子供の遊びとトンネル工事
子供は、砂場や砂浜でトンネルを掘るのが大好きです。「手足や服が汚れる」「素手で触るのは不衛生」とかで砂遊びをしない子供達も増えていますが、砂遊びは創意工夫の原点です。
トンネルを掘っているところを観察していると、基本的には横方向に穴を掘りますが、砂の表面が乾いているので最初は掘りにくく、掘っても掘っても含ませすぎるとすぐに崩れてしまいます。しかし、苦労を繰り返しながら掘り続けると、湿った砂の層に到達して、トンネルが掘りやすくなることに気づきます。
乾いた状態の砂はサラサラと崩れてしまうが、ほどよく水を与えると掘りやすくなる。子供はバケツに水を汲み、水をまいてトンネルを掘るようになります。しかし、水を含ませすぎると再び崩れやすくなります。「ほどよい湿り気」のコツをつかんでいく、まさにトンネル工事のプロの感覚の基礎です。
日本列島の地質は、北アメリカプレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレートの4大プレートの境界部分に位置し、世界的に見ても火山活動や地震活動が活発な地域なので断層も多く、地質構成が複雑です。
当たり前のように利用している、トンネルも工事当初は、山の表面と芯では地質が異なる場合が多く、事前に地質調査を行なって地質分布や地下水の状況を把握していても、いざ現場に立つと計画通りにはいかないことの連続です。
子供の頃に、あの手この手の様々な工夫が大人になったときに役立ちます。