SESにおける営業力について
SES企業における「営業力」とは何なのかを考えてみました。
人事や営業なら一度は「何次請けが多いですか?」と聞かれたことがあるはず。
質問の意図は以下だと思っています。
<求職者(エンジニア)>
・商流が浅いと高単価(商流が深いと低単価)
・商流が浅いと上流工程に携われる(商流が深いと下流工程しか携われない)
<取引先(SES企業)>
・商流、主要取引先によっておおよその特徴が分かる
・独占案件の保有有無
諸説ありますので、僕の経験に基づいて解説していきたいと思います。
求職者(エンジニア)目線
まず「商流が浅いと高単価(商流が深いと低単価)」についてですが、事実か否かだと事実ではありません。
正確には「商流が浅いと高単価となる確率が上がる」です。
中小企業よりも大企業の方が予算を持っているため、例えば「中小事業会社→自社」よりも「大手事業会社→システム子会社→SIer→自社」という商流の方が高単価となるケースは往々にしてあります。
次に「商流が浅いと上流工程に携われる(商流が深いと下流工程しか携われない)」についてですが、現場が求めているのは業務を回すための人的リソースであり、求められる役割を果たせる人材であればどこの会社に所属しているかは重要ではありません。
ただし、これも商流と単価の関係同様で、商流が浅い方が優先的に案件情報を入手できるため、上流工程に携われる案件に参画できる確率が上がります。
取引先(SES企業)目線
SES営業はご存知かと思いますが、異なる会社から同じ案件を紹介されることが往々にしてあります。
例えば以下のようなケースです。
また、SES①~⑤内で人材が見つからない場合は、それらのSES企業がさらに別のSES企業を当たるため、結果的に同じ案件情報を複数社が抱えている状態が生まれます。
これらが市場で観測できるSESの案件情報というわけです。
人材を抱えるSES企業にとって魅力的な取引先とは、独占案件を保有している会社です。
例えば図のSES①からリーダクラスのAさんが参画しているとします。
中堅SIer①から「新たに1名増員することになりました。AさんがOKなら発注するので紹介してください。」と言われると、実質SES①は独占案件を保有している状況となります。
また、社歴の浅いSES企業が日立製作所やNTTデータをはじめとした大手SIerと新規で取引を開始することは容易ではありません。
従って、すでに大手SIerと口座開設済みの会社経由で案件に参画することになります。
それらの可能性を探るために、SES営業は主要取引先や稼働人数、売上比率を確認する訳です。
本質はどこにあるか
エンジニア(というか労働者)は良い業務内容、働き方、待遇。
SES企業は契約条件、業務内容、スケールする見込みを重視すべきと思っています。
「何次請けが良い・悪い」というのは本質とズレており、もし同一案件であれば商流が浅い方が良いでしょうし、逆に商流が一社深くても別の取引に繋がる場合は、戦略的にその会社を介して取引することに価値が生まれます。
商流が浅い方が条件が良くなる確率は上がるけど、そこを目標にしてしまうと本来の目的から外れてしまうということをお伝えしたかった次第です。
別の観点ですが、大規模開発案件は長期である確率が高く、キャリアの面で有利です(短期終了が続くとスキル不足等で切られたのではと邪推されてしまうため)。
しかし大規模開発案件は体力のある大手SIerでないと請けることが難しいため、結果的にエンド直ではなくセカンダリ以降の商流となります。
そういった意味でも商流に固執せず、いかにビジネスとしてスケールさせられるかを意識した営業活動をすることが重要と考えます。
飽くまでワイの考えですという予防線を張って〆
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