高校時代の忘れられない一日
高校3年生の冬の朝、いや〜な違和感で目を覚ましました。
そう、
私は鼻血を出していたのです。
時間は朝の5時半。
布団が汚れる!
眠気も吹き飛び、鼻をティッシュで押さえます。
ただの鼻血と思ったのに、鼻血は全然止まりません。
このままじゃ制服にも着替えられない💦
学校までは電車を乗り継ぎ1時間30分かかります。
朝6時50分には家を出るのに、6時30分を過ぎても止まらない鼻血に焦ります。
ギリギリの時間でなんとか鼻血が止まりました。
鼻に刺激を与えるのが恐くて顔も洗えません。
急いで着替え、朝食抜きで、兄の出勤ついでに駅まで送ってもらいました。
あーよかった。
鼻血で学校に遅刻するかと思った。
そう思いながら駅に着き、電車内で仲良しの友達と合流しました。
今日は朝から鼻血が出て大変だったんだよー💦
友達と話しながら、それで何事もなく鼻血は終了したと思い込んでいました。
でも鼻血は、私を油断させて、また出る機会を待ち受けていました。
通っていた高校は、緩やかな坂とその先に続く急な坂の上にありました。
坂の全長70メートル。
その坂を登っている時に鼻血がまた出始めたのです。
授業前には鼻血止まるよね?と希望を持ちつつ、鼻をおさえながら、登校しました。
朝礼まで30分ありましたが、鼻血は止まりません。
朝礼の時間になり、鼻をひたすらおさえている私に気付き、担任は、
「みかん(私)、どうしたんだそれ?!早く保健室に行ってきなさい!」
と言いました。
私の机には、BOXティッシュと、鼻血をおさえていたティッシュのゴミが溜まっていたんです。
BOXティッシュとゴミ袋を手にさげて、保健室に向かいました。
しかし、生徒の朝礼時は先生たちも朝のミーティング中。
保健室は鍵がかかっているし、先生はいません。
仕方なく20分待ちぼうけ。
ミーティングを終えた保健室の先生が私を見るなり、
「これは病院に行ったほうが良いよ。今日はこれから出掛けるから、その近くの耳鼻科に連れて行ってあげるね」
と判断してくださり、先生の車で耳鼻科へ向かいました。
これで鼻血は大丈夫。
と思うでしょう?
耳鼻科の先生は、
「鼻の中が血だらけで、傷口が見えないから洗浄しますよ」
と言って、ビュー!どころじゃない、ビィー!!という勢いの電動水鉄砲で容赦なく鼻の中を洗いました。
そして、、、
「これはうちの病院では治せないから、中央病院に紹介状を書いてあげるよ」
と言うではないですか!
あんな水圧の水鉄砲で洗うから、止まりかけだった鼻血の勢いが増したじゃないか😭
先生なにしてくれるんだ!!!
心に不安が押し寄せ始めました。
たかが鼻血なのに、中央病院行き?
紹介状?
タクシーで中央病院に向かいます。
携帯電話と電車の定期は持っていましたが、そんな大事になるとは思わず、お金を持っていません。
家に電話をかけ、保険証とお金を病院まで母に届けてもらいました。
中央病院で母を待つ間、
たかが鼻血でも、ティッシュ1箱分の鼻血が出たら、死ぬんじゃないか?
鼻血で死ぬ滑稽な自分が思い浮かびましたが、「大丈夫!」と必死に誤魔化します。
病院に駆けつけた母の姿を見たときは、安心して思わず涙が出てきました。
でも、たかが鼻血で人前で泣いたら恥ずかしい💦
と思って、母に今まで起きたことを説明することに意識を集中させました。
中央病院での診察は、鼻の中の太い血管に傷があるので、電気で傷口を焼く、という治療でした。
鼻の中に麻酔をかけるため、麻酔液が染み込んだ細いガーゼを鼻に詰め込みます。
その長さ30㎝。
どうしたら、そんな長いガーゼが鼻の中に入るのよ!?
こんなに鼻の中に奥行きがあったとは知らなかった。
痛い!痛い!ふんがががががぁっ!
ガーゼを詰め込む痛みに耐えました。
片鼻だけ、北島三郎さん並みに膨らんだ鼻の穴。
その甲斐あって、電気で血管を焼くときには一切痛くありませんでした。
どうして鼻血が出たのかと先生に尋ねると、
「鼻ほじったんじゃないですか?」
と冷静な先生。
え?
朝の5時半に、私、寝ながら血が出るほど鼻ほじったの?
そんなわけないでしょ!?
と思いましたが、鼻の中が傷つくなんて、それしか理由がないのかな。
ちょっと腑に落ちませんでしたが、納得しました。
治療が終わると、午後1時になっていました。
そのまま学校を早退しても良かったんですが、携帯と定期だけしか持ってなくて、バックは学校に置きっぱなし。
しかも超真面目だった私は皆勤賞を目指していました。
母からお金をもらい、学校に戻ることにしました。
学校の最寄り駅の電車はローカル線で、1時間に2本しか電車が走りません。
このままでは学校に戻っても授業が終わってしまうので、タクシーで学校に戻ることにしました。
タクシーの運転手さんは女性で、母と同年代のようでした。
学校に向かう短い時間に、運転手さんに今日一日、鼻血で中抜けした話しをしました。
そしたら料金をまけてくれました。
会話って大事ですね!
そうして、朝の朝礼から抜け出した教室に、その日の授業が終わる20分前に着きました。
その日、授業を受けた時間は20分。
卒業式では3年間皆勤賞をもらえましたし、タクシーに乗った甲斐がありました。
なが〜い1日でしたが、インパクトがありすぎて、20年以上経った今でも忘れられない楽しい1日です。
鼻血で死ぬかと思うことは、これ以降は起きていません。
でもいま親になり、子どもが鼻をほじっている時に、
「鼻をほじりすぎると、血が出るよ。血が止まらないと、鼻の中を焼くんだよ」
という、いい脅し文句になっています。
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