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化学兵器から生まれた『抗がん剤』

第二次世界大戦中、イタリアのバーリにある連合国軍の重要な港に、ドイツ軍が大規模な空襲を行った。この攻撃は「バーリ空襲」と呼ばれ、連合国軍にとって恐るべき大失態となった。その理由が、マスタードガスの流出だ。
被害を受けたアメリカの輸送船の一つ、ジョン・ハーベイ号は、2000発ものマスタード爆弾を極秘裏に積んでいた。ドイツ軍の攻撃により、この化学兵器が海水に流出、蒸発して毒ガスとなり街に拡散した。マスタードガスの存在は秘匿されていたため、だれもが中毒に気づけない状態で多くの人が亡くなった。
マスタードガスの被害者の血液には、奇妙な変化が起きていたことがわかった。白血球の数が激減していたのだ。恐ろしいことに、この猛毒は骨髄を狙い撃ち、造血機能を破壊することが分かった。
だが、イェール大学のアルフレッド・ギルマンとルイス・サンフォード・グッドマンは、この特徴に関心を持ち、応用すれば血液がガン化して無秩序に増殖する、白血病やリンパ腫などの血液のガンを破壊できるかもしれないと考えた。これが「抗がん剤」へとつながることとなる。

『参考資料』

https://artsandculture.google.com/entity/m03hhb43?hl=ja

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