【技術史】アルマイト加工
アルミニウムは地殻中の金属元素の中でも多く含まれているにもかかわらず、幅広く使われ始めたのは、1880年代以降と歴史が浅いです。それは、アルミニウムが他の元素と大変強く結びついていて、簡単に金属アルミニウムを取り出せなかったからです。電気エネルギーで酸化アルミニウムを電気分解して取り出しています。
アルミニウムが他の元素と強く結びつきやすいということは、金属アルミニウムは空気(酸素)や水と反応して錆びてボロボロになる(腐食しやすい)性質をもっているということです。本来非常に反応しやすい金属なのに、1円硬貨などに使われたりするのは、うまい具合に自然に放置していても表面にとても緻密な(ぎっしり詰まった)膜ができやすいからです。
この膜はアルミニウムと空気中の酸素が結びついてできた酸化皮膜です。いわば錆です。錆がさらに錆びることを防いでくれるのです。
しかし、自然にできた酸化皮膜はとても薄いので、そのままでは耐食性が十分ではありません。酸化皮膜を人工的に促進できないかと研究したのが宮田聡です。1929年に宮田聡はアルミニウムにプラスの電極を付けてシュウ酸水溶液や硝酸につけて電気分解を行うことで、表面に厚い酸化皮膜をつけることに成功しました。アルマイト加工といいます。
アルマイト加工で、錆にくくなるし、表面が硬くなって摩耗しにくくなり強度がアップします。アルミニウムが自動車や航空機、建築、缶、パソコン、電化製品、電線、鍋など広く使われるようになったのはアルマイト加工のおかげです。
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