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【材料学】磁石論

子供向けの科学書を執筆している板倉聖宣は、16世紀イギリスの物理学者ギルバートの「磁石論」を高く評価していた。板倉は科学者の考え方を理解するためには、その人が「どれほどすばらしい考え方を生み出したか」ということ以上に「どんなまちがった考えにとらわれていたか」を調べるほうがよほど役に立つと述べている。


16世紀の人々は、磁石の不思議な力の源は、「磁石は魂をもっていて、魂をもてる母なる大地の部分にして愛し子である」あるいは、「地上の磁石の働きは北極星に支配されている。」というように、今から考えればトンチンカンな解釈をしていた。
このような世の中の常識をギルバートはどのように打ち破ったのだろう!?
彼は、この解釈が誤りであることを、天然磁石を削った地球モデルを作り“実験”することで、様々な角度から証明しようとしたのである。当時の世の中であれば、奇妙な実験をしていたら魔術師呼ばわりされて弾劾されることもあっただろう。彼の勇気ある実験あっての科学的進歩なのだ。
 
現代の中学校の現場では、昔の人が築き上げてくれた結果を学ぶだけ、与えられた箱の中でみんな同じような実験を行なって、レポートを写して提出するだけになっているのは問題だ。子供たちには、「どんな間違えにとらわれているのか」いい意味で疑いの目、探求の目を持ってもらいたい。
 
『参考資料』
磁石論 板倉聖宣著

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