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スポーツから学ぶ「オフザフィールド」〜成長につながる問いかけコーチング#6〜

※ Voicyチャンネル『成長につながる問いかけコーチング』より、音声記事を文字化し、再編集したものです。

みなさん、こんにちは。前回はスポーツとビジネスの関係についてお話ししましたが、今日はスポーツから学ぶ「オフザフィールド(Off the Field)」という観点からお話ししたいと思います。スポーツで重要とされている概念がいかに他の分野でも適応できるのかという一つの例として、この概念についてお話ししていきます。

スポーツは勝ち負けを競うものですので、当然昔から「どうやったら勝てるのか」に注力し、常に試合(本番)に向かって環境を整えてきたわけです。だからコーチの役割は、試合でパフォーマンスを上げるためのトレーニングを積み重ねることでした。

当然その前提だと、サッカーやラグビーならグラウンド上、バスケやバレーならコート上でのパフォーマンスが最も重要であり、そこでのトレーニングの仕方を一生懸命開発してきました。スキルが開発されるのも全てコートやグラウンド上でのパフォーマンスからだったんですね。
それが徐々に、オフザフィールド、つまりコートやグラウンド外での行動や活動が重要視されるようになってきました。特に日本では部活動という文化があるので、私もそうだったんですが、中高生は何時間もたくさん練習するというのが伝統的なスタイルでした。

でも競技をしている時間というのは24時間のうち、ほんの一部であり、我々の思考や身体を作っているのはそれ以外の時間、つまりオフザフィールドにあります。オンザフィールド、つまり練習や試合中に繰り広げられる仲間とのコミュニケーションも重要なんですが、そうではない場面、例えばスポーツチームであれば練習や試合の前後の時間、ロッカールームでの時間、みんなでご飯を食べる時間、行き帰りの道中、こういったところでどういう行動(behavior)をとるか、これがチームに非常に大きな影響を及ぼすということが最近の研究でもわかってきました。

昔からそうですが、実は伝統的に強いと言われているチームは、オンザフィールドではなくオフザフィールドの大切さをよく理解し、そこでの規律やスタンダードを明確にしているんですね。例えばわかりやすいところだと、時間の厳守。こういうことが徹底されている組織は、イメージだけでも強そうですよね。オールブラックスは、世界でも最も高い勝率を出しているニュージーランドのラグビー代表チームですが、時間に対して非常に厳しい規律があります。しかし、仮に遅刻した人がいても、オールブラックスというチームにいながらも遅刻するというのなら、何か特別な事情があったのではないか、悪気があったから、怠慢だったからというようなことではないだろうという信頼関係が培われています。長い歴史を持つオールブラックスには、そういった文化があるようなんですね。
一義的にルールを守る・守らないではなく、これまで培ってきた信頼関係はグラウンド上だけでなくオフザフィールドからも築きあげられるので、最近ではそういった部分もきちんと見ることが重要だとスポーツ界で言われ始めました。

私もスポーツの指導をしていますが、現場の指導者からすると、オフザフィールドは自分の範疇から離れた領域なので、なかなかそこに手を広げることは難しい。しかし、オフザフィールドも見据えて、指導しマネジメントしていくこと、これは企業においても、職場にいる時だけでなくそれ以外の部分でのマネジメント(オフザオフィスと置き換えられるかもしれません)、そういった観点も入ると、マネジメントに新しいアプローチや選択肢が増えるんじゃないかと思います。

実際、コロナの影響でリモートワークが増え、オフザオフィスが中心となってきたかもしれません。それ自体に何か手を施すというよりは、おそらく組織のリーダーたちはそこに配慮し、オフザオフィスがその人のパフォーマンスに大きな影響を与えていると考えを持つだけでも、メンバーたちはその配慮に温かみを感じるんじゃないかと思います。

ということで、今日はスポーツからオフザフィールドに関して学ぶということをお話しました。それでは今日もがんばりましょう!

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