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【技術史】ついに人類は原子を見た

紀元前400年ごろ、古代ギリシャの哲学者デモクリトスは、「すべての物質はアトモス(原子)からできている」と説いていた。それからおよそ2400年の時を経て、ついに原子を直接観察することができる顕微鏡が発明されます。
顕微鏡はつねに科学に革命をもたらしてきました。病原体の細菌を観察できる光学顕微鏡、ウイルスなどの微細構造まで観察できる電子顕微鏡など、より小さな物を可視化してきました。
これらは可視光線や電子線という波を物体に当てて、その波をレンズを通して拡大して見ています。しかし、原子一個一個となるとあまりにも小さすぎて、このような手法では見られません。


1981年、IBMチューリッヒ研究所のハインリッヒ・ローラーとゲルト・ビーニッヒが、まったく新しい原理の顕微鏡を発明しました。「走査型トンネル顕微鏡」(STM)というもので、尖った微細な針(探針、プローブという)と試料に電圧をかけ、プローブ先端の原子を試料の原子に近づけていくと、原子数個分の距離まで近づいた時に、トンネル電流という電流が間に流れます。
プローブと試料の原子のあいだの距離によって電流の値も変わるので、この電流が一定になるようになぞって、プローブの上がり下りを検出して増幅すれば、原子一個分の凹凸がわかり、原子を画像化することができます。
今では、プローブを使って原子を一個ずつ摘んで拾い上げ、違う場所でまた下ろすこともできます。
 


『参考資料』
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/1305/02/news037.html
http://www-molsys.mls.eng.osaka-u.ac.jp/instruments/instruments/STM.html
 

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