、先ほどの声の主は、凪だったようだ。
「げっ……」
凪があからさまに葵に対して嫌な顔をした。
「兄の顔見てげっ……てなんだげっ……て」
「逆に喧嘩真っ最中の兄貴の顔見たい弟がどこにいるんだよ」
そんな感じで、専門学校の休憩室で、兄弟喧嘩の第二ラウンドが火ぶたを切って落とされた。


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