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「I Remember You」のCharlie ParkerとJackie Mcleanのソロ分析をやってみた

j例によってGoogleドライブを漁っていたら2年前に書いたコレが出てきた。なんかとても恥ずかしい記事だ。寝不足の時にハイテンションで書いてるので意味不明にオカシイとこが多々ある。しかも説明も所々間違ってるし。初心者がちょっと解ると、途端に万能感全開でアホな事を断言しまくったりするアレっす。の頃はまだマイナー・ビバップ・スケールを知らなかったし、パッシング・ディミニッシュも知らなかった…
どのツラ下げてマクリーンにマウント取ってるのだろうか等、恥ずかしすぎるけどコレもその記録つうことで今後に活かそう…宜しくお願いします。
最後のコピー譜はそこそこ合ってると思う。


ジャズのソロを学ぶスキームは語学習得のスキームとほぼ同じであるという話を以前したことがある。文法を学び、イディオムを覚え、それをアウトプットする練習をする、という点で両者は全く同じなのである。
ではその文法は具体的にどの様なもので、イディオムはどういうモノなのだろうか?それについては渋谷菜々子先生の『ジャズアドリブの仕方』(https://jazzsounds.net/)という素晴らしいサイトが有るので、これからジャズを学びたいという方は是非参考にして欲しい。ジャズでアドリブを取る方法を、大変わかりやすく実践的に解説しているだけではなく、何より「ジャズのアドリブを取るのってとっても楽しい!!楽しいんですよ!!!!」という気持ちがすごく伝わってくるホント素晴らしいサイトです。

僕は「英語は関係詞、バップはセカンダリー・ドミナントまでクリアすれば、後はイディオム増やしながら実戦で鍛えりゃいいだろ」と思って、ひたすら耳コピを何十曲もやって、フレーズ12キー練習も何十個もやったのですが、イマイチ思ったように上達しませんでした。今思えば才能が無かったのは勿論ですが、とても効率の悪い練習をしていたと思います。才能が無ければこそ、効率よく多くを学ばなければならなかったというのに!
今ではググれば、牛革ビジネスバッグの作り方(作った)、鉄パイプからロードバイクを作る方法(作りたい)から、電子書籍の簡単な作成方法(やった)、パリパリ羽根つき餃子のレシピ(よくやる)まで、How Toモノは何でもヒットしますが、当時は上記の様なサイトも無く、音楽理論を学ぶにはスゲーコストが掛ったんですよ。今はリーズナブルなソースが色々あるので、上記の様なサイト達を正しく選んで活用すれば成果も出やすいと思います。僕もこれからやりますんで、初心者の人も頑張りましょう。
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◎「I Remember You」の分析

さて、この度は「I Remember You」という曲のCharlie ParkerとJackie Mcleanのソロを取り上げたいと思います。パーカーは『Now's the Time』、マクリーンは『Swing Swang Swingin'』というアルバムに収録されています。

僕も理論というか分析の勉強を始めたのはコロナ騒動が始まってからなんで、まあ、今まで勉強したことの発表みたいな感じです。変な所が有ったら是非とも知らせて頂きたい。
以下、譜面に沿って解説します。(全体の譜面は記事末尾にあります。)

①オーギュメント・♭13th(※)
ドミナント7thコードで使われる音です。現在では一般的にオルタード・テンション(※)と言われるヤツらしいですが、パーカーの時代にそんな概念があったわけもないんで、オルタードという言葉には抵抗があるんですよね。多分パーカーは1オクターブ12音を幾何学的に分割してできたコード、ディミニッシュとオーギュメントをフックにして、使える音を増やそうという戦略を取ったんじゃないかと想像しています。確かドミナント・モーション(※)でトニックに解決するときのみ使用可、だったと思う。
さて、そのオーギュメントですが、マクリーンはドンッとオーギュメント・トライアド(※)のまま使うことが多い気がする。パーカーはもう少し上品な印象です。♭13th以外のオーギュメントの音には「Ⅴ」を付けています。
8小節目は3拍目、44小節目は1拍目が♭13thからのオーギュメント・トライアド。44小節目は3拍目頭でFの3度(A)に解決しそうな音型ですが、いかずにガッっと1オクターブ上げて45小節目頭で解決しています。パーカーらしいエキセントリックな跳躍ですね。それでいて歌を失わないのはホントすごい。スティットはこんなラインは吹きませんね。パーカーに対する好き嫌いはこういうところな気がします。24小節目は4拍目頭の♭13thへ長3度上からのクロマチック・アプローチ(⑧後述)。C-A♭-Cと来て、25小節目最初のEでオーギュメントですね。完全に狙ってますね。スゲーなあ。

96小節目は3拍目に♭13thだけを使ってアウト感出してますね。で♭13thの一音のみという、中々斬新ですね。
マクリーンは23小節目3拍目から24小節目の2拍目頭までオーギュメント、2拍目裏からコンディミでサウンドを変化させてますね。この2小節を大きくC7で考えているようです。36、40小節目も歌い方変えて音は同じですね。

36、40小節目でこのローテーション(⑧後述)のパターンにしたのはクロマチッ・クアプローチに絡めてオーギュメントを使う為だったのでしょう。オルタード・スケール(※)を明らかに意識している感じで、この時代すでにオルタードという概念が生まれていた事がうかがわれますが、ココは「オルタード・スケールのホールトーン部分をクロマチックで処理」とかじゃなくて、オーギュメントとコンディミ(※)の組み合わせで理解したい気がします。したがってターゲット・ノート(③後述)は小節1拍目頭であるかの様ですが、実は2拍目頭の♭13th だと思われます。
一方、74、118小節目では素直にトライアドを吹いてます。ドミナント・モーションでない(トニックに解決してない)のに使っちゃってますが、♭13thがキーのFの5度(C)なんでイケてるのでしょうか。もう、ドーンて感じで使ってますね。「正しいことをシンプルにやってりゃ良いんだよ。」と言われているみたいで勇気づけられる気がします。

ちなみにマクリーン36小節目と40小節目は導入部のクロマチック・アプローチから同じフレーズで、こういうの、しっかり12キーで練習していることがうかがわれます。

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(※)オーギュメント・♭13th/オルタードスケール/オルタード・テンション/コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール(コンディミ):
ドミナント7thコード上で使用できるダイアトニック・スケール/コード外の音(テンション・ノート)を表現するための概念です。ダイアトニック・スケール/コードとはその曲のキー(「I Remember you」ならFメジャー)のスケール(Fメジャー・スケール)の構成音で作られたスケール/コードの事で、たとえば、え〜、key =Cメジャーの話しでしますと、通常はG7上で使用できるダイアトニック・スケールはGミクソリディアン・スケールとなります。

が、それ以外にも色々使いたいわけです。で、多分パーカーたちはオーギュメントとディミニッシュを使って上手い事出来ないかと考えたんですね。たぶん。オーギュメントはルートから長3度音程で音を2個積み上げた形、ディミニッシュは短3度音程で音を3個積み上げた形となってます。(左がオーギュメント、右がディミニッシュ)発想が機械的なんですね。

Gホールトーン・スケールはGオーギュメントにその全音上のAオーギュメントの音を足して作られています。構成音の間隔が全て全音となってます。コンディミはGディミニッシュに半音上のA♭ディミニッシュの音を足して作られています。構成音の間隔が半音・全音の繰り返しとなっています。オルタード・スケールはコンディミの前半部分とホールトーンの後半部分を組み合わせて、一番ヤバい音の美味しいとこ取りで作られているんですね。

オルタード・テンションはオルタード・スケール上の♭9th・♯9th・♯11th・♭13thになります。♭9th・♯9th・♯11thはコンディミ、♯11th・♭13thはホールトーンに由来します。これらの音を如何に説得力を持って使うかという事ですね。蛇足ですが、コンディミは8音なので「オクタトニック」とも呼ばれるらしい。なんかカッコいいですね。
(※)ドミナント・モーション:「セカンダリー・ドミナント」の項参照。
(※)トライアド:いわゆる「ド・ミ・ソ」の3声の和音。オーギュメントの場合は「ド・ミ・ラ♭(ソ♯)」となる。
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②♭9th
これもドミナント7thコードで使われる音です。♭9thはディミニッシュコードを2つ重ねたスケール(コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール)に含まれるテンション・ノートで、ドミナント7thからトニックに解決するときに多用されます。これもドミナント・モーションでトニックに解決するときのみ使用可、だったと思う。
パーカー43小節目、1、2拍目をC7にリハモして2拍目裏に♭9thを入れ、3拍目でFM7に解決させてますね。これはカッコいい!トニックに行った所で1~2拍目だけドミナント7thかましたり、クロマチック・アプローチをかましてディレイ感(※)出すのはバップの常套手段なんで、何とかマスターしたいところです。79小節目でも同様で、更に3、4拍目にAm7-D7をかまして80小節目のGm7につないでる感じですね。中々美しいです。ディレイド・リゾルブについては後程まとめて言及します。

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(※)ディレイド・リゾルブ:
ドミナント・モーションでトニックに行った時、トニック・コード(「I Remember You 」ならFから始まるドミソ)を吹くと
「ああ〜、私、戻って来たんだ〜」
とホッとした気持ちになります。最初の一音を吹いてから、何度もロストしそうになったり、崖から足を踏み外しそうになりましたが、ソレもコレで解決です。長かった様でも有りますが、一瞬のコトだった様な気もします。
しかしFM7に戻り、
「コレで私も安心出来る〜」
と思ったその時、ついうっかり前のコードのC7のサウンドを吹き続けてしまったらどうでしょう。
「アレッ?私、戻って来たはずダヨ?何が起こったの?ココはドコなの?」
そういった戸惑いを覚えたコトは無いでしょうか?
そんな時貴方はディレイド・リゾルブの世界に入り込んでいるのです。
寝不足なんですみません。あとは後述します。まあ、FM7でC7の音を吹くのは1〜2拍ぐらいが良いですかね。聴いてる人がヤキモキするんで。
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③クロマチック・アプローチ
いや~、知りませんでした。何だか良く判らないまま吹いてました。なので丸覚えしたフレーズに組み込まれていれば吹けるんですけど、そうでない場合は全然出来ずにイマイチカッコよくならなかったんですよね。
要は、ターゲット・ノートに半音高い/低い音からアプローチするのがクロマチック・アプローチです。調性の外側から内側に戻ってくる為のテクニックですね。半音を2~4音重ねることもあります。ターゲット・ノートは拍表でコードの1・3・5度のどれかになることが多い。パーカー8小節目の2拍目裏から3拍目や、42小節目の2拍目裏から3拍目の動きが典型ですね。ターゲット・ノートには「〇」を付けてます。

8小節目は2拍目頭がさらに半音下なので、全音下からのクロマチック・アプローチと解釈することも出来ます。こんな細かい変則ワザ、ふつうは仕込みが無いと出来ないと思うんですが、パーカーは咄嗟にやってる風ですね。でもこの人練習の鬼でしたから、こんな細かいリック(※)も仕込みかもしれません。果てしないなあ。
パーカー35小節目、マクリーンの61小節目の様に、アルペジオで駆け上がるパターンは前に半音下をかますモノと思って練習した方が良いでしょう。

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(※)リック:
リックと言えば僕の様なゼータ世代にとってはリック・ディアスの事だと思われるが、ココでは良く使われる定番フレーズぐらいの意味で使用している。とは言え、リック・ディアスの名前が希望峰発見者として名高いバルトロメウ・ディアスから採られている事は有名な逸話である。アジアへの東回り航路を支配するイスラム勢力に対抗し、彼ら冒険航海者達が切り拓く事となる大航海時代は、コロンブスによるアメリカ大陸の「発見」、植民地主義・帝国主義時代、そして現代へとリニアに続いているグローバリゼーションの端緒に他ならない。そして、その陰には大西洋に沈められた180万のアフリカ人、虐殺により消し去られたネイティブ・アメリカン、そしてもちろん過酷な労働・性的搾取を強いられた奴隷達の悲劇があった事は忘れられてはならないだろう。帝国主義時代、奴隷労働力に依存したプランテーション開発は、アメリカ合衆国の建国、そして更に20世紀に成立する黒人ユースカルチャー・シーンにおける、ブルース、ジャズ、ビ・バップ、ロック&ロール、ファンク、ソウル、ヒップホップ等の誕生に帰結する。これらが、現在の我々が耳にするほぼ全ての音楽に大きな影響を与え続けているのは厳然たる事実である。この事実を鑑みれば、パーカーの音楽に出会う4年前に筆者の本棚を飾っていたリック・ディアスと、パーカー・リックの間には全く関係がない、とどうして言えようか。いや、言えまい。また、登場時にシャア・アズナブルが乗っていたその機体の色が赤かったのは、もちろんコミンテルンの陰謀とは言えない気がしないことも全くない。
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④クロマチック・アプローチ/2音のローテーション
半音(パーカー43、45小節目2拍目等)、もしくは半音下と全音上(55小節目1拍目、79小節目4拍目等)でターゲット・ノートを挟むヤツで、上からと下からの都合4パターン。こういう挟む形をローテーションというらしいです。

パーカー45小節目のラインは、61、87小節目でも出てきていて、FM7に解決したときの一つのパターンとしてリック化していると思われます。1拍目頭で一度3度に解決した後でアウトして3拍目頭で5度に解決しなおす事によってディレイ感が出ています。カッコいいですね。A-F-D♭と、オーギュメント・トライアドが含まれていることもポイントですね。オーギュメント/ホールトーンのアイディアで出来ているラインと思われます。コレはイタダキですね。

マクリーンが41、49、53小節目とB♭M7の所で3回連続で繰り出していて興味深いですね。3拍目でローテーションしてF7ぽいサウンドを出してから4拍目でB♭のサウンドに戻り、ディレイ感出してきてます。恐らくB♭M7に解決する時はこうやろう、と思って、このラインの練習をしていたと思われます。トニックのFM7の所でも多用してる音型ですね。

2音のローテーションのように1拍で成り立つ音型は短すぎて、リックのように考えて練習しても実際にソロを取る際は思考スピードが間に合いませんので、1小節単位でリックとして覚えて、あとはバリエーション出来る様に練習するのが現実的でしょう。マクリーンがココでやっている音型は僕も頂いてしまおうと思います。
こうして見ると上下で挟んだ場合は上昇ライン、下上で挟んだ場合は下降ラインに繫がるコトが多い様ですね。

⑤クロマチック・アプローチ/3音以上のローテーション
ターゲット・ノートの上下から3~4音で挟むパターンで、下記の6パターンがあります。

パーカーは①を多用しますね。僕もクロマチック・アプローチと知らずに使いまくってました。
パーカー51小節目頭のCへ行くローテーションは、キチンと50小節目のE♭7の7度と5度を触っていて、コード進行に伴ってコードの構成音がどう繋がっていくかを完璧に把握していることが伺われます。ただ闇雲にCにアプローチしているのではなくて、E♭7の7度がCの半音上であることをキチンと利用しているんですね。つまり、63小節目や75小節目のCに行くクロマチックアプローチでは、①のパターンは選択されないわけです。

63小節目と75小節目は直前のE7の7度と5度の音を含む2音のローテーションが採用されてます。7度の音がターゲット・ノートの全音上ですね。上記④のパターンでもいけそうです。
また、59小節目の4拍目から60小節目の2拍目頭への動きですが、まず、2小節を大きくGm7-C7と捉えて59小節目頭でGm7に行ってます。で、3~4拍目で一度D7に行っている様にも見えますが、実は3拍目までがGm7、4拍目から④のバリエーションでC7の3度(E)にアプローチしていると思われます。60小節目は完全にC7のサウンドですね。とてもカッコいいバリエーションでしかも小節跨ぎってのは憎いですね。II-Vフレーズとしても相当な完成度なので素直に2小節マルっと頂きです。クロマチック・アプローチを使用しない場合は多分下みたいな感じになると思います。有りですけどジグザグなラインで得られていた加速が無くなり、音数も減ってスピード感がスポイルされちゃいます。

マクリーンが⑥を47小節目で使ってます。35、39小節目でも使ってますが、先述したようにターゲット・ノートは次小節2拍目の♭13thと思われます(左が39小節目、ターゲットノートの位置が違う)。

⑥ビバップ・スケール
これも最近知りました。ドミナント7thで使うスケールです。
最初「ビバップ・スケール」って名前を聞いたときは「吹けばビバップになる便利なスケール?ンなもん有るわけないだろ!」と思ってガン無視していたんですが、これ、拍表(※)にコードトーンが有ればそのコードのサウンドになるっていう法則を利用して、スケールでアルペジオを表現するために考案されたものなんですね。僕も知らないうちに使ってました。メジャー(左)とマイナー(右)があります。該当の範囲には音符の上に「―」を付けています。

パーカー35小節目のGから下がっていくラインは正確にはG7ではなくGm7なのかもしれないけど、発想はビバップ・スケールなのでカウントしました。36小節目頭のF(Gm7の7度)に半音で繋いでいます。

62小節目はE7の3度、74小節目は5度からの下降で、後に続くラインも同じような形になっています。

まず、ビバップ・スケールでE7の7度(D)に行ったところで、ローテーションでCに行ってます。ココでFM7に対するドミナント7th(C7)に部分転調してるんですね。そこからFM7の3度(A)にディレイドで解決してからの上昇ラインで次の小節のCm7の3度(E♭)に繋いでいます。しかも同じ構成で全然違う歌を歌ってるんですよね。中々トンデモないですね。ヴァーヴのパーカーは全盛期を過ぎてるとか言ってるヤツは全員全裸土下座(※)すべきですね。
上記のラインの様に、3度や5度から7度辺りへの下降ラインが多いな、と思ってたら、マクリーンが112小節目でマイナー・ビバップ・スケールをマルっと1小節にわたって使ってて驚きました。

マクリーンのこういう大雑把な所、カッコいいですね。メジャー・キー上でマイナーフレーズを使うとブルース感が出ます。マクリーンぽいですね。こういうの見ると、難解な理論と超絶テクニックで綴られる最高級のジャズがアホッぽく思えてきますね。難解な理論をマスターするより、こういう一見大雑把に思えるマクリーンのソロが最高にカッコいい秘密を解き明かすことの方が、ジャズにおいては何倍も大切なことの様な気がします。
とはいえ、一小節ドンッってのはさすがにアレなんで。パーカー62、74、83、マクリーン16、129小節目の様な形を意識して練習する感じでしょうか。何かパターンがありそうですね。パーカー84小節目のラインはリックとしてもよく見るような気がします。マクリーンの16、52、124小節目にも出てきます。スティットも良く使ってましたね。ドミナント7thコードの所で使えるカッコいいリックです。

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(※)拍表(はくおもて):
1拍を八分音符で割った際の最初の音の事。拍頭(はくあたま)とも言う。2番目の音は拍裏、裏拍などと称される。

ビ・バップでは拍表にある音が拍裏にある音よりも、そこのハーモニーに対して影響力を持つと考えられている様で、実際に聴いたり演奏したりしてもそんな気がするので、そうなのだと思われる。なので、表拍にコードトーンやターゲット・ノートを置くことが多い。
(※)全裸土下座:
筆者が某自称ジャズ評論家(複数)に是非実行して頂きたいと希望している謝罪パフォーマンスの一形態。ジャズの演奏も出来ない素人のコレクターに過ぎない老人がジャズ評論家を自称し、出来もしないのにジャズマンを評価したり、あまつさえ貶したりすることに対す…以下略。
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⑦リック1
半音下とダイアトニック・スケールの音でターゲット・ノートを挟むパターンです。クロマチック・アプローチの一つと思われます。ターゲット・ノートを強調する感じです。スティットがアルバム『Constellation』の中の「Casbah」という曲で下記の様なフレーズを使用してます。拾ったのだいぶ前なんで、後半自信無いっす。キーはCに変えてあります。

パーカー54小節目も似たようなフレーズが出てきますがこれはA7のサウンドで使っていて、こちらのリックとは異なります。一方で95小節目ではGm7の前にD7のサウンドを入れる為に使われています。あとはB♭の所で使われているのがほとんどですね。パーカーはB♭M7、マクリーンはB♭m7のところで使ってます。

⑧リック2
半音階4つで長3度のインターバルを駆け降りる形です。クロマチック・アプローチの一つと思われますが、コードの構成音が長3度の間隔であれば使えるので便利なリックです。該当の範囲には音符の上に「―」を付けています。

⑨リック3
マクリーンの77小節目。これもクロマチック・アプローチの応用です。

半音下とダイアトニック・スケールの音でターゲット・ノートを挟むパターン。元々は下記の様な感じです。拍表が全てコードトーン。カデンツァでも使える便利フレーズです。
しかしこうしてみるとサウンドはメジャー7thじゃなくてメジャー6thなんですね。バリー・ハリスもなんか言ってたなあ。う~ん、まあいいか。

⑩その他
パーカー49、53小節目のB♭M7で、前小節4拍目のCからF7(C-A-E♭)のラインを吹いて3拍目でB♭に行くディレイを行ってます。

マクリーン50、114、144小節目はマイナー7thコードの7度の音からアルペジオで下がる、リズミックな定番のリックです。

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144小節目だけGm7-C7でB♭m7-E♭m7と同じラインを吹いています。フラットのついている音符が♭13th、♭9thになっていて面白いですね。IIm7-V7のコード進行で短3度ずれたフレーズを吹くことはしばしば有るんですが、なんか秘密がありそうですね。誰か教えてください。
あと、パーカーは58、78、82小節目からのラインが典型的ですが、3小節ぐらいに渡って少しずつ使う音を下げていく歌い方を多用しますね。マクリーンも102小節目Dフラットから階段を降りるように下がっています。

こういうのもカッコいいんで真似できるようになりたいところです。

概していうと、パーカーは原曲のメロディを大切にしながらセカンダリードミナントを使ったり、トニックの所にドミナント7thを入れたり、クロマチック・アプローチしたりして使用できる音を増やし、スピード感をアップさせつつハーモニー的にもスリリングに仕上げてくる一方、マクリーンは元々のコード進行はあまり弄らず、あらよっ、ドンッって部分やコードトーンを利用してメロディアスに処理している部分が印象的って感じですね。マクリーン、サビでDメジャーに転調したところの処理が素直にスケールで上がっていくだけでカッコいいっていう、こういうの凄いよなあ。あと、パーカーのリハモはカッコいいんで、参考にしていきたいと思います。この人『Lester Leaps in』みたいな曲でもよくわからんリハモしてて客が超盛り上がってるんですが(ライブなんで)、今絶賛挑戦中なんだけど、良い子のロックバンド、ビートルズの『レヴォリューション』でジョージがついうっかり凶悪にファズったギターをギュンギュン鳴らしてる的な尖り方がカッコいいもうよくわかりませんね。

さて、こんな感じで如何でしょうか?先述しましたが、僕も分析の勉強を始めたのは最近なんで、色々瑕疵はあるかと思います。週に1回しか練習する日が無いんで、上に書いたこともこれからやる感じです。ので、未検証で書いちゃってる所もあります。ホントにスミマセンが、気が付いたことが有ったら是非是非お知らせ頂ければ幸いです。よろしくお願いします。

<参考ウェブサイト>
 下記LARGOさんのブログには多大な示唆を頂きました。
〇ジャズピアノの練習 / Jazz Piano Practice
 ・チャーリー・パーカーのアドリブ分析
https://jazzpianopractice.net/theory/analyzebird
 ・チャーリー・パーカーの特徴1~アプローチトーン~
https://jazzpianopractice.net/theory/approacetones
 ・アプローチトーンの練習(2016)
https://jazzpianopractice.net/beboppractice/approachtone2016

 


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