ヤンデレ v s ツンデレ5

気がついた時には、俺は病室のベッドの上にいた。

「痛てぇ……」

背中の傷が痛む。医者はあと数センチ傷が深かったら危なかったと言っていた。一週間の入院を言い渡されて、今日で五日目。外の様子を見たいが、背中の痛みで体を思うように動かせない。

「旭、大丈夫かな……」

あの後どうなったかは分からないが、数分後に旭が面会に来たから無事だった。

「先輩、あれから大丈夫なんすか?」

「大丈夫だよ」

その後しばらく沈黙が続いて、旭は帰り際に悲しげな表情でそっと振り返り帰っていった。

一週間ぶりに家に帰るのに、妙な胸騒ぎを覚えた。本当に、家に帰っていいだろうか。ドアを開けた時、胸騒ぎは確信に変わった。

(八雲さん、俺は正直辛いんだ。縛られたくないんだよ。八雲さんの本性が分かったあの日から、俺は怖くて堪らない。一瞬だけでもいいから、俺は……)

「八雲さん、いったい何しているんですか?」

冷汗が体を伝った。八雲さんは、俺や旭が写った写真をハサミでズタズタに切り裂いていた。旭に対しての敵意が、俺を見る八雲さんの殺気立つ視線で伝わった。

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