【米国銘柄】ゲーム制作シェア50%超の成長企業 Unity(ユニティ)【10分で解説】
今回は2020年9月にIPOし話題となったUnity(ティッカー:$U)について解説します。
※ Youtubeによる解説動画も公開いたしましたので、よろしければご覧ください
Unity Software は3Dコンテンツ(主にゲーム)の開発エンジンを提供している企業です。世界で250万⼈のクリエーターが利⽤しており、スマホ/PC/コンシューマ市場の50%(※)のゲームがUnityで作られています。
※ 同社S-1資料より
日本国内でも有名なゲームがUnityで作られています
ニンテンドー初のスマホゲームとなった「スーパーマリオラン」
ドラゴンクエストVIIIのスマートフォン版。
全世界でヒットしたPokemon GO。
有名どころをあげていきましたが、他にも、いわゆる個人が作成するインディーズゲームの多くがUnityを使って作成されています。
そして、ゲーム以外でもUnityは使われており
先週 映画館で「シン・エヴァンゲリオン」を観に行ったのですが、エンドクレジットで制作ツールの中に"Unity"の文字がありました。
特にニュース記事などみあたらなかったのですが、本編では、3D映像が多く使われていたのでおそらくそういった一部がUnityで作成されたのではないかと思われ、ゲーム以外の分野でもUnityが使われている一例となります。
同社のビジネスモデルは2通りに大別されます。
まずCreateSolutionsセグメントです。
こちらは開発エンジンの利用料からくる収益となります。Unityゲームエンジンの利用は基本無料ですが、1年間で10万ドル以上の収益がある場合や、Pro版などの拡張機能を利用する際には、有料版をサブスクリプション形式で定期購入する必要があります。
本セグメントは、同社収益の約29%を占めています(2020年6月四半期)。
次にOperateSoliutionsセグメントについてです。
Unityで作成したゲーム内広告配信や、コンサルを行うことによる収益サポートを行うことによって得られる収益となります。
本セグメントは、同社
収益の約62%を占めています(2020年6月四半期)
2021年2月に発表された決算より、直近の業績を確認します。
FY20 4Qの収益は$220.34Mと 前年同期 39%増となっており、市場予測を大きく上回りました。
EPSも、まだマイナスではありますが $-0.1と市場予測を上回る結果となります。
株価は、2020年9月のIPO以降上昇トレンドでしたが、FY20 4Qの決算発表以降は下落。これはFY21ガイダンス の成長予測が 23〜26%と前年の成長度合いに比べて鈍化したことによるものと思われます。
また2021年 2月には米国長期金利の上昇もあり、グロース銘柄である同社の株価はさらに下降、停滞傾向にあります。
ゲームエンジンを提供する競合サービスはいくつかありますが、
ゲーム業界では本Unityと、epic games社のUNREAL ENGINEが2強となっており、大きくシェアを占めています。
epic games社はゲームエンジンだけでなく、「フォートナイト」を自社制作していることでも有名ですね。
両者の使い分けとしては、Unityがライトなゲーム(スマホ・ニンテンドースイッチなど)、Unreal Engineはハイエンドなゲーム(PS4など)向けとされていますが、実際どうなのでしょうか。
こちらUnreal Engineで作成されたゲームの一場面となります。なんのゲームが、わかりますか?
(ヒント:日本人なら誰もが知っている国民的ゲーム)
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答えは、2020年にリリースされたPS4版「Final Fantasy VII remake」です。
オリジナル版(PS1)のFinal FantasyVIIをリアルタイムでプレイした世代の方は、リメイク版の美麗なグラフィックに感動し、涙を流したのではないでしょうか(私のことです)。
こういった大手ゲーム会社による最先端のゲームでも、Unreal Engineは使われているということです。FF7くらいになると、独自にエンジンが作られているものと思っていましたが・・・すごいですね。
さて、Unityと同様にUnreal Engineも基本無料で使えるようになっています。最近のニュースをみたところ、その無料範囲が拡張されたようで、なんと売上が「100万ドル以下」であれば実質無料で利用できるということです。
個人はもちろん、小規模なゲーム会社であれば無料で使えそうですね。
epic gamesといえば、昨年よりApple との訴訟が連日ニュースで話題となりました。
簡単に説明すると、iPhoneでフォートナイトの課金はApp Store経由で行うのですが、その際に3割が手数料としてAppleにとられるため、それを回避するための独自課金システムをepic games社側が用意したところ、規約違反ということでApp Storeからフォートナイト自体が削除されてしました。
Androidも同じく、epic games社が手数料回避を目的に独自の課金システムを経由できるようにしたところ、規約違反でアプリが削除されています。
Apple、Androidというプラットフォームを利用しているので手数料を支払うのは当然のような気もしますが、この問題はまだ解決しておらず、スマートフォンでは2021年4月時点「フォートナイト」を新規にダウンロードできない状況となります。
同社の成長性について。
(同社 S-1資料より)
2020年6月30日時点の過去12か月間にUnityで100,000ドル以上を費やした716人の顧客のうち、ゲーム以外の業界にいる顧客はわずか8%であると述べています。
上記より、同社は ゲーム以外のセグメント(建築、自動車、映画業界など)に進出することで、成長を加速することが可能と考えられます。
今回の解説記事まとめとなります
▼収益
増加傾向も成長率鈍化
(FY21ガイダンス は +23〜26%予測)
▼競合サービス
Unreal Engineなど
▼今後の展望
ゲーム「以外」の分野進出
以上となります。
米国企業に興味をお持ちの方、投資を検討されている方のご参考になれば幸いです。