空洞です
僕が初めて坂本慎太郎を知ったのは2007年頃、神戸の図書館だった。
当時大学受験を控えていた僕は親友のズリセンマンと、しばしば図書館の自習室を訪れては受験勉強に励んでおり、休憩がてら図書館の本を読んだりもしていた。
その時に画集コーナーで偶然手に取ったのが坂本慎太郎のアートブックだった。
坂本慎太郎が手がけたゆらゆら帝国のフライヤーを集めた画集で、サイケデリックな内容が大変に面白く、彼の音楽に興味を持っていかれた。
当時の鉄少年は、すぐさまゆらゆら帝国のアルバムを買いに行き、とりあえずBEST ALBUMと銘打ったそれを聞いた。
それを聴いて虜になった自分は当時の最新アルバム『空洞です』も購入し、大学に入るとライブを見に行くようになった。
初めて行ったゆらゆら帝国のライブはRush Ballだった。
泉大津という工業団地で行われているそれに向かうバスの車内で、偶然通りかかったコンクリート菅が山積みされている倉庫を見て、まさしく『空洞です』を感じながら自分は静かに高揚していた。
そこでみたライブはもちろん素晴らしく、アルバム『空洞です』から演奏される楽曲を聴いては、道中で見た空洞を思い出しつつ大変に興奮していた。それが今でも忘れられない。
この度、自分は船の修理で造船所に訪れ、シャフトと呼ばれる円柱を抜いたわけだが、それが収まっていた空間を見た時に、昔泉大津で見た空洞感を思い出して一人でに盛り上がっていた。
もう、空洞の虜なのである。
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