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【技術史】硬貨

古代、物々交換をスムーズに成立させる媒介手段は、どんなところでも高い価値のある金や銀であった。紀元前7世紀、取引のたびに金や銀の重さを量るのがめんどうになると、金を固めた硬貨(コイン)が誕生し、瞬く間に世界に普及した。
16世紀のイギリス国王財政顧問トーマス・グレシャムが、エリザベス1世に進言した法則がある。
「悪貨は良貨を駆逐する」
市場に実質的な価値の高い貨幣と、価値の低い貨幣が両方存在した場合、両者の額面が同じなら、価値の低い貨幣(悪貨)がより多く流通するようになり、最終的には良貨がなくなる・・・と、グレシャムは説いたのです。
この言葉は16世紀のものですが、じつは貨幣が誕生して間もなく、この現象が起こっています。当時の国家や政府は貨幣発行益をえるために、貨幣の実質価値を徐々に下げていきました。金貨なら金、銀貨なら銀の含有量を減らしていったのです。
そうすると、貨幣を使う国民や市民は、金の含有量の高い価値のある貨幣を手元に貯め込みます。その結果、市場に流通するのは悪貨だけになるのです。
さらに、当時の硬貨は鋳造品のため、偽造硬貨を作るのもそれほど難しくなく、偽物も多く混ざっていました。
現在の硬貨は、金属板を打ち抜いて精密な模様をつける圧延・圧印製法が主流になり、偽造が困難になっています。
 
『参考資料』
https://www.mint.go.jp/operations/production/production_kahei/operations_coin_process01.html
https://kosen-kantei.jp/varity/america-coin/

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