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毒親の元から夜逃げしたら世界が変わった話

実の親(母)と去年絶縁した。理由は過干渉と暴力を受けていたから。
と言っても実家にいる時は自分が虐待の被害者だなんて微塵も思っていなかった。

しかしある日事件は起きた。私は歯並びの悪さにコンプレックスを抱いており、働いて貯めたお金で歯列矯正を受けようとしていた。当時私は20歳過ぎていたので親の許可はいらないはず。だがアイツは私が矯正を受けようとしていたのをどこからか嗅ぎ付け、貯めていたお金と歯医者で渡された契約書は丸々奪われてしまった。

アイツから言われたこの言葉は今でも忘れられない。
「お前が稼いだお金は家のものだから勝手に使うなんて許さない」
そしてアイツはいつものようにヒステリーを起こし、私を殴りはじめた。

いつもだったら泣き寝入りしていたが、この日私は至って冷静だった。アイツのヒステリーがおさまり自室に戻った後、私はアイツと絶縁するために夜逃げすることを決意したのだった。

なぜあの時自分が虐待を受けていたことに気づけたかは今でもわからない。でも、もしあの時気づくことなく実家に居続けていたらと考えると……恐ろしい。

アイツから逃げるためにまずは断捨離をした。私は片づけが大の苦手だったが、あの時断捨離で『夜逃げ先でも必要なものだけ残して、後は捨てる』というルールを作っていらないものを捨てたお陰で、片づけがまあまあ得意になった。

次に、夜逃げ先でもやっていけるか不安だったので、簿記など転職に役立ちそうな資格をこっそり取得した。

賃貸の契約は、夜逃げの2か月ほど前に旅行に行くと嘘をついて契約しに行くはずだった。だが、その時コロナウイルスが流行り始めた直後で、運悪くアイツに旅行計画を阻止されてしまい断念した。
しかし、数年前Twitterの同じアニメが好きな者同士でのオフ会で知り合った友人(その友人も昔、実の親から虐待を受けていた)に事情を説明して、しばらく居候させてもらえることとなった。友人には本当に感謝してもしきれない。

住民票への閲覧制限をかけてもらうために警察署に行って事情説明もした。案の定警察には「親はあなたのためを思って…」とおきまりの説教を受けたが、最終的には仮の閲覧制限をかけてもらうことに成功した。

iPhoneも新しくもう一台買い、その当時使っていたものは夜逃げ当日に解約することにした。

夜逃げまで1週間をきった頃には、洋服など最低限まとめた荷物をアイツにバレないようこっそり宅急便で友人宅に送った。

そして遂に夜逃げ当日(実際逃げたのは昼間だったが)。私は仕事に行くフリをして家を出た。当時使っていたiPhoneを解約して、急いで最寄り駅へと向かい、新幹線の通過する駅まで移動した。

東京駅へ向かう新幹線に乗った時、不安ながらもホッとしたのを今でも覚えている。新幹線に揺られること約5時間。東京駅には友人と友人の旦那さんが待っていてくれた。あの日のことを私は一生忘れない。というか忘れられない。自分の手で初めて自由を掴んだ達成感で、その日の夜はあまり眠れなかった。

数日後、地元の管轄している警察署から電話がかかってきた。しかし警察への事前の相談&仮の閲覧制限のおかげで、捜索願は出されずに済んだそうだ。

それからコロナウイルスの影響もあり転職には苦労したが、今は無事友人の家を出て働いている。

自立して初めて気づいたことは、自分で自分の人生を決めることの楽しさだった。今まで私はアイツの決めたこと以外をすると怒鳴られたり殴られたりで、完全に自分の意思を見失っていた。でも、もう誰にも邪魔されない。

画像を東京駅にしているのは、夜逃げした時に初めて降りた東京駅の景色が忘れられないからだ。その日だけなぜか雪が降っていて、とても綺麗だったのが脳裏に焼き付いている。

夜逃げから1年以上経った今でも、アイツに夢の中で怒鳴られたり追いかけられたりすることが多々ある。でも、あの時本当に逃げる決意をして良かった。

以上。



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