見出し画像

【医療機器の歴史】血液が酸素を運んでいる

19世紀の中頃、ドイツの医学・物理学者マイヤーは、東南アジアへの旅行中に熱帯で生活するヒトの血液が普通より赤いことに関心をもった。彼の発想の起点は、環境の温度と血液の色に何らかの関係があるのではないか、ということであった。そして、彼の著書「血液ガス」の中で血液中に存在する酸素の働きについて考察し、「血液が酸素を運んでいる」ことを発見した第一人者とされている。
 現代では「血液が酸素を運んでいる」ことは、誰にとっても「常識」になっている。しかし、19世紀当時を考えると、血液という液体が酸素という気体を運搬しているという発想に達したのは、ものすごいイマジネーションと探究心である。
 マイヤーの発見により初めて、「循環」と「呼吸」が結びついた。それまで独立した機能を持っていると思われた心臓と肺が実は切っても切れない関係にあることが判明した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?